おすすめの場所,行くべきではない所

Aberdeen, Abernethy, Bute, Cumbrae/Largs, Edinburgh, Glasgow, Glencoe, Islay, Inverness, Loch Ness, Mallaig, Oban/Mull/Iona, Plockton, Rannoch Moor, Skye, Torridon, Ullapool,Sea stacks(いくつものOld Men)

ハイランドに関する観光情報で頼りになるのは(いずれも英語だが) Highlands of Scotland Tourist Board   West Highland Explorer


私は,休暇でロンドンに行ったという人は哀れに思う.湖水地方に行ったという人に対しては優越感を感じる.そしてハイランドに行ったという人にはこの上もない嫉妬を覚える.

このページに辿り着いたあなたを,ハイランドは決して裏切らないことを私は確約できる.だって,実際のハイランドの素晴らしさは,私の文章なんかより,ずっと素晴らしいに決まっているもの.


アバディーン (Aberdeen)
To meet an Aberdonian was at all times a delight to me. -George Gordon
北海油田の基地としてしかこの町を考えない人は大変な損をしている.名実ともにスコットランドの花,美しい御影石の建物,そしてこの町に住む人々 にも多くの魅力がある.この町の人々を理解しようとする人にとって最も大きな障害は,グラスゴーと並んでスコットランド最強最悪といわれる訛りである.

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アバネシ (Abernethy)
わたしはアバネシに行ったことがない.しかし,非常においしいアバネシビスケットを知っている.UKのお菓子は,ほとんどの場合,日本人にとって甘すぎる.しかし,アバネシビスケットは例外で,押さえた甘みの裏にほのかな塩味が感じられる素晴らしい味である.レシピは→こちら.写真は泉 晶子さんがお送りくださった,アバネシ博物館.どこかの国の寒村にある,土地に似つかわしくない立派な箱物と違って,こういう地元のこじんまりした博物館には,思わず入ってみたくなるものだ.

Bute島:地元のホームページは→こちら
Isle of ButeはIsle of Arranのすぐ北にある島です.Clydeが海に注ごうとするのを邪魔するような位置にあります.シェトランドやオークニーのような大規模なものではありませんが,Standing Stoneが散在しているので,歴史のある島です.グラスゴーから近いので,すぐそばにあるCumbrae島(下記)とともに,グラスゴー市民のShort Breakの場として,昔から人気のある場所です.SkyeやMullまで足を伸ばしている時間はとてもない.でもクルーズ気分と西海岸の島の気分を味わいたいという方にはお手頃の場所です.

島の町Rothesayには銀行やスーパーマーケットがあり,宿屋の数も豊富で,島巡りの足場として便利です.Rothesayへは対岸の Wemyss BayからCal-Macのフェリーが出ています.クライド河口を横切る形でのクルーズが爽快です.Wemyss Bayへはグラスゴーから列車が割と頻回に出ていますので,車がなくても行きやすい島です.車で行く場合,アーラン島は有名なだけに,Ardrossan からのフェリーは,車の場合予約しないと乗れないことがありますが,Buteへのフェリーは空いていて,予約無しでもまず大丈夫です.

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Cumbrae(カンブレ島)→地元のウェブサイト
クライド川河口近く,グラスゴーから西南の方向にある,7x3kmのこの小さな島は,グラスゴー市民にとって,ちょうど東京都民にとっての江ノ島 のような存在である.古くから週末の手軽な行楽地として人気がある.といっても江ノ島のようにごった返しているわけではないのでご安心を.人口は1300 人.

グラスゴーに来たけど,博物館とか美術館とかはもういい,そのかわりスコットランドの田舎というのをちょっと味わってみたいという人向 け.とくに車を使わずに電車だけで行けるところがうれしい.グラスゴー中央駅からカンブレ島の最寄りのLargsまで一時間.列車は一時間に一本出ている から,スコットランドでは珍しく,行きも帰りも列車の本数に神経質になる必要がないのもうれしい.GlasgowからLargsまでの車窓から Lowlandのゆるやかな丘陵地帯の風景を楽しむこともできる.

Largs駅から海へ向かって歩いて数分,フェリーがこれも頻回(ほぼ30分おき)に出ている.目と鼻の先のカンブレ島に渡るほんの10分間もクルーズ気分だ.フェリーの着くのはただの波止場(Cumbrae Slip)で,島の中心地Millportまでは連絡バスが出ている.しかし,天気が良ければ歩くことをお薦めする.7x3kmという島の大きさは歩くのにちょうどいい.牧草地を抜けてBarbary Hillの頂上に登ると,先程フェリーで渡ってきたクライド湾の向こうにLowlandsの丘が見える.天気が良ければArran, Buteといった島々も見える.下って行き着く街Millportは海岸通りにカフェやみやげ物屋が立ち並ぶリゾート.天気さえよければ湘南気分だ.ここでのんびり海でもながめるのもよし.

こんな小さな島だが,非常に由緒ある場所である.700年ほど前,バイキングがここを根拠地にスコットランド本土に攻め入った. Battle of Largsである.この時,上陸したバイキングは野生のあざみのとげのために行軍が滞り,結果はスコットランドの勝利に終わった.この時からスコットラン ドの象徴があざみになったという.Millportの隣村のKirktonの教会も古く,創設は13世紀にまで遡るそうだ.

帰りは,足に自信のある人は歩くもよし,くたびれた人はバスで港に行き,またフェリーでLargsへ.Largs自体も立派な海岸のリ ゾートで,ここでもやはり(天気さえよければ)湘南気分にひたれる.駅前に酒屋もスーパーマーケットもあるので,ここでビールと肴を買い込んで,海岸のベ ンチに座って夕日を浴びながら一杯やるのもまた楽しい.

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Edinburgh
スコットランドの京都.京都に興味のない人はエジンバラには行くべきではない.この町についてはありふれた旅行書にありふれたことがたくさん書いてあるから,そちらを参照すること.ただ毎夏のフェスティバルの時に城内で開催されるMilitary Tatooだけは一見の価値がある.ただし,この時期にエジンバラに宿を取ろうとする努力は報いられないことを覚悟すべきである.グラスゴーに宿をとって日帰り往復4ポンドのコーチを利用するのが賢いやり方だ.写真は,ロイヤルマイルエジンバラ城城壁

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Glasgow
この町を訪れる人の目的は様々だ.経済学,医学,建築のいずれかを学ぼうとする人,バイヤースロードのパブのはしごをする人,サッカー場でけんか をするために来る人.そしてごく希に,無知で不運な観光客が迷い込んで来る.最も率直なグラスゴーの観光資源として,クライド河畔のさびついたクレーン と,からっぽのドックと倉庫がある.

ただ,週末に滞在するチャンスがある人だけ,少しばかり幸運だ.市内東部で開催されるBarrasの市を見に行くがいい.住んでみて初めてわかるこの都市の魅力を垣間見ることが出来る数少ないチャンスだ.肉屋の店先でのおにいさんのかけ声は,東京はアメ横の魚屋のおにいさんのかけ声そっくりだ.

日帰り旅行の余裕がある人は,グラスゴーの江ノ島,カンブレ島に出かけてみるのもいい.

ああ,それから,もしあなたが私の親切極まりない助言を無視してグラスゴー行きを強行しようとするあまのじゃくなら,あのやくざな町が世界 に誇れる数少ないものの一つ,偉大な建築家・美術家である,Charles Rennie Macintoshの作品をご覧になることをお勧めする.グラスゴー市内にはWillow Tea Roomという有名な喫茶店が市内の目抜き通りSauchiehall (ソキホールと読むのだ)Streetにある.また彼がデザインしたグラスゴー芸術学校の建物も斬新で美しいデザインだ.そして何よりも素晴らしいのはグ ラスゴー郊外,Helensburghにある館, Hill Houseだ.CR Macintoshが,グラスゴーのある富豪にクライド川を望む別荘を依頼されて建てたものだ.スコットランドのNational Trustにも指定されている.

おまけ→グラスゴーの御茶ノ水,Hillhead界隈の解説

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Glencoe
歴史と美しさで英国一有名な渓谷だが,”美しい”という言葉を一般的に捉えてはならない.”ここは地球ではない”.グラスゴーについて間もないある日本人がこの場所を訪れて思わず漏らしたこの言葉が,より正確な表現である.

夏も冬も登山客でにぎわう.冬は毎年死人が出る場所だが,夏なら山の麓(麓だけだよ!)のウオーキングは初心者でもできる.ただし,ゴア・ テックスのレインスーツの上下だけは必ず持っていくこと.それまで山歩きのど素人だった私は,ここグレン・コーでウオーキング中毒に陥った.

晴れ渡った日の渓谷の眺めはもちろん素晴らしい.しかし,あなたが17世紀のハイランダーの気分に浸れるのはグレン・コーが霧雨に煙る時である.

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アイラ (Islay)とJula
Islayはスコットランドを愛する人にとっては天国そのものの島である.すなわち,醸造所と静寂以外,何もないということだ.隣のJulaは, George Orwellが(イングランド人だが)この地を終焉の地と定めた島である,”1984年”を執筆した後,望み通りそこで亡くなった.何でも要領のいい人と いうのはいるもんだ.日本では,「火宅の人」檀一雄が,やはり終の棲家を島と定めている.博多の能古島である.博多は日本海側の気候で,冬は冷たい北西の 季節風,海も荒れるし,冷たい雨の日が多い.そういう意味ではJulaと似ている.

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インヴァネス (Inverness)
日本でいえば、松江、金沢に相当するこぢんまりした静かな街である。ネス川にかかる橋から望むお城の姿と川面美しい。そして、噂通り、典型的なスコットランド訛を聞くことがほとんどない。インヴァネスの土地っ子の言葉は美しい。

もしあなたがハイランドだけに興味があるならば,ヒースローからいきなりインヴァネスに飛ぶのがよい.というのは,エジンバラあるいはグ ラスゴーからだと,ハイランドへの移動のための時間を無駄にしなければならないからだ.エジンバラ・グラスゴーとハイランドの往復だけで2日つぶれる.ま た夏のハイシーズンは,エジンバラーインヴァネス間のA9にせよ,グラスゴーからFort WilliamへのA82にせよ,車が多くて運転には結構神経を使う.走っているのも乗用車ばかりじゃなくて,lorries(でかいトラック・トレー ラーの類)やキャンピングカーといった車も多く走っているから,追い越しなんかにも気を使う.だから,あのいまいましいヒースローからいきなりインヴァネ スに飛んで,そこで車を借りて,好きなところへ走っていくというのは,ハイランド愛好家として賢い方法なのだ.ヒースロー以外に、GatwickやLutonからもインヴァネスの飛行機が飛んでいる。詳しくはインヴァネス空港のサイトを参考にしていただきたい。

ネス湖はどうでもいいが、郊外にあるCullodenの古戦場だけは,どうしてもはずせ ない場所である.visitor centreの小劇場でのaudio-visualと銘打った出し物は,ただのスライドショーだが,スコットランドを愛する人間の脳には忘れがたい記憶を 刻みつける.
 

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ネス湖 (Loch Ness)
ただの細長い水たまりである.

と,私がそう言っても納得しない人は行くがいい.ただし,そういう人に一言だけ助言しておく.スコットランド旅行でネス湖に行ったと吹聴することは,東京に行って東京タワーに登ったと吹聴することに他ならない


マレイグ (Mallaig)
マレイグからSkyeへ渡る人は幸いである.

カイルオブロハルシュ (Kyle of Lochalsh)からはSkyeへは橋で渡れる.一方,マレイグからSkyeへは数少ないフェリーがあるだけだ.それでもなお,この小さな漁港の町を訪れる人が絶えないのは,この町と,ここに来るまでの道程に魔力があるからに他ならない.

グラスゴーからマレイグに至るまでの鉄道は,英国で一番の美しい車窓の眺めを提供してくれる.Fort Williamからは鉄道にほぼ平行して走る道路A830も,鉄道と同じくハイランドの秘密を教えてくれる.(写真は,グレンフィナンの鉄道橋).そのA830も終点に近づくと,モラール (Morar) の白い砂浜が,自分が南太平洋にいるのではないかと錯覚させてくれる(ただし運良く太陽が出ていることが必要).その砂浜を過ぎれば,もうマレイグだ.急いでSkyeに渡る必要はない.旅装を解いてから港を望む小高い丘に登り,愛しのSkyeを島の外から眺めるのもいいものだ.

マレイグのB&Bでのニシンの燻製とポリッジ(カラス麦のおかゆ)の朝食は,ティファニーでのそれよりもはるかに通人としての自尊心をくすぐる.その神々しい朝食を済ませ,マレイグの港で,やがて直にまみえるであろうCuillinの山々を水道の向こうに望み,かもめの鳴き声を聞きながらSkyeへのフェリーを待つ時間.その時間に一度魅入られてしまったら,自分の心を洗えるのは此処しかないという強迫観念に,あなたは一生つきまとわれるだろう.

時間の余裕,気持ちの余裕,ハイランドを楽しみたいという高貴な欲望,これらすべてを持ち合わせた人だけがマレイグからSkyeへ渡る資格を持っている.

マレイグからSkyeへ渡る人は幸いである.

あこがれのマレイグに行けずに写真で我慢するしかない人はこちら.

マレイグ付近の海岸同左の夕暮れWest Highland Hotel(庭先で草をはむ羊が絵になる),

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オーバン,マル島,アイオナ島 (Oban, Mull, Iona)
オーバン自体は何の変哲もない観光地.人も多いし,宿も高い.マル,アイオナに渡るための町としての意義しかない.(ただし,西海岸屈指の観光地 だから,リゾート気分でさんざん酔っぱらってから水平線に沈みゆく夕日を眺められるという特典がある町ではある.ただし運良く夕日が出ていればの話であ る).マル島にはそれなりの楽しみがある.Ionaは化粧品ではないので,イオナではなくアイオナと読む.アイオナは古いお寺しか売り物のないしけた島だ が,名所旧跡が好きな人は行けばいい.ちなみに私は行った.
アイオナ寺院といっても,荘厳というわけでもない.中も質素な作りで ある.しかしそこには代々48人ものスコットランド王の墓がある.スコットランドでは,王は死ねなかったのである.彼らはいつも殺された.だから回転が速 かったので,48も墓があるのだ.アイオナ寺院を建てた聖コロンバも,アイルランドで殺人を犯して,このちっぽけな島に逃げてきて,にわか坊主となったの である.洋の東西を問わず,血の歴史が名所旧跡を作るのである.

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Plockton
Kyle of Lochalshのちょいと手前,Skyeばかりに気を取られていると,ハイランドを愛する人間にとって,最も魅力的な町の一つを見逃すことになる.静か な入り江を臨むこじんまりとした町並み.90年に亡くなったが,今でもUKで最も有名なwalkerであるAlfred Wainwrightが絶賛する町である.Skyeへの観光客の流れからちょっとはずれているので,ハイシーズンでも静かである.

スコットランド人の中でも,プロックトンの魅力を知る人は少ないが,それは,この町の価値をむしろ高めていると言うべきだろう.知っている人はプロックトンと聞いただけで,目を輝かせる.僕なんか,興奮して鳥肌が立ってしまう.


Rannoch Moor
A82が自分の庭のすぐ先にあることはGlaswegeanの最大の特権だろう.市内から1時間足らずでBallochを過ぎると次々に名所が現れる.Loch Lomond, Ben Lomond, Crianlarichの山々・・・その次は,あの,”地球ではない”Glencoeかと思ってはいけない.なんでいけないかというと,その手前にRannoch Moorがあるからだ.人はそこでLoch Lomondはオペラの前奏曲に過ぎなかったのだと気づくだろう.人口80万の都市から車で2時間のところに,世界遺産たるべき荒涼たる自然の歌劇が展開される.

Rannoch Moorは,ハイランドに興味のない人にとっては,ひたすら広いだけの荒れ地である.しかしハイランドに一歩でも足を踏み入れた経験がある人にとっては, 麻薬のような土地である.もし今,私の前に魔法使いが来て,地球上(*)で一カ所だけ行きたい場所に連れていってくれると言ったら,私は躊躇なく Rannoch Moorに連れていってくれと言うだろう.(*正確に言えば,”地球ではない”という形容詞は,Rannoch Moorのためにとっておくべきである)

Rannoch Moorには通常の概念の範疇に入る地面というものがない.ましてや道はない.あなたの足元には,ヒースとぬかるみと岩が混在している地表があるだけだ. そこでは,ハイランダーの亡霊を意識することはあっても,現代に辟易として生きる人間の匂いはない.灰色の空の下,Rannoch Moorに降り立つだけで,あなたはそのままRob Royになれる.

このRannoch Moorは名作"Trainspotting"でロケに使われた.Rannoch Moorのど真ん中にあるCorrour Station(付近に道はなく,鉄道でしかたどり着けない駅!!)に例の5人組が降り立ち,Ewan McGregor扮するRentonが,”ど田舎のしみったれたスコットランドなんてくそくらえだ”と叫ぶシーンが印象的である.そう,Rannoch MoorはSt Andrewsの旗よりも,エジンバラ城よりも,ハギスよりも,ましてやただの細長い水たまりなんかよりも,はるかにスコットランドをよく象徴しているのだ.

そんなRannoch Moorをお手軽に楽しもうという人は鉄道を使うことだ.Glasgow-Fort William-(Mallaig)線は,徒歩ではたどり着けないようなRannoch Moorのど真ん中を走る.この線に乗れば,率直な人はその場で列車を止めて降りたくなるだろう.一旦降りてしまえば,次の列車が来るまで半日の間,そぼ ふる(あるいは土砂降り,とにかく)雨の中,誰にも邪魔されず,ひたすら思索に耽ることができる.あるいはもう少し慎重な人は,次の機会は車窓からではな くて,自分の足でRannoch Moorを楽しむ決断を下すだろう.ただし,その時はもちろん,ゴアテックス製合羽の上下とワックスをしっかり塗った革製の登山靴,そしてRannoch Moorの中ではじめて行き倒れになった日本人という名誉に備えて,生命保険を忘れずに.

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スカーイ島 (Skye)
スコットランド観光の白眉である.スコットランドで最も有名な観光地だが,その名声は汚されていない.誰が何と言おうと,スコットランド観光の目 玉はエジンバラでもなく,ネス湖でもない.正にスカーイへスカーイへと草木もなびくのである.スカーイが不便な田舎だとか,雨や霧ばかりの島だとか言う人 は二度とスコットランドには来てはいけない.霧雨にけむるCuillin(クーリンと読む)山脈に身震いするような美しさを覚える人だけが,このスコット ランドの宝を訪れるのにふさわしい.ただし,ゴア・テックス合羽の上下だけは必ず持っていくこと.スカーイでは丹念に探すと日本人でも満足できるうまい シーフードレストランにめぐり会える.

レンタカー以外でスカイに行く一番簡単な手段は長距離バスを使うことだ.これは観光ツアーのバスではなく,長距離路線バスだ.電車はKyle of Lochalshまでしか行かないから,意味がない.夏は一日4-5往復Scottish Citylinkがバスを運行している.ただし,スカイのような田舎で,車がない時,一日中雨だったらどうやって過ごすかをよーーっく考えておいた方がいい.

エジンバラからこれで行ってPortreeかUigに一泊して帰ってくるというのが一番お手軽なスカーイの楽しみ方だろう.島の中を巡るというわけにはいかないが,Kyle of LochalshからUigまでの道のりでスカーイの風景を堪能できる.InvernessからKyle of Lochalshまでの道のりも典型的なハイランドの風景だ.

Kyle of Lochalshへ向かう途中にあるイーリン・ドナン (Eilean Donnan)城が湖に浮かぶ姿,とくに夕暮れ時のそれは,ぞっとするほど美しい.

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トリドン (Torridon):地元のホームページは→こちら
ハイランドにあこがれるあなたならば,死ぬまでに一度行きたいと思う土地である.スコットランドで最も美しいと言われる場所である.その伝説の地では信じられないようなことが起こる.

私がGlen Torridonを通ったときだ.例によってしのつく雨の下,私のFord KAはBeinn Eigheの急峻な斜面の底の一本道をゆっくりと走っていた.前方から三つの人影が近づいてきた.三人ともキルトをまとい,大きな野営用のリュックを背負い登山靴を履いていた.先頭の男のリュックからは黄地に赤いRampant Lionの旗がそびえ立っていた.みな髭ぼうぼうの顔で眼光だけがやけに鋭く,黙々と歩いて行った.信長狙撃に向かう鈴鹿峠の雑賀衆か,はたまた池田屋に向かう途中の四条烏丸の新撰組かと,そんな殺気さえ感じる姿だった.

ハイランドを巡っていると,今にも向こうからハイランダーが歩いてきそうな錯覚に陥る土地が多い.しかしその時私の見たものは幻影ではなかった.Torridonは伝説が現実化する土地である.

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アラプール (Ullapool)
裏プールと読んではいけない.スコットランド北西岸の小さな漁港の町である.残念ながら鉄道の便はないが,バスの便はある.Invernessから1時間半。この町で最も大きな音 は,時たま聞こえるかもめの鳴き声だと言えば,どんな町か容易に想像できるだろう.しかし,ハイランドの最も美しい場所に関心がある人にとっては,最高の 観光拠点である.海産物をおいしく食べさせてくれる料理屋も,ここでは比較的容易に見つかる.沖合いに広がるSummer Islesへのクルーズも楽しい.Handa島、Ardvreck城、Ross, Sutherlandの個性的な山々、Gairloch・・・・町を出てどの方向に車を走らせてもスコットランドの宝石に出会える.

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Sea stacks(いくつものOld Men)
スコットランド西海岸には,通称,Old Man of ○○と呼ばれる,砂岩の巨大な塔(Giant Sea stacks)がいくつもある.スコットランドで一般的に一番有名なものは,SkyeのPortreeのちょいと北にあるOld Man of Storrだろう.ただし,これは海岸ではなく,内陸部にあるので,sea stackとは言えないのかもしれない.一方,映画”世界の果てに”で,それに負けずに日本で有名になったのが,やはり西海岸,Ullpoolの北,Bird Sanctuaryで有名なHandaのちょいと南にある,Old Man of Stoerである.

それより更に20マイル北東,英国で一番静かで美しい砂浜,Sandwood Bayの西南端にあるのが,Am Buachaille (The Herdsman)と呼ばれているSea stackがある.

Sea stackは,長年にわたる風雨+波の浸食による砂岩の特異な崩落が原因でできたと言われている.

その形成過程から言っても,Old Menは厳しい自然に曝されつづけている場所にある.したがって,映画で見たからといって,いずれも簡単に近づけるような場所にはない.それでも行きたい という方は,このホームページのあちこちをめくって,山歩き,湿地歩きの体力作りも含めて,周到に準備されたし.


スコットランドのホームページへ