追加接種先進国におけるADEの検討 第1報
オミクロン株流行下での追加接種とコロナ死亡推移の国際比較

私がこの調査を行うきっかけとなったのは,この記事を読んで→コロナで死者急増の韓国 ソウルなどで火葬場不足解消されず(聯合ニュース 2022.04.06)追加接種最先進国である韓国で,なぜ火葬場不足が起きるほどコロナ死が急増したのか?」という素朴な疑問でした。
要約
背景と目的:予防接種というからには感染、入院、重症化あるいは死亡等の何らかの感染被害を低減するはずである。ところが現実には高いワクチン追加接種率を達成した先進諸国で逆にCOVID-19による死亡が増えることが観察され、その原因として抗体依存性増強(ADE antibody dependent enhancement) and/or 抗原原罪(OAS original antigenic sin)が疑われている。 そこでCOVID-19による死亡数(以下死亡数)に対する追加接種の影響を感度良く検出する目的で 公表資料を用いて以下の検討を行った。

対象と方法:対象国はオミクロン株流行以前の単位人口あたりの死亡数が日本よりも低かった
シンガポール、韓国、オーストラリア、ニュージーランドと日本の5ヶ国。独立変数として追加接種率並びに流行状況、従属変数(評価指標)として死亡数の,それぞれの経時的変化(観察期間は2021年9月16日~22年4月7日)を公開資料(Our World in DataWorldometer)に基づき比較検討した

結果日本以外の他の4ヶ国では、本来は弱毒株であるはずのオミクロン株流行下で流行のピークに一致してCOVID-19による急激な死亡の増加が観察された。これら4ヶ国では全例流行ピーク以前に追加接種率が40%を超えていた。 一方追加接種開始が他国よりも1ヶ月も遅れ、さらに検査陽性者数がピークだった時点(2022年2月11日)でさえ接種率がわずか11%だった日本では、急激な死亡の増加は観察されなかった。

結論本来弱毒株であるオミクロン株流行下でのCOVID-19による急激な死亡の増加の原因は、新型コロナワクチンによるADE/OAS以外には考えられない。日本が辛うじてADE/OASを免れた原因は、早期の追加接種を要求せず、プログラム開始後も安易に接種に応じなかった多くの市民の待機的態度に求められる先進国でも類い希なワクチンリテラシーに基づいた日本の市民の行動を、単なる偶然や幸運と片付けることなく、いわゆる「感染症専門家」たちの不誠実で傲慢なコミュニケーションの検討を含め、今後更なる研究を進めることこそが今回のような地球規模で生じた悲劇の予防に繋がると信ずるものである。

今回の検討の目的とその背景
予防接種というからには感染、入院、重症化あるいは死亡等の何らかの感染被害を低減するはずです。ところがこれまで世界中で接種されてきた新型コロナワクチンには当初の期待に反し、有効性が短期間で消失してしまうことがわかりました。そこで追加接種を行うようになったのですが、今度は接種が却ってCOVID-19による死亡を増加させる現象が追加接種に熱心な先進国を中心に観察されるようになりました「どんどん打って」死亡が急増。その原因として抗体依存性増強(ADE antibody dependent enhancement) あるいは 抗原原罪(OAS original antigenic sin ワクチンと抗原原罪  荒川 央)が疑われています(ADEの原因となった追加接種。日本の出遅れは大正解だった)。ところが元々COVID-19による死亡が多い=バックグラウンドが非常に高い欧州や北米では、ADE/OASによる死亡を感度良く検出することが困難です「どんどん打って」死亡が急増。今回の検討の目的は、韓国やオーストラリアのように、オミクロン株流行以前は単位人口あたりの死亡数が日本よりも低かった=バックグラウンドが低かった、アジア・太平洋地域の(かつての)感染制御優等生国に注目して、追加接種に伴うADE/OASを感度良く捉えることにあります。

方法
●用いた資料は毎度おなじみのWorldometer(各国死亡数の推移)とOur World in Data(各国追加接種率の推移)です。
●検討対象国はオミクロン株流行以前は単位人口あたりの死亡数が日本よりも低かった、アジア・太平洋地域の感染制御優等生4ヶ国(シンガポール、韓国、オーストラリア、ニュージーランド)と日本の5ヶ国
●独立変数は追加接種率(Our World in Data)、従属変数は単位人口あたりの死亡数(Worldometer
●検討対象日は各国の追加接種開始日、開始以後の接種率の経過、オミクロン株の流行状況を考慮し、以下の通り設定
―2021年9月16日(シンガポールが追加接種開始。他の4ヶ国は追加接種開始前)
―同年11月7日 シンガポールは接種率18.1%。韓国、オーストラリア、ニュージーランドの3ヶ国はいずれも接種開始直後で接種率1%未満。
―同年12月21日 日本が最後発で接種開始
―2022年2月1日 5ヶ国全てでオミクロン株感染第1例確認後4週間以上経過
―同年2月28日 5ヶ国全てでオミクロン株感染第1例確認後8週間以上経過
―同年4月7日 5ヶ国全てでオミクロン株感染第1例確認後13週間以上経過

結果 表はエクセルシートをダウンロードできます 追加接種率の経過はOur World in Data お子様の自由研究に、高校の部活に、大学のレポート課題に御活用ください。


結果のまとめ
(お急ぎの方はここだけ読んでください)
日本以外の他の4ヶ国では、本来は弱毒株であるはずのオミクロン株流行のピークに一致してCOVID-19による急激な死亡の増加が観察された。これら4ヶ国では全て流行ピーク以前に追加接種率が40%を超えていた。 一方追加接種開始が他国よりも1ヶ月半も遅れ、さらにオミクロン株流行がピークを迎えた時でさえ接種率がわずか11%だった日本では、他の4ヶ国で見られた急激な死亡の増加は認めなかった。

結果の細かな説明(お時間のある方向け)
1.接種率の推移にもオミクロンの流行状況にも各国間で差があるこの差と死亡数/BLの経過の差に関係があるかどうかに注目して各国の経過を見ること!!
●接種開始以前の2021年9月16日における100万人あたりの死亡数(以下 死亡/100万)は日本の135に対し他の4ヶ国では7~47と日本の1/3あるいはそれ未満だった。
●22年2月1日の時点でシンガポール58%、韓国53%、オーストラリア32%、ニュージーランド27%であったのに対し日本は4%であった。
●2月1日以降も日本の接種率は他の4カ国にキャッチアップすることなく経過した。Our World in Dataのグラフを見れば、日本の接種率曲線はオーストラリア・ニュージーランドを右へ(後ろへ)平行移動した形になっていることがわかる。
●韓国では12月に入ってから、オーストラリア、ニュージーランドでも2022年1月に入ってから接種率が急速に上昇した。
●オミクロン株の流行開始(国内第一例発見日)は最も早いオーストラリアで21年11月27日,最も遅いニュージーランドで12月15日であった。
●流行開始日に比べて流行のピークは国により非常にばらつきが大きく、最も早かったのがオーストラリアの22年1月17日、最も遅かったのが3月19日と2ヶ月も開きがあった。
●死亡/100万は日本以外の4カ国では接種が進むにつれ増加し,21年9月16日時点での死亡/100万に対する死亡/100万の比(以下 死亡数/BL比)22年4月7日時点でのは,シンガポール21.9、韓国7.7、オーストラリア5.5、ニュージーランド13.3,といずれも著明に上昇していたのに対し,日本は1.7に留まっていた。

2.各国別の結果
特にオミクロン流行開始、ピークと接種率・死亡数/BL比の関係に注目すること。
シンガポール:2021/9/16 追加接種開始から8週間経った11月7日時点(12月9日のオミクロン株国内第一例報告以前であることに注意)で死亡数/BL比が8.4と顕著に上昇していた。以後は接種率が上昇するに従って死亡数/BL比も上昇し続けた。
韓国:オミクロン株国内第一例報告の21年12月以降は接種率とともに死亡数/BL比が徐々に上昇していたが、最も顕著だったのは同国でオミクロン流行がピークを示した3/19を挟んだ22/2/8→22/4/7の3.4→7.7だった。
オーストラリア死亡数/BL比が最も上昇したのは、同国でオミクロン流行がピークを示した22/1/17を挟んだ21/12/21→22/2/1の1.9→3.4だった。
ニュージーランド:追加接種が開始された21年11月以降、接種率はオーストラリア同様順調に上昇していたが、死亡数/BL比は22/2/28まで大きな変化がなかった。それが突然上昇したのは、やはり同国でオミクロン流行がピークを示した3/10を挟んだ22/2/28→4/7の2.1→13.3であった。
日本:接種開始が2021年12月下旬と5ヶ国中で最も遅く、キャッチアップもできなかった。そのため、オミクロン流行ピークの22年2月11日の時点でも接種率は11%と低く、ピークから2週間以上経過した同年2月28日の時点でも21%に止まっていた。一方死亡数/BL比は22/2/1→2/28→4/7で1.1→1.4→1.7と小幅な上昇に止まった。

考察
1.なぜADE/OASが死亡増加の原因だと言えるのか?
●可能性のある有害事象を積極的に捉える姿勢が肝要:ADEについては大阪大学のグループが感染増強抗体を見いだしています(新型コロナウイルスの感染を増強する抗体を発見―COVID-19の重症化に関与する可能性、 Cell 2021 Jun 24; 184(13): 3452–3466.e18.)またOASについても、新型コロナで立証された事例はありませんが、だからといって否定できるわけではなく、可能性のある有害事象は感度を高くして早期に検出する姿勢が極めて重要です。
●今回の私の検討では、上述のように感度を高めたデザインに加え特異度も高める工夫も行いました。その結果、死亡数/BL比上昇の原因として、ADE/OAS以外の因子は非常に高い精度で排除できる研究デザインにもなっていました。
①調査対象となった5カ国全てで十分に高い2回目接種率(シンガポール91%~ニュージーランド・日本80%)やマスク、social distanceなどの感染予防の徹底。
②接種率とオミクロン流行度(検査陽性者数)という2つの独立変数と、従属変数(評価指標)として死亡数/BL比の推移の関係を検討するデザイン。
●さらに得られた結果も特異度の高さ、すなわちADE/OAS以外の原因は考えにくいことを示しています。それは、第一に、日本を除いた4カ国での死亡数/BL比の顕著な増加は必ず流行のピークに伴って起きていたからであり、第二に、接種が大幅に遅れた結果オミクロン流行ピーク時でも接種率が11%に止まった日本では、他の4カ国で見られたような、死亡数 /BL比の顕著な増加は一切観察されなかったからです。この所見は先に行った探索的検討の結果と一致しています(ADEの原因となった追加接種。日本の出遅れは大正解だった

2.デルタ株でもADE/OASは起こっていた:シンガポールの知見から
今回検討した5ヶ国の中で他の国と違って特異な経過を辿った国があります。それが最終的な死亡数/BL比が21.3と異常な上昇を示したシンガポールです。これは唯一シンガポールだけでデルタ株流行時期と追加接種推進の時期が重なったためですシンガポールにおける検査陽性者数と死者数の推移)。
●シンガポールでのデルタ株が他国に比べて遅れて流行した。例えば日本ではデルタ株は流行の始まりが21年7月半ばで9月一杯で収束したのに対し(Worldometer Japan)、シンガポールでの流行は9月半ばから始まり12月半ばまで3ヶ月間続きました(Worldometer Singapore)。
●韓国、オーストラリア、ニュージーランドが2/21年11月初めから開始したのに対し、シンガポールは同年9月14日と1ヶ月半も早かった。
●シンガポールで2021年11月7日時点で死亡数/BL比が8.4と顕著に上昇していた時の追加接種率が18.1%と決して高くはなかったことに対する説明としては:
―デルタ株はオミクロン株よりも強毒だったので追加接種率が低くてもADE/OASが生じやすかった。
―この時点ではまだ2回目接種の影響も残っており、追加接種に加えて2回目接種の作用も重なってADE/OASが生じやすかった。
といった可能性が考えられるが、実際に寄与した要因がどれかは特定できない。

結論追加接種最先進国である 韓国で火葬場不足を生じるほどのコロナ死の激増の原因はADE/OAS以外にはあり得ない。他の3ヶ国でも同様である。
本来弱毒株であるオミクロン株流行下でのCOVID-19による急激な死亡の増加の原因は、新型コロナワクチンによるADE/OAS以外には考えられない。日本が辛うじてADE/OASを免れた原因は、早期の追加接種を要求せず、プログラム開始後も安易に接種に応じなかった多くの市民の待機的態度に求められる。先進国でも類い希なワクチンリテラシーに基づいた日本の市民の行動を、単なる偶然や幸運と片付けることなく、いわゆる「感染症専門家」たちによる,不誠実で不勉強で傲慢な,そして無責任極まりないコミュニケーションの検討を含め、今後更なる研究を進めることこそが今回のような地球規模で生じた悲劇の予防に繋がると信ずるものです。
「大切な人のため」にならなかったワクチン
私たちはワクチンヘイトではありません。ただワクチンで死にたくないだけですそして生きて「戦後」を見届けたいだけです。心ならずもこの世を去って行かねばならかった人達のためにも。いつまでも非国民だと思うなよ。

台湾のADEに学ぶ
ADEの原因となった追加接種。日本の出遅れは大正解だった
「どんどん打って」死亡が急増
追加接種はもう御免。ADE/抗原原罪を増やすだけ。
懸念すべきは追加接種率上昇に伴 うADE:日 本は韓国の轍を踏むのか?
医者を信用しないこと
新コロバブルの物語
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