日本が世界に誇る薬毒物分析の最高権威 土橋 均氏のプロフィールと業績

(注:ここに記すのは,すべて公開情報であり,この他にもたくさんの業績をお持ちと思われるが,土橋鑑定に無関係のものは省略)

土橋氏の研究者情報・所属情報・専門分野・研究課題(日本の研究.com)researchmap土橋均

職歴
-2010:大阪府警察本部科学捜査研究所
2010-15:大阪医科大学 予防社会医学講座法医学 准教授(参考:土橋均吏員はすでに大阪府警科捜研にはいなかった
2015-現:名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科 法医・生命倫理学招聘教員

現所属:学会と役職
 (2017/5/9現在)
名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科 法医・生命倫理学招聘教員
法中毒学会 副理事長
医用マススペクトル学会 評議員
薬学会 , 法科学技術学会 , 質量分析学会

土橋鑑定に関する学術活動・刊行物に関与した学会(「日本」は省略)
法中毒学会法科学技術学会法医学会(中でも法医中毒学ワーキンググループ),薬学会(中でも中毒学を担当する環境・衛生部会),医用マススペクトル学会中毒学会

研究費
日本学術振興会 科学研究費
代表 分担 番号 種別 期間 金額総額(万円) 題名
土橋均
24590065 基盤C 2012-14 494 薬物摂取歴推定の高度化のための単毛髪質量イメージング法の開発と取込機構の解明
佐藤 貴子 土橋均 15K08890 基盤C 2015-17 494 メタボロミクスを用いた向精神薬多剤併用による突然死の病態解析と法医診断への応用
石井 晃 土橋均  15H02530 基盤A 2015-17 2080 最新質量分析計による体液中危険ドラッグの検出・同定法の開発及び学際的検討
鈴木 廣一 土橋均 25460880 基盤C 2013-15 507 熱中症の法医確定診断-メタボロミクスを用いた診断に有用なバイオマーカーの検討




合計 3575 (この金額が全て土橋氏の懐に入るわけではないことに注意)
土橋氏の講演(あくまでネットで公表されている分のみ)
1999/9/9 日本分析化学会 第48年会 分析化学教育関連シンポジウム 法化学における薬毒物分析の現状 甲南大学
2002/7/5-6 第21回日本法中毒学会年会 会長 大阪産業創造館
2005/6/21 第129回応用光学懇談会講演会 大阪府警・科学捜査研究所『薬毒物分析における起因物質の分析』
2005/11/15 日本分光学会 平成17年度秋季講演会・シンポジウム・LIBS企画セッション 「覚せい剤分析における簡易拡散反射装置の開発」 島津製作所 関西支社マルチホール
2009/5/14 第57回質量分析総合討論会ワークショップ 取り締まりMS,乱用薬物 大阪国際交流センター
2009/9/10 第 34 回日本医用マススペクトル学会年会 シンポジウム質量分析が護る食の安全 近畿大学 E キャンパス B 館 101 講義室
2009/11/12 第3回食品薬学シンポジウム 招待講演 「食品に対する毒物混入事件」 近畿大学 11月ホール
2010/9/1 第11回質量分析シンポジウム 大阪大学大学院理学研究科 H棟7階大セミナー室 (H701)
2010/9/9 日本医用マススペクトル学会 第35回年会 ランチョンセミナー (株式会社島津製作所) 金城学院大学
2011/3/14 分析技術研究会 第106回研究発表会・講演会(パナソニックリゾート大阪)特別講演「ダメ絶対乱用薬物」
2011/9/15 第36回日本医用マススペクトル学会年会 法中毒学MS最近の話題(オーガナイザー)ホテル阪急エキスポパーク
2012/06/18 (株)島津製作所 質量分析セミナー 2012in大阪 千里ライフサイエンスセンター 【招待講演】「違法(脱法)ドラッグ -乱用の現状と分析-」
2012/06/21 (株)島津製作所 質量分析セミナー 2012in東京 ベルサール八重洲 【招待講演】「違法(脱法)ドラッグ -乱用の現状と分析-」
2015/9/18 フォーラム2015:衛生薬学・環境トキシコロジー フォーラムV:忍び寄る薬物汚染(座長) 神戸学院大学ポートアイランドキャンパスB号館
2015/9/19 第3回医用質量分析認定士講習会 ランチョンセミナー(株式会社島津製作所) 薬毒物分析におけるデータベースの利用 アクトシティ浜松


ベクロニウムの質量分析に関する業績:特に海外の研究との比較

No 公表時期 公表媒体・機会 m/z258 m/z557 or 279
1 1989年3月 Organic mass spectrometry 1989;24:723 ×
2 1998年3月 日本薬学会第118年会(学会報告) ×
3 1999年5月 法中毒(学会発表) ×
4 2000年9月 Clin Chem 2000;46:1413 ×
5 2001年2月 土橋鑑定*1 ×
6 2001年3月 毒劇物テロ対策セミナー(講演抄録) ×
7 2001年8月 薬毒物分析実践ハンドブック(書籍)*2,*3 ×
8 2001年11月 土橋証言(第一審) ×
9 2006年3月 薬毒物試験法と注解(書籍) ×
10 2011年1月 法科学技術2011;16:13 ×

○はベクロニウム由来のイオンとして認めていること,×は認めていないことを示す
No.1はハーバード大学,No.4はチューリヒ大学からの論文.他は土橋氏の業績・証言
*1 実験ノートがないので実験を行った日も不明.01年1月〜3月と推測されるのみ
*2書籍の発売は02年5月だが,脱稿期限が01年8月と序文に明記
*3 308ページの表6.6中の前駆イオン[M+H]2+は2価の分子量関連イオンのm/z279を示す


日本の質量分析の権威,土橋氏がm/z258を見限った経緯についての考察
89年のハーバードのBakerらの論文(Organic mass spectrometry 1989;24:723)は,分子量557のベクロニウムの分子イオンはm/z557であるという至極まともな結果を出したに過ぎない.率直に言って平凡すぎる結論である.だから,それよりも9年も経って,m/z258が分子量関連イオンだと学会発表した土橋氏は,歴史に残る独創的な発見だと欣喜雀躍したものと思われる.本来ならば,世界で初めての独創的な発見だと思った時こそ,何かの間違いではないのかと実験系をチェックしなければならないのに,それを怠ったことから,土橋氏の研究不正が始まった.

それでも2000年9月のGutteck-AmslerとRentschの共著論文(Clin Chem 2000;46:1413)に気づいてさえいれば,史上最悪の研究不正は生まれなかったはずである.ところが,土橋氏はこれも見落としたか,あるいは自分の独創的なm/z258可愛さのあまり,無視したか,いずれかの理由で,鑑定を行ったことにした.「行ったことにした」と表現したのは,彼が鑑定を行ったという形跡が一切見られないからだ.ハートマークを書いた実験ノートさえ実在しないのだから,第三者の私が,「行った」とは到底断言できないことは,いささかでも研究の心得があれば,わかっていただけるだろう.

土橋氏がそれまで溺愛していたm/z258を見限ったのが,2001年8月.鑑定からわずか半年ほどである.ではなぜこの時期に見限ったのだろうか.推測の範囲を出ないが,m/z557・279に乗り換えざるを得なかった理由があったことは確かである.もしかしたら,薬毒物分析実践ハンドブックを,英語版 Drugs and Poisons in Humans. A Handbook of Practical Analysis. Springer 2005として出版することが,既に日本語版の原稿執筆時に決まっており,そのためにはどうしてもm/z258を見限らざるを得なかったのかもしれない.いずれにせよ,江戸時代じゃあるまいし,日本独自の分子量なんて,そんなもん,通用するわけがなかったのだ.

法的リテラシー