第36回日本眼腫瘍学会開催にあたり
           会長:高比良 雅之(金沢大学大学院医学系研究科眼科学) 


 この度、第36回日本眼腫瘍学会を金沢で開催させていただくこととなりました。伝統ある本学会の会長を拝命し、学会員ならびに関係各位の皆様には厚く御礼申し上げます。
 「眼腫瘍」という分野は、例えば白内障や緑内障といった代表的な眼疾患に比較すればその症例数は少ないですが、病態によっては失明の危機のみならず生死にかかわることがあり、その意味でも大切な領域と考えます。今後も社会の高齢化に伴いますます症例数も増えるものと予想されます。そのような背景のなか近ごろ具体化した活動としては、希少がん対策ワーキングを中心とした診療支援の啓蒙活動や、眼腫瘍の全国登録システム構築やガイドライン作成のための研究が進行中です。今後も本学会が礎となってそのような活動が継続し拡大することが望まれます。また、他領域では様々な腫瘍に対する分子標的治療薬の開発や導入の動きが目覚ましく、今後は眼腫瘍における適用が広がることも期待されます。
 今回は学会のテーマを「境界領域への挑戦!!」と称して、眼腫瘍の周辺疾患や背景となる病態にも注目したいと考えます。そのひとつとして、悪性腫瘍との関連が深い炎症性疾患である IgG4関連疾患の特別講演を企画しました。 IgG4関連疾患は私自身が 2004年に初めての症例を経験して以来、大変に思い入れの深い病態です。昨年の本学術集会でもそのシンポジウムが企画され、そこでは眼領域の病態についての最近の知見をアップデートしました。今回は、他科の観点から特に悪性腫瘍との関連について、内科、病理、放射線科の先生方にご講演をいただきたいと思います。また、もうひとつの「境界領域への挑戦!!」の企画として、血管腫とその異同が問題ともなる血管奇形などの類縁疾患に関したシンポジウムを予定しています。網脈絡膜、眼瞼・結膜、眼窩の血管腫とその類縁疾患を第一線で診療されている先生方にご登壇いただき、会場からの活発な討論も期待いたします。
 開催地の金沢では、北陸新幹線の開業以来、街の様子が一変しました。特に休日には大変込み合いますが、観光名所や施設も随分整備されましたので、金沢は久しぶりだという方々にもその変貌ぶりを満喫していただけるものと思います。皆さまお誘い合わせのうえご参加くださいますようご案内申し上げます。

 

連絡先
第36回日本眼腫瘍学会 事務局
〒920-8641 金沢市宝町13-1
   金沢大学眼科内
076-265-2403 076-222-9660
(当日は電話には対応できません)
jsoo2018@med.kanazawa-u.ac.jp