会長挨拶・副会長挨拶
会長挨拶
東京女子医科大学 医療安全科 脳神経内科 教授
清水 優子

このたび、第38回日本神経免疫学会学術集会の会長を拝命し、誠に光栄に存じます。2026年10月22日(木)から24日(土)までの3日間、浜松町コンベンションホール(東京)にて開催いたします。本会場での開催は東京では初となりますが、アクセスのよい場所ですので、多くの皆様にご参集いただきたいと存じます。
本学術集会では副会長を設け、鎌ケ谷総合病院 脳神経内科部長・神経難病医療センター副センター長の大橋高志先生にご就任いただきました。現在、大橋先生とともに、実りある学会となるようスタッフ一同、準備を進めております。
本学術集会のテーマは「わたしたちは神経免疫を変えられる ― より健やかな未来へ」です。診療・研究・教育の三位一体の歩みが着実に進む中、神経免疫学は今、学術的にも臨床的にもかつてない進展を遂げております。その先には、探求の積み重ねにより、さらなる医療の高みと、より健やかで希望に満ちた未来の創出へつながってまいります。
振り返れば、私が神経内科の臨床実習をしていた頃、日本でHTLV-1関連脊髄症が発見され大きな話題となりました。研鑽を積む中、多発性硬化症(MS)のミエリン塩基性タンパク(MBP)に関する重要な知見が示され、米国留学中にはMBPの経口トレランスと腸管免疫が『The New York Times』に紹介されるなど、神経免疫治療が転換期を迎えていることを実感しました。2004年にはアクアポリン4(AQP4)抗体の発見によって視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の概念が確立され、診断・治療の体系が刷新されました。2000年には本邦でMSに対するIFNβが承認され、それを皮切りに重症筋無力症、NMOSD、慢性炎症性脱髄性多発神経炎などにも新たな治療薬が次々と登場し、患者さんの予後が大きく改善されたことは、日常臨床において実感されていると思います。
さらに、モノクローナル抗体などの神経免疫学に基づいた治療アプローチは多領域の疾患へと展開しています。治療選択肢が増える中で、患者さん自身のライフスタイルや人生設計、さらには家族や次世代への想いを見据えた医療が求められるようになりました。今まさに、患者さんをチーム医療の一員として捉え、「いかに最善の医療を届けるか」が私たちの真価を問われる時代に入りました。
このような変革期において、本学会の果たすべき役割はこれまで以上に重要です。次世代を担う若手研究者の育成、基礎と臨床の架橋、学際的な連携の深化、医療の質の向上、そして神経免疫の未来を切り拓く場としての使命を強く感じております。
本学術集会が、皆さまの知見と情熱を結集し、神経免疫のさらなる進化と、患者さんのより健やかな未来に寄与する場となることを願ってやみません。皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げております。
副会長挨拶
鎌ケ谷総合病院 脳神経内科 部長
大橋 高志

このたび、第38回日本神経免疫学会学術集会の副会長を拝命いたしました。2026年10月22日(木)から24日(土)の3日間、会長を務める清水優子先生とともに、浜松町コンベンションホールで皆様をお迎えできますことを大変光栄に存じます。
本学術集会は、神経免疫学における多様な疾患を横断的に捉え、研究者や医療従事者が一堂に会する貴重な機会です。この領域においては、特に多発性硬化症における病態解明が著しく進展し、B細胞を標的とした治療は再発予防や障害進行抑制に大きな成果をあげています。視神経脊髄炎スペクトラム障害や重症筋無力症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎においても、近年の新薬と治療指針の刷新により、従来の治療法に反応しなかった患者さんにも効果が示されるようになり、治療の幅が広がっています。また、グルココルチコイドの使用量が減少したことで、患者さんのQOLが著明に向上し、より豊かな未来を築ける可能性が広がっています。
本学術集会のテーマ「わたしたちは神経免疫を変えられる — より健やかな未来へ」にふさわしく、科学的な知見と臨床の現場がより密接に連携することで、神経免疫疾患を持つ患者さん一人ひとりへ明るい未来を届けたいと私たち一同は考えております。基礎から臨床、さらには社会的視点をも取り入れた活発な議論が交わされることを願っております。
また、会場となる浜松町は、浜離宮恩賜庭園や東京タワー、増上寺へのアクセスも良好で、水辺の散策や夜景観賞など、学術集会の合間にもリフレッシュできるエリアです。参加者の皆様には、こうした魅力的な環境もぜひご堪能いただきたく存じます。
最後に、この学術集会が皆様にとって有意義な学びの場となるよう、また、患者さん・ご家族のご期待に添えるよう、関係者一同、精一杯務めさせていただきます。全国から多くの皆様にご参集いただき、関連職種、関連企業の方々とも交流を図っていただけましたら幸いです。皆様の積極的なご発表・ご参加を心よりお待ちしております。