医療従事者の方へ

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1.IRUD(未診断疾患イニシアチブ)診療体制

IRUD(Initiative on Rare and Undiagnosed Diseases:未診断疾患イニシアチブ)は、日本医療研究開発機構(AMED)によって推進され、全国規模での未診断疾患や希少疾患の患者さんの診断、さらに病態の解明を進めることを目的としています。患者さんの病状について専門的な検討を行った後、明らかな環境要因や後天的要因で説明できるものは除き、遺伝子検査等の追加解析を含めて診断の確定を目指します。

大阪大学医学部附属病院は未診断疾患イニシアチブの拠点病院となっており、地域連携医療機関と連携しながら、本研究を進めてまいります。具体的には、患者さん、ご家族から血液を19ccほど採取させていただき、ゲノムDNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いて遺伝子配列を決定します。遺伝子解析結果と患者さんの症状を詳細に検討することにより、25〜30%の患者様で原因を特定することができます。


2.ご紹介をいただきたい基準

以下の 1又は 2を満たし、 6ヶ月以上にわたって( 乳幼児は除く)持続し、生活に支障のある症状があり、診断がついていない状態。
1) 2つ以上の臓器にまたがり、一元的に説明できない他覚的所見を有すること。
2) なんらかの遺伝子異常が疑われる病状であること。
(血縁者、兄弟に同じような病状が認められる場合を含む。)


3.ご紹介の流れ

IRUDを進めるため、各地域に地域拠点病院を配置しています。大阪大学医学部附属病院はIRUD診療の拠点病院となっており、かかりつけの医院や病院から診断がついていない患者さんのご紹介を受け付けております。大阪大学医学部附属病院へのご紹介が困難な場合は、地域連携医療機関へご紹介下さい。

連携図

大阪大学医学部附属病院、地域連携医療機関受診後、必要に応じて検査を行い、病院内で専門的な検討を行います。既知疾患の診断に至らなかった場合、IRUD拠点病院診断委員会で診断についての検討を行ったのち、解析センターでゲノム(全遺伝情報)解析を行います。ゲノム解析実施後の診断結果は、大阪大学医学部附属病院や地域連携医療機関を通じて、かかりつけ医、患者さんに報告されます。必要に応じて、治療、養育情報、遺伝カウンセリングを提供いたします。


<事前のご相談など、直接のお問い合わせ先>

大阪大学医学部附属病院 IRUD相談窓口(遺伝子診療部内)
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-15
Phone: 06-6879-6558 Fax: 06-6879- 6539
Email: jimu@hp-gensel.med.osaka-u.ac.jp

1)患者さんを大阪大学医学部附属病院へご紹介いただく場合

大阪大学医学部附属病院へご紹介いただく際は、事前に、IRUDコンサルシートをご記入いただき、シートの3枚目(「コンサルトシート」)のみをPDFの形で、上記IRUD相談窓口にメールしてください。

<IRUDコンサルシート ダウンロードはこちら>

コンサルトシートの情報をもとに、まずは上記の基準を満たしているか、該当診療科医師・臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーと事前に討議し、結果をご連絡いたします。
その後、ご紹介いただいた先生に当院のIRUD診断委員会(1回/月 開催)で、詳細な臨床情報をご提示いただき、IRUDエントリーの可否を審議いたします。2020年10月よりオンラインも併用してIRUD診断委員会を実施しております。

患者さんをご紹介いただく際には、担当医の先生にお願いしている手順がいくつかございますので、まずは大阪大学医学部附属病院 IRUD相談窓口(遺伝子診療部内)にお問い合わせください。

2)当院へご紹介が難しい場合

当院に直接ご紹介いただけない場合、大阪近辺の地域基幹病院の中にIRUD協力病院があり、専門医による診察の上、当院へご紹介いただける場合がございます。IRUD協力病院については、当院IRUD相談窓口にお問い合わせください。

また、他府県など地理的に当院への紹介が難しい場合には、全国的に広がるIRUD研究体制の下で、お近くの地域拠点病院への御紹介をお願いいたします。お近くの地域拠点病院については、IRUDホームページ内のIRUD拠点病院をご参照いただき、患者さんの最寄の拠点病院をご確認ください。

IRUD拠点病院 https://plaza.umin.ac.jp/irud/core_hospitals.php

Q&A

  • 患者・家族に受診費用のほかに検査費用の負担はありますか。
    現在のところ、ゲノム(全遺伝情報)解析に対する検査費用に関しては研究費で支払いますので、患者さん・御家族に負担はありません。受診の際の所定の受診料や他の検査費用はご負担いただきます。
  • 希望すれば、必ず検査を受けられますか。
    研究費に限りがありますので、同胞例や、多系統に症状が及ぶ患者さんを優先させていただいております。
  • 結果の報告にどのくらいの期間がかかりますか。
    多数の遺伝子を調べるため、結果について慎重な判断を要します。数か月以上かかることがあります。
  • 検査の陽性率はどのくらいでしょうか。
    既知疾患の原因遺伝子の大部分を網羅する検査ですが、未診断症例における陽性率は、海外の報告で25~30%程度とされています。国内の施設でも同程度と言われています。
  • 両親の採血は必要でしょうか。
    原則として、患者さんの遺伝子の解析結果の判定のために、患者さんとご両親の採血が必要となります。
  • 遺伝カウンセリングを受けることはできますか。
    ご自身やご家族の病気のことや研究内容に関して、不安や相談したいことがある場合、専門家による遺伝カウンセリングを受けることができます。診療担当医にご相談下さい。
  • 不明な点についての問い合わせ先はどこでしょうか。
    大阪大学医学部附属病院 IRUD相談窓口(遺伝子診療部内)にお問い合わせください。
    なお、医療的な内容に関するお問い合わせにはお答えできません。