ごあいさつ

 この度、第3回日本HTLV-1学会学術集会を平成28年8月26日(金)〜28日(日)に鹿児島県市町村自治会館にて開催させていただくことになりました。

 ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染者は、わが国では約110万人、世界では1000-2000万人いるとされています。HTLV-1関連疾患としては、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、慢性・進行性の神経疾患であるHTLV-1関連脊髄症(HAM)、目の炎症性疾患であるHTLV-1ぶどう膜炎等があります。ATLやHAMについての病態研究は精力的に行われてきたものの、両疾患の発症メカニズムは完全には解明されておらず、また、これらの疾患の根本治療も確立されていません。

 以前よりHTLV-1研究者、臨床家、医療関係者や患者・HTLV-1キャリアが協力してHTLV-1対策に取り組んでまいりました。これらの活動の一つとして平成20年5月に「HTLV-1研究会」を設立し、関連する研究成果の発表や情報交換を重ねてまいりました。平成22年末に政府は「HTLV-1総合対策」を策定し、国を挙げてHTLV-1対策に取り組む方針がとられました。

 HTLV-1研究会は6回を重ねた後、平成25年11月1日に「一般社団法人 日本HTLV-1学会」と新たな発展を遂げることになりました。第1回、2回の学術集会は、東京大学医科学研究所にて開催されました。第2回学術集会では、バイオマーカー、ワクチン開発、免疫などの基礎研究発表、HAMに関する臨床研究に加えATL患者実態調査、移植成績、ワクチン療法の成果など臨床側からの発表がありました。第3回学術集会は、「HTLV-1関連疾患克服への新たな挑戦―ベンチからベッドサイドへの応用―」というテーマのもと、鹿児島にて開催いたします。多くの研究者や臨床医に参加をいただき、HTLV-1基礎研究から臨床応用への導入について治療の進歩に繋がる研究発表をしていただく予定です。それらの研究成果を研究者・臨床医だけでなく、医療関係者や患者・家族の皆さんにも広く情報が共有できるような学術集会にすべく準備を進めております。

 HTLV-1総合対策としては、HTLV-1ウイルス学、疫学、関連疾患の発症メカニズムなどの解明、HTLV-1関連疾患の正確な診断と適切な治療、新規治療法と発症予防法の開発、さらに究極治療としてはHTLV-1の撲滅が重要です。基礎研究者と臨床家の情報共有と新規治療法の開発のためにお互いが協力することが必要です。このような観点からHTLV-1に取り組む研究者と臨床家が一同に参加する本学会の果たす役割は非常に大きいものがあります。特に今回は臨床家の多数の参加を予定しております。

 平成28年8月26日(金)の午後に「ATLへの新たな治療法の開発(仮題)」と題した学術シンポジウム、8月28日(日)午後にHTLV-1関連疾患克服のために医療関係者や患者・家族の皆さんにも広く情報が共有できるような公開シンポジウム「HTLV-1と関連疾患をもっとよく知ろう(仮題)」を企画しております。

鹿児島の郷土料理と温泉もぜひ堪能していただければ幸いに存じます。多くの参加者をお待ちしております。

第3回日本HTLV-1学会学術集会
会長  宇都宮 與

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