ごあいさつ

東京大学の渡邉より、第5回の「HTLV-1研究会」の開催にあたりHTLV-1研究会会長としてご案内申し上げます。

 皆様におかれましては既にご承知の事と思いますが、昨年から「HTLV-1総合対策」が実施され、妊婦に対して全国一律にHTLV-1抗体検査が開始されております。また、厚生労働省には「HTLV-1対策推進協議会」が設置され定期的な会議が開催されており、HTLV-1母子感染対策事業が各自治体で取り組まれています。具体的には、HTLV-1母子感染対策協議会の設置、HTLV-1母子感染関係者研修事業、HTLV-1母子感染普及啓発等の取り組みが進んでいます。一方、厚生労働科学研究費の中に昨年から「HTLV-1関連疾患研究領域」が設定され、関連の研究事業を含めて、現在では25班の研究班が活動しております。いずれも、以前の状況に比べて大きな進展ですが、これらはいずれも、関係の医師・研究者および患者/感染者の方々の地道な努力の賜物と考えております。同時に、これらの研究班が着実に成果を上げることが期待されており、私達の責任も重大であると考えます。
 今年の当研究会は、厚生労働科学研究費の研究班との共同で、「ATLシンポジウム」を開催しますが、同時に、昨年に引き続きまして「第2回HTLV-1国際シンポジウム」を併催致します。研究会本来の発表に加えて、このような形で基礎から臨床までの第一線の国内外の研究者からの発表を頂く機会となりましたことにつきましては、関係各位のご協力の賜物であり、ここに改めてお礼を申し上げます。また、この様な企画が、国際的な視野からこの分野の研究の進展と課題を把握し、新たな展開を目指すきっかけとなるばかりでなく、国際的な交流を持つ絶好の機会となることを期待しております。
 HTLV-1とその関連疾患の領域では、公衆衛生、疫学、臨床および基礎研究のいずれにおいてもまだまだ多くの解決すべき課題があります。昨今の様に、社会的な注目度が高まり、行政側の対応も大きく変化して来たこの機会に、研究を更に発展させて、感染の予防と疾患の発症予防・治療に繋げることが期待されていると考えます。従って、我々研究者および臨床家の責任はさらに重大であると、気持ちを引き締めております。
 関係各位におかれましては、研究成果の発表と情報交換に積極的に参加されます事を期待しております。