東京大学の渡邉より、第3回の「HTLV-1研究会」の開催にあたりHTLV-1研究会会長としてご案内申し上げます。
今年は、皆様方の様々な活動のおかげで、HTLV-1とその関連疾患関について、メディアおよび行政の側でも関心が高まって来ている様に思われます。特に、西日本新聞の精力的かつ継続的な一連の報道は、様々なレベルで大きなインパクトを与えている様に思います。また、科学技術振興機構による「地域間連携シンポジウム」でも、継続的にATLに関するシンポジウムを開催して頂いており、第3回目に当たる今年は長崎でシンポジウムが開催されて大変な盛況でした。厚生労働省の産婦人科領域の班会議(齋藤 滋班長)の報告をきっかけに、母子感染予防対策の充実が検討され、妊婦の抗体検査が全国的に奨励されることになりました。更に、医学専門家と患者団体等の代表からなる「HTLV-1感染総合対策等に関する有識者会議」が昨年から活動を始め、厚生労働省の関係者との間で既に4回の会合を開いております。この会議は、非公式なものではありますが、定期的に開催されており、臨床家、研究者および患者側と、行政側との間の情報および問題意識の共有に貢献していると考えられます。この様に、社会的にも徐々に注目度が高まり、行政側も少しずつ対応を進めて来ている様に思われます。これまでの様々な場面での議論を通じて、既に「HTLV-1研究会」が組織されており、基礎から臨床までの広い領域の関係者が一同に集まり議論する場が準備されている事の意義が大変大きく、かつ社会的に説得力を持つ事を実感しております。我々研究者および臨床家の立場からも、これを機会に更に研究を発展させてゆきたいと思っております。
今回も、昨年同様に、文部科学省および厚生労働省の科学研究費による幾つかのHTLV-1関係の班研究の班会議と運営委員会を合同で開催いたします。
関係各位におかれましては、研究成果の発表と情報交換に積極的に参加されます事を期待しております。