[教育講演] 感染症法の改正について |
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三木 朗 |
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厚生労働省健康局結核感染症課 |
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平成18年3月に国会に提出した、感染症法改正案の概要は次のとおりである。 |
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○ 主要な改正事項 |
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- 生物テロや事故による感染症の発生・まん延を防止するための病原体等の管理体制の確立
- 最新の医学的知見に基づく感染症の分類の見直し
- 結核を感染症法に位置付けて総合的な対策を実施
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○ 主な内容 |
1.感染症の種類の見直し |
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最新の医学的知見等を踏まえ、南米出血熱を一類感染症に、結核を二類感染症に追加し、重症急性呼吸器症候群(SARS)を一類から二類感染症に改め、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス及びパラチフスを二類から三類感染症に改めるとともに、ダニ媒介性脳炎、東部馬脳炎、鼻疽等11疾病を四類感染症に規定。 |
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2.感染症に関する情報の収集等 |
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1) |
生物テロを含む感染症の発生を迅速に把握するため、医師の確定診断を待つことなく、指定届出機関による疑似症患者の情報の届出を義務付ける。 |
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2) |
感染症に関する情報について、新聞、放送等により積極的に公表することとし、医療関係者に対する協力要請に関して規定。 |
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3.結核に関する規定の創設 |
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事業者等による定期の健康診断、保健所長による登録票の記録、保健所による家庭訪問指導、結核患者の通院医療費用の公的負担等必要な事項を規定。
(従来、結核予防法で講じてきた施策のうち従来感染症法に規定のない事項を規定) |
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4.病原体等に係る規制の創設 |
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1) |
一種病原体等の規制 |
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何人も、一種病原体等は所持、輸入してはならない。但し、厚労大臣が指定した者(特定一種病原体等所持者)が、試験研究が必要と政令で定めるものを、厚労大臣が指定する施設において試験研究のために所持する場合等は、この限りではない。 |
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2) |
二種病原体等の規制 |
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二種病原体等を所持、輸入しようとする者は、厚労大臣の許可が必要。また、二種病原体等は、二種病原体等許可所持者間で譲り渡し、譲り受け可能。 |
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3) |
三種病原体等の規制 |
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三種病原体等を所持する者、輸入した者は、その種類等を厚労大臣に事後届出。 |
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4) |
所持者等の責務 |
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感染症発生予防規程の作成等(一種、二種所持者)、記帳、運搬の届出(一種〜三種所持者)、施設基準、保管等の基準の遵守、事故届出、災害時の応急措置(一種〜四種所持者)等、病原体等の種類に応じて所持者等の義務を規定。 |
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5) |
監督 |
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報告徴収、立入検査、施設基準や保管等の基準遵守の改善命令、指定の取消し等病原体等の取扱いに関する規制の監督を規定。 |
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6) |
罰則 |
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特定病原体等の規制等に関し所要の罰則を規定。 |
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5.施行期日等 |
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1) |
公布の日から6月以内で政令で定める日。但し、3.の規定は平成19年4月1日。 |
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2) |
結核を二類感染症とし、対策を講じることに伴い、結核予防法を廃止。 |