病理学講座は基礎と臨床にまたがる科であり、教育研究と共に、常に各診療科と密接に関わる病理診断を行っています。 生検標本の病理診断により、患者さんの治療方針が立てられていきます。 切除標本の病理診断では、病気の種類は勿論のこと、進行度も評価され、術後の追加治療を決定する上で大きな役割を果たします。 術前に診断困難であった症例や切除範囲の決定に難渋した症例では、術中の病理診断が切除範囲や廓清の程度を決定する上で重要な情報になります。
近年の目覚ましい医療の進歩の中、病理診断も各診療科の進歩に応じ治療を見据えた専門性の高い診断が望まれます。 多くの施設では、外科系診療科と同様、病理医が減少している状況にありますが、当講座では全国施設に比較し、多彩で充実した病理専門医を有しています。 各々が専門分野をもち、コンサルテーションシステムを構築し、ほぼ全臓器にわたる専門性の高い診断を行っております。
充実した外科病理に加え病理解剖も担っており、臨床病理検討会(CPC)を全例行ない、生前の診断や治療の評価、死因の解明に貢献しています。 また、学生教育においても、全身臓器における疾病の一般通則である病理学総論を基本として、各臓器における専門性を有する教官による各論講義や複数の指導教官による実習指導、CPCへの参加等を行っています。 一方、研究でもそれぞれが専門とする臓器を対象に様々な手法で解析、検討が行なわれています。
当講座が担っております使命は、病理診断のみならず、治療方針への寄与、医療の質の向上、さらには病態の解明に貢献することと考えております。 福岡大学医学部病理学講座は、開講以来蓄積されてきたことを礎として、高度先進医療機関としての責任を全うするよう日々研鑽、努力を重ねていきます。