選考委員会より挨拶
<ポスターイラスト募集企画:選考・発表に寄せて>
さる2024年の冬から2025年の春にかけて、第12回 成人発達障害支援学会 東京大会の公式ポスターに使用する作品を広く募集いたしました。
これは当会としても初の試みでしたが、予想を上回る多数のご応募をいただき、選考委員一同、心より御礼申し上げます。
最優秀賞に選ばれた作品を使用したポスターにつきましては、すでに関係各所に配布されており、一部の授賞作品に関しては今後大会に関する印刷物に採用させていただきます。また入選以上の作品につきましては、大会当日の会場内に展示ブースを設けてご紹介する予定です。
ぜひご来場のうえ、皆様の力作をご覧ください。
最後にあらためまして、本企画に関わってくださったすべての方々に深く感謝を申し上げます。 (選考委員会)
最優秀賞
「彩限ない」
by 瑤 -yo-
作者コメント
木の枝が伸びていく先、成長していっても、枝にはずっと葉がついていて、テーマである「生涯にわたる支援」を表現出来そうだったので木を題材に描きました。
木の枝の伸びは当事者、支援者ともにそれぞれの形で限りなく成長すること、居場所や余暇、精神的な健康など限りなく豊かに生活できること、木の枝の分かれ道の多さで選択肢の多さと個々の違いを表現しました。
「際限ない」という言葉は、なんとなく高さやレベルなど、良くも悪くも比べられてしまうイメージがあったので、「横並びの違い」というイメージを訴えるために「彩」の字を使いました。
アンバランスな幹の見た目は、一見、全員に褒められるものではないし、困難も多いけど、それでもそこに存在する、発達障害のある人達とリンクさせています。
ありのままの存在を、そこに「居る」ということを、私たちが認められますように。
優秀賞
「つながり」
by 村山翠
作者コメント
Care with peerという言葉の意味について考えた時、パッと頭に浮かんだのが、以前自分が初めてピアサポートに参加した時のことでした。
自分や他人の悩みを共有し、解決策を一緒に考える。
そうした様子を見る内、ピアサポートには医師やスタッフの方々、デイケア利用者がつながり合う(交流するなかで、各自が気付きを与え合う)ことで、互いの人生の道を拓いていく意味があるのかもしれない…そういう印象を抱きました。
それが絵に表せていたら、伝わったら幸いです。
審査員特別賞
「道しるべのある夜」
by miho
作者コメント
この作品は、ひとりひとりの正解が分からない人生という道を歩む人間が、道の灯りや看板を見ながら自分に必要な支援先を選び・関わりながら、自分なりの夜明けに向かって進む(生きる)という絵になります。
いつまで続くかわからない長く明るく思えない道を一人で歩くのは不安で、もしかしたらずっと夜は夜のままなのかもしれない。
それでも灯りはあるし一人ではない。
どうすれば良いかわからなくても必要な支援先にたどり着ける道しるべがこの道にはあるのです。
"生涯にわたる支援"というものを考えた時、成人発達障害者のひとりとして私が大切にしたい要素をこの作品に描きました。
大会長賞
「無題」
by 雨蛙
作者コメント
様々な特性を持った人たちが助けあって
……という希望をこめて描きました。
佳作(6作品)
「共生」
by vivi
作者コメント
私自身、発達障害を持っており周囲から孤立しやすい立場にあります。
ですが障害や周りの人との共生はとても重要だと感じております。
話し合いの場を開いて下さる方々、支援いただいてる皆様方に感謝の気持ちが届くと嬉しいです。
「優しい気持ち」
by 梅田直人
作者コメント
切り絵アート。コラージュ。ミクストメディア・アート。というジャンルになります。
「支援」
by 久保春子
作者コメント
洗剤水に絵の具を混ぜ、ストローで泡立たせた泡を紙に乗せることで、誰にでも柔らかく、優しい支援の心や世界を表現し、白い手(作者のもの)で力強く支える支援を表現していました。
「あなたとなら飛び越えられる」
by 古賀 真由美
作者コメント
発達障害は目で見てすぐ分からないので、周りの人から理解されづらい特性があると思います。
日常の生活や仕事で困難な場面もあると思いますが、一人で悩むのではなく、周りの助けを借りて皆で手を取り合って困難を乗り越えて行こうという気持ちで描きました。
「あなたのやさしさだけは忘れない」
by 目堂雅
作者コメント
この作品はパステル画とコラージュの要素を取り入れた実物のミクストメディアです。
ASD、ADHD、識字障がいといった発達障がいの特性をもとに制作しました。
視覚過敏特有の明るすぎる光と、ADHD由来の乱雑する思考、それらに隠されつつ主張された「差し伸べられる暖かな手」。乱雑する思考には、反芻する悲しい文章ばかりが識字障がいの視点の如く揺らめいでいます。
作者である私もまたASDとADHDを抱え、社会から拒絶されるような出来事を体験しました。それと共に就労移行支援事業所にて発達障がいのことを学び、かつ支援員の方から再度社会で活動できる程の勇気と知恵をいただきました。
支援員の方へ、そして従事者の方へ感謝をこめて、当作品を提示いたします。
「必ず頼れる場所がある」
by 伊藤 優
作者コメント
30歳ADHD当事者です。
クローズ就労に限界を感じ就労移行に通い、この春から定着支援を受けながら障害者雇用で働きます。
一番しんどい時、支援を受けられるよう動いたり自助会に参加することは非常に困難でした。
けど踏み出した先には、歩み寄ってくれる支援者や、それぞれ別の場所で藻掻いてきた戦友がいて、希望を感じられる瞬間がありました。
イラストを見た人が一瞬でも明るい印象を受けてくれたらいいな、と意識しながら制作しました。
学会のご盛会を心よりお祈り申し上げます。
入選(10作品)
「あの頃の自分へ」
by 志村 淳
「凸凹な僕ら」
by たま
「あなたのいる場所」
by 米谷のどか
「百年の合言葉」
by 鹿熊 美佐子
「耕心」
by 中司
「人生の伴走者」
by 似顔絵工房あい
「生涯支え合う」
by Kz
「人に思いやりを」
by ユニバーサル推進委員会
「明るい未来」
by tea
「銀鶏とスポットライト」
by 壮久郎