日本間質性膀胱炎研究会

間質性膀胱炎について

間質性膀胱炎・膀胱痛症候群について

1.定義

 2019年版の診療ガイドラインによると、「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群」(Interstitial Cystitis/Bladder Pain Syndrome: IC/BPS)とは、「膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛,圧迫感または不快感があり,尿意亢進や頻尿などの下部尿路症状を伴い,混同しうる疾患がない状態」とされる。そのうちハンナ病変のあるものをハンナ型間質性膀胱炎または間質性膀胱炎(ハンナ型)(Hunner type IC: HIC),それ以外を膀胱痛症候群(BPS)とする。混同しうる疾患には,膀胱の感染症,新生物,結石,過活動膀胱などがある。

2.原因

 原因は不明である。間質性膀胱炎(ハンナ型)では、免疫学的な炎症反応が重要と考えられている。

3.症状など

 主な症状は、膀胱痛、頻尿・夜間頻尿、尿意亢進、残尿感などである。膀胱痛は、膀胱に尿がたまった時や冷えた時のほか、刺激物の摂取や精神的なストレスでも悪化する。痛みが周囲に広がることもある。症状が強いと、日常生活に多大の障害が生じる。
 中高齢の女性に多く、シェーグレン症候群、線維筋痛症、過敏性腸症候群などを合併することがある。

4.診断

 症状があることと混同しうる疾患のないことが必要条件となる。内視鏡検査で膀胱の内側にハンナ病変を認めた場合は間質性膀胱炎(ハンナ型)、ハンナ病変がない場合は膀胱痛症候群と診断される。

5.治療法

 ガイドラインで推奨されている治療としては、緊張の緩和や食事指導などの保存的治療、抗うつ薬であるアミトリブチリン(製剤名:トリプタノールなど)の内服治療、膀胱水圧拡張術がある。間質性膀胱炎(ハンナ型)に対しては、膀胱水圧拡張術に加えてハンナ病変の電気またはレーザーによる焼灼を行う内視鏡手術、および、DMSO製剤(製剤名:ジムソ)の膀胱内注入治療も推奨されている。治療に抵抗する場合は、膀胱全摘術が行なわれることもある。
 その他の治療としては、鎮痛薬、抗アレルギー薬、免疫抑制剤などの内服治療、ヘパリン、ステロイドなどの膀胱内注入、ボツリヌス毒素の膀胱壁内注入、電気刺激療法、鍼灸なども実施されている。

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重症度基準(日本間質性膀胱炎研究会作成)

重症度 基 準
重症 膀胱痛の程度*が7点から10点 かつ
排尿記録による最大一回排尿量が100ml以下
中等症 重症と軽症以外
軽症 膀胱痛の程度*が0点から3点 かつ
排尿記録による最大一回排尿量が200ml以上

*膀胱痛の程度(0-10点)の質問

膀胱の痛みについて、「全くない」を0、想像できる最大の強さを10としたとき、
平均した強さに最もよくあてはまるものを1つだけ選んで、その数字に○を付けてください
0  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10

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