新生児血液浄化療法ネットワーク設立に際して

　　鹿児島市立病院総合周産期母子医療センター　
　　　　　　　　　　　　　　　　新生児科部長
　　　　　　　　　　　　　　　　　茨　　　聡

　成人の集中治療領域では、血液浄化療法は、一般臨床において広く用いられており、その効果も認められている。その適応は、急性腎不全に対するRenal Indicationと敗血症ショックに認められるエンドトキシンや各種炎症性メデイエーター（サイトカイン、anandamideや2-AGなどの内因性マリファナ、HMGB-1など）の除去、高アンモニア血症におけるアンモニア除去などのNon-Renal Indicationに分けられる。
　一方、低出生体重児、新生児においては、1）現存の透析回路のprimingvolumeが大きすぎる、2）Blood accessが困難である、3）十分な脱血量を取れないために、回路内凝固が生じやすい、　4）透析装置の最低脱血量は多すぎて、児の循環に対する影響が大きい、5）凝固線溶系が未成熟なため、繊細な抗凝固療法が必要となる、6）低体温防止の配慮が必要であるなどの理由などから、その普及は十分ではなかった。
　近年、透析装置の改良、透析膜の小型化、エンドトキシン除去カラムの小型化が進み、低出生体重児、新生児に対する血液浄化療法が普及しつつある。
　そこで、今回、国内において低出生体重児、新生児に対する血液浄化療法に精通したエキスパートに集まっていただき、新生児血液浄化療法ネットワークを設立し、そのホームページを開設することになりました。
　このことにより、低出生体重児、新生児に対する血液浄化療法が安全に普及し、赤ちゃんの予後が改善し、一人でも不運な赤ちゃんが減ることを心より願います。

新生児血液浄化療法ネットワーク設立に際して

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