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2011年9月23日
2011年5月20日に開催された 第84回日本産業衛生学会
産業歯科保健フォーラムの記録


 2011年5月20日に東京都港区海岸にあるニューピアホール・ホテルアジュール竹芝等、4箇所の会場で行われた第84日本産業衛生学会において、産業歯科保健部会が主催する産業歯科保健フォーラムが開催され、70名を超える参加者があった。

 歯の酸蝕症は、労働安全衛生法によって歯科健診が義務付けられており、重篤なケースに遭遇する機会はほぼ皆無となった反面、中小企業では、軽症化したものの、まだ過去の疾患ではないとの報告もある。そこで、今回のフォーラムでは、座長の品田佳世子先生(東京医科歯科大学)、加藤元先生(日本アイ・ビー・エム)による司会・進行のもと、「働く人の歯が溶ける」をテーマに、歯質に実質欠損が起きるメカニズムや、酸などの有害業務以外でおきる、スポーツ選手に特有の歯科疾患、そして歯の酸蝕症の過去の症例をふまえた現状について、各講師の先生方からシンポジウムの形式をとってご講演いただき、全体討論を行った。

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 尾崎哲則先生(日本大学歯学部)のご講演「歯がとけるということは」では、歯の特性や唾液の働きによる緩衝作用など、歯がとけることの基礎知識について解説いただいた。

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 佐々木好幸先生(東京医科歯科大学大学院う蝕制御学分野)のご講演「働く人の歯がとける 各論1」では、労働安全衛生法で定められた歯科健診が必要な特定の業務に従事しない労働者、特にスポーツ選手において起こりうる歯の酸蝕をはじめとする歯科疾患について複数の症例を提示し、解説いただいた。

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 橋本雅範先生(東京歯科大学衛生学講座非常勤講師・橋本歯科医院)のご講演「職域における歯の酸蝕症」では、長年にわたり実施してきた酸取り扱い職場における特殊健康診断を通じて得た多くの症例写真や資料をご提示いただき、歯の酸蝕症の過去と現状について解説いただいた。

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 全体討論の中で会場からの質問では、暑熱職場では、電解質調整飲料の飲用を公的な立場から指示しているが、それについてはどうコメントすべきかといった問いに対し、歯に触れないストローで喉の奥に飲料を流し込む方法や、手で押して噴出させるボトルの紹介、イオン飲料と水との併用といった回答があった。また、他にも実践的な質疑応答も複数あり、予定時間ぎりぎりまで活発な論議が行われた。

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 職域で行われるべき歯科健診も実施率が把握しきれておらず、また歯科医療者自身が歯の酸蝕症に関する知識・情報を十分に得る機会が少ない。職域における歯の酸蝕症への対応について、あらためて確認する時期がきていると考えられ、今回のフォーラムを機に、あらためて産業歯科保健活動が推進していくことを期待したい。

(文責 加藤元 日本アイ・ビー・エム健康保険組合 予防歯科)

 

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