全頭検査2018

そもそも日本の伝統的健診自体が人間の「全頭検査」だったことに気づかせてくれるニュース.
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【東京】都営バスの全運転手に脳のMRI検査義務づけ 東京都 NHK 2018年11月13日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181113/k10011708201000.html
 バスの運転手が病気や体調不良などで運転中に意識を失うケースが全国各地で相次ぐ中、東京都は都営バスのすべての運転手を対象にMRIを使った脳の検査を義務づけることになりました。
 東京都は都営バスに勤務する2000人余りのすべての運転手を対象に、今年度からMRIを使った「脳MRI健診」を3年に1度、受けることを義務づけます。
 この検査で脳梗塞や脳出血の有無などを調べ、異常が見つかった運転手には医師の診断や精密検査を受けてもらいます。そのうえで、デスクワークへの配置転換などを検討するということです。
 これは全国各地でバスの運転手が病気や体調不良で運転中に意識を失うケースが相次いでいるためで、1人当たり2万円程度かかるとされる「脳MRI健診」の費用は都が全額負担します。都によりますと、くも膜下出血の発症率が高まるとされる50歳以上の人は都営バスの運転手の60%近くに上るということで、こうした人たちに優先的に検査を受けてもらうことにしています。
 国土交通省によりますと、バス事業を運営する自治体がすべての運転手にMRIを使った脳の検査を義務づけるのは全国的に珍しいということです。
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以下に全頭検査廃止の時系列をおさらいしておく.2016年の毎日新聞記事の「廃止」とは制度として廃止になるという意味.一方,2013年の日経の記事は,下記の記事の「廃止」とは,対象月齢を「48カ月超」に引き上げるため,実質的に全頭検査が必要なくなるということ.
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<平成この日、>BSE全頭検査始まる=平成13年10月18日(17年前)「安全宣言」も牛肉離れ進む 佐賀新聞2018/10/18
牛海綿状脳症(狂牛病=BSE)問題で食肉処理牛の全頭検査が、県内で始まった。多久市の県食肉衛生検査所には、県産の肉牛10頭が搬入され、専門員が検査に当たった。この検査で陰性が確認されたことを受け、井本勇知事(当時)は翌日、「安全宣言」を発した。
同年9月に千葉県で国内初のBSE感染が確認されたことを受けた措置。検査委員が、牛の延髄を1頭ずつ摘出し、BSEの原因となる物質を調べた。
全国で同様の検査が行われたが、検査方針や情報公開などで、国の対応が後手後手に回ったため、不信感から消費者の牛肉離れが進んだ。最高級牛肉「佐賀牛」 の産地である県内も影響は大きく、発生後は牛肉の価格が大幅に下落し、学校給食でも一時使用が自粛され、献立から消えた。BSE問題による県内の肉用牛農 家(1270戸)の被害額は、約50億4千万円(同年9月から翌年7月まで)に上り、畜産農家は大きな打撃を受けた。
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プリオンの全頭検査の廃止へ 17年4月から 毎日新聞2016年12月16日
 厚生労働省は16日、牛海綿状脳症(BSE)を引き起こすプリオンの全頭検査の廃止方針を決めた。2009年以降、発生しておらず、足がふらつくなど神経障害のある牛だけに切り替える。来年4月に関係省令を施行する。国内でのBSE発生を受け、01年に国内牛の全頭検査を開始。原因になった飼料の肉骨粉の廃止で感染は減り、13年に検査対象を48カ月を超える牛に緩和。その後も感染はなく、内閣府・食品安全委員会は8月、「健康牛の検査を廃止してもリスクは非常に小さい」と厚労省に答申していた。【熊谷豪】
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BSE全頭検査、7月から一斉廃止へ  日本経済新聞 2013/6/28付
BSE(牛海綿状脳症)対策として全国の75自治体が自主的に実施している全頭検査が今月末をもって一斉に廃止されることが28日、厚生労働省への取材で分かった。同省は7月1日から牛の食肉検査の対象月齢を現在の「30カ月超」から「48カ月超」に引き上げるのに合わせ、関係自治体に全頭検査を見直すよう要請していた。
厚労省によると、全頭検査をしているのは食肉処理場を持つ44都道府県と政令市など31市。最後まで対応を検討していた千葉県が28日、全頭検査の廃止を決めた。食肉検査の対象月齢が「48カ月超」になれば、国内で食肉処理される肉用牛のほとんどが検査の対象外となる。厚労省は食肉検査を実施する自治体に補助金を交付している。対象となる牛の月齢は7月から検査の義務対象に合わせて「48カ月超」に引き上げられるため、補助金は大幅に削減される。全頭検査は日本でBSE感染牛が初めて確認された2001年に開始。国は牛の食肉検査を義務付ける月齢を段階的に緩和してきたが、自治体は消費者の不安を解消するためなどとして自主的に全頭検査を続けてきた。全頭検査について、田村憲久厚労相は28日の閣議後の記者会見で「導入当初は牛肉に対する不安を払拭するために意義があった」と述べた。内閣府の食品安全委員会は5月、食肉検査の対象月齢を「48カ月超」に引き上げても問題はないとするリスク評価を厚労省に答申していた。
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注:48カ月超の高齢の牛は,それだけでBSEリスクが高いので,特に2001年のBSEパニック以降,日本では48カ月超の牛を食用に供することはなくなっていた.
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