家 庭で語ろうインフルエンザ

今回は難しいことは言わない。ただ下記を読んで、考えて、岡部先生のおっしゃる通り、一般市民も含めて広く議論してもらいたい。それだけで、本番のパニッ クと、そのパニックによって引き起こされる二次災害を軽減できるのだから。

日医白クマ通信 デイリーニュース514 より

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ハイテクも活用、不安解消 鳥インフルに宮崎県清武町

 宮崎県清武町の養鶏場で発生した鳥インフルエンザは、感染の疑いが公表され
て18日で1週間になった。原因ウイルスは強毒性のH5N1型と確認され、
鶏約1万2000羽が焼却されるなど初期の防疫措置が終了、地元はひとまず
落ち着きを取り戻しつつある。突然の事態に見舞われた人口約2万9000人
の町では、行政がハイテクも活用して住民の不安解消に努めた。
 ▽一軒一軒
 「2日間で約750羽が死んだ」。宮崎家畜保健衛生所から清武町に連絡が
入ったのは11日午後3時すぎ。
 宮崎市の南にあり、三方を同市に囲まれる清武町は、住宅開発が進み人の出
入りは多い。町は農水省が事実を公表した同日深夜には、養鶏場の半径300
メートルを立ち入り禁止にして交通を規制した。
 これと並行して住民への情報提供も実施。「一軒一軒、直接回り説明してく
れた。農家からの早めの報告とともに、ありがたい対応」(宮崎県の坂佳代子
(さか・かよこ)副知事)、「これだけ迅速なのは珍しい」(地元保健所の担
当者)と関係者は評価する。
 「個人情報保護は大事だが、情報がないのが一番怖い」と、一ノ瀬良尚(い
ちのせ・よしたか)町長。県に情報開示と職員の派遣を要請する一方、町の対
応策などはインターネットやチラシだけでなく、住民説明会や区長会で直接伝
えた。
 法律で移動禁止までは求められていないインコなどの小鳥まで「移動はでき
ません」と呼び掛けるなど、内容も徹底していた。
 ▽地理情報
 台風被害をきっかけに、同町が2005年末に導入した「時空間地理情報シ
ステム」も威力を発揮した。普段は世帯情報や水道管の位置、要介護者の所在
などを部署ごとに入力、活用しているが、情報を一元管理しているため非常時
には必要に応じて複数の情報を引き出し、地図上に表示できる。
 今回は周辺の養鶏業者、ペットで飼われている鳥類の数や場所、職員が作業
できる空き地といったデータを活用。住民説明会でも使用した結果、問い合わ
せなどは日を追うごとに減ったという。
 同様のシステムは全国約20の自治体で導入。開発に携わった防災科学技術
研究所の角本繁(かくもと・しげる)チームリーダーは「情報が正確だったの
で共有も早かった。ここまでうまく機能したのは初めてで、国内外で役立てた
い」と話している。
   
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初期にタミフル集中投与
 家庭にも食料備蓄求める ワクチン、薬に優先順位 新型インフルで指針案
 {1}

 厚生労働省は、国内で新型インフルエンザの第1号患者が発生した場合に、抗
ウイルス薬タミフルを患者の家族や職場・学校の全員に集中投与し、拡大防止
を図ることなどを盛り込んだ対策指針案をまとめ、19日の専門家会議に示し
た。
 流行によって社会機能が停滞する可能性をにらみ、一般家庭に2週間分程度
の食料準備を求めたほか、不足が予想されるワクチンや抗ウイルス薬配分に優
先順位を付ける複数案も示した。国民の意見を受け付けた上で、3月に指針を
まとめる。
 指針案は、新型発生時の被害軽減や国民の混乱防止が目的。国の行動計画に
基づき、これまで指針がなかった「人から人への感染」発生以降の段階につい
て(1)国内発生初期の対応戦略(2)ワクチン接種(3)検疫(4)医療体
制(5)事業者・職場での対策―などの分野を整備した。

 感染防止には不要不急の外出をしないのが原則とした上で、家庭に2週間分
程度の食料、水、日用品の備蓄を呼び掛けた。市町村や地域で高齢者世帯など
リスクの高い人の把握と支援も求めた。
 企業には事業の一時縮小や従業員の自宅待機、会議や研修の中止、延期など
の検討も要請した。
 現在国が準備中のワクチンの接種対象は、患者に接触する医療従事者のほか
電気、水道、食料供給、交通、警察など社会機能維持関係者に限る。
 新型発生後に製造するワクチンも当初は不足するため、接種に優先順位を付
ける必要があるとして、死者を最小限に抑えるために病人らを優先する案や、
将来を考えて子供を優先する案など複数の考え方を示した。
 タミフルは、患者周辺への予防投与を拡大防止策の柱としたが、拡大を抑え
込めなければ予防投与をやめ、入院が必要な重症患者に優先投与。外来患者へ
の投与にも(1)医療従事者、社会的機能維持の関係者(2)重症化のリスク
が高い人(3)小児、高齢者(4)成人―と優先順位を付けた。
 流行拡大で死者が多数に上り、火葬場の能力を超えた場合は、遺体の土葬も
検討するとした。
▽新型インフルエンザ
 新型インフルエンザ 毎年流行するインフルエンザと違い、これまで人に
感染しなかったウイルスが性質を変え、人から人へと感染するようになって起
きる。近年の鳥インフルエンザの拡大で発生が懸念されている。10―40年
ごとに流行するといわれ、ほとんどの人が免疫をもたないため、世界中に急速
に感染が拡大する恐れがある。1918年に発生した新型インフルエンザ「ス
ペインかぜ」は日本で約39万人、世界で2000万―5000万人が死亡。
国は新型が発生した場合の日本国内の死者は、最大約64万人と推定している

  

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対応求められる個人や企業 具体性、実効性に課題も {2}

 【解説】厚生労働省が19日公表した新型インフルエンザの国内発生に備え
た指針案は、一般家庭での食料備蓄に加え、企業には事業の一時縮小といった
異例の取り組みを求めている。
 新型インフルエンザの大流行が起きた場合、医療従事者や電気、ガスなどラ
イフラインを支える人々も感染する可能性がある。社会的機能がストップする
ことも十分想定され、国や自治体だけでは対応しきれないとの認識があるため
だ。
 新型インフルエンザへの変異が心配されている高病原性鳥インフルエンザ
(H5N1型)は、アジアを中心に人への感染が続き、国内でも今月、宮崎県
の養鶏場での発生が確認されたばかり。新型への危機感が強まる中、具体的な
指針を求める声は強かったが、指針案は現時点で不十分な点も多い。
 例えば、現在、国が備蓄を進めているワクチンの接種対象についても「患者
に接触する医療従事者」「電気、ガス、水道、食料供給、通信、交通、警察等
の社会機能維持者」と考え方が示されているだけで、具体的にどの段階で何人
が対象なのか絞り込めていない。
 また、指針案の作成に当たったのは医療関係者が中心。想定が十分か、実効
性をどう持たせるかなどの課題があり、今後幅広い分野の意見を反映させる必
要がある。
   

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どうなるのか市民生活 新型流行で制限さまざま {3}

 大流行すれば国内で最大約64万人が死亡すると推定される新型インフルエ
ンザ。厚生労働省が19日に公表した指針案は、人から人への感染が起きた場
合の対応を示している。さまざまな制限が設けられ、市民生活はどうなるのか
―。
 感染防止策として指針案はまず「不要不急の外出」を極力差し控えるよう求
めている。患者が発生したら、家族や職場の同僚、同じ市町村の住民に外出自
粛を要請することも想定している。
 大勢の人が集まる場所は感染の恐れが高い。学校の臨時休校や地域の集会、
行事の自粛のほか、映画館や劇場の営業自粛、さらには流行地域との交通遮断
なども感染防止の選択肢となる。
 インフルエンザはライフラインに影響を与える可能性もある。個人や家庭に
対しては、災害時と同様に2週間分程度の食料や水、日用品などをあらかじめ
準備しておくよう要請。外出が制限、禁止される場合に備え、自治体は食料な
どを配達する必要も生じる。
 企業では、社員の在宅勤務や自宅待機、電話やビデオを利用した会議、事業
自体の縮小などの検討も迫られる。
 家庭での感染防止策としては、うがいや手洗いの励行、医療用のマスクの着
用が有効。せきやくしゃみをする際にティッシュペーパーで口と鼻を押さえ、
人から顔をそむけて1メートル以上離れる「せきエチケット」を心掛けること
も大切だ。

 高熱などの症状が現れたらどうするか。事前に連絡しないで近所の医療機関
にかかると、待合室で人に感染させてしまう恐れがあり、まず保健所に連絡し
、指示に従う。 うわさやデマによるパニックも心配だ。正確な情報に基づく
冷静な対応を促すため、
厚労省や自治体は記者発表やホームページを通じて最新の情報を提供する。

 
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指針案のポイント {4}

 厚生労働省が19日の専門家会議に示した新型インフルエンザ指針案のポイ
ントは次の通り。
 1、第1号患者など国内発生初期には家族や職場などの全員に抗ウイルス
薬を集中投与
 1、家庭も流行に備え、2週間程度の食料、水、日用品の備蓄を
 1、企業は事業の一時縮小や従業員の自宅待機も検討を
 1、市町村や地域で高齢者世帯など高リスク者の把握、支援を
 1、国が準備中のワクチン接種対象は医療従事者とライフライン、警察など
社会機能維持者
 1、流行後製造するワクチンの接種対象は、死者を最小限にするか日本の
将来を守ることを重視するかで複数の案
 
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関係者談話 一般の人も議論を {5}

 新型インフルエンザ専門家会議議長の岡部信彦(おかべ・のぶひこ)・国
立感染症研究所感染症情報センター長の話 新型インフルエンザが発生すると
、市民、会社、医療体制など社会のさまざまなところに影響があり、生活の不
便さは覚悟しなければならない。今回の指針案は最終的なものではなく、厚労
省以外の省庁や自治体だけでなく、一般の人も含め大いに議論してほしい。
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