神経内科医のためのNEJM & Lancet

神経内科医のみなさんは神経学専門誌(あるいはNature, Science, Cell)にはくまなく目を通していらっしゃるでしょうが,NEJMやLancetまではなかなか手(目?)が回らないという方が多いのではないでしょう か.そういう方のためにこのページがお役に立てば幸いです.

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目次

ベル麻痺には,ステロイド単独で.抗ウイルス薬を重ねない
筋強直性ジストロフィー における心電図異常と突然死
てっきり側頭動脈炎だと思った
MGH:Case 40-2007:Multifocal Motor Neuropathy
血管性痴呆にはつける薬なし
多発性硬化症診断におけるMRIの限界
肺炎球菌とギラン・バレー症候群
心停止後の昏睡患者の予後,頭部外傷患者へのメチルプレドニゾロン投与
頭部外傷CT撮影の必要性の判断
First MRI does harm:多発性硬化症の診断
パーキンソン病とホモシステイン
NEJMパーキンソン病の総説
MGH:Case 27-2005
ドネペジルの限界を考える
心停止後の昏睡の予後を4つの身体所見で判断
頭部外傷患者へのメチルプレドニゾロン投与は死亡率を上昇させる
椎骨脳底動脈領域の疾患
DBSにMRIは禁忌!!
レボドパとパーキンソン病の進行
二次性進行性MSへの免疫グロブリンの効果
笑気再び
されどBell麻痺
ビタミンB12欠乏による神経障害
顔面神経麻痺の症候学(あなたのギャグネタは?)
NEJMアルツハイマー病の総説抄訳
ミトコンドリア病の糖尿病にはビグアナイド剤を使ってはいけない
前庭神経炎には抗ウイルス薬は無効
MMSE同様にお手軽で性能は上:7MSという痴呆スクリーニング
MSにもスタチン?
MSの発症にEBVが関与?
Idiopathic small fiber neuropathy
アルツハイマー病は短命
パーキンソン病に対するCOMT阻害薬の有効性
早ければ早いほどよいのは日本でも?:脳梗塞に対するt-PA
急性呼吸不全の鑑別診断におけるBNPの有用性
アーテンも捨てたもんじゃない
下痢と運動失調を見たら
多発性硬化症の治療にカナビノイド
ドパミンアゴニストによる肺線維症
多発性硬化症の再発予防にはインターフェロンβ1bの方が1aより有効
頭を回す
トピラマートのALS治験:残念な結果に終わる
ドネペジルは血管性痴呆にも有効か?
非ヘルペス性辺縁系脳炎における抗VGKC抗体測定の意義
橋本脳症
多発性硬化症でのインターフェロン治療への疑問
小脳浮腫と鉄芽球性貧血
ドパミンアゴニスト単剤によるパーキンソン病の治療
黙って歩けばぴたりと当たる?
細菌性髄膜炎にデキサメタゾンは有効
Trousseau's syndrome ?
Gill de la Tourette's syndromeの総説
小児の脳梗塞のリスクファクター
新しいセロトニン受容体アゴニストも偏頭痛に有効
HELLP syndrome
腰椎穿刺後の安静は頭痛を予防しない
笑気による亜急性連合性脊髄変性症
糖尿病性筋梗塞
免疫グロブリン療法の総説
ホモシステイン高値はアルツハイマー病の独立したリスクである
パーキンソン病治療のエビデンス集
レボドパは脳卒中リハの機能予後を改善する
手根管症候群の臨床診断:どんな症候・病歴が有用か?
多発筋炎・皮膚筋炎と癌
ALSの総説
プリオン病と神経変性疾患
下垂体卒中
精神状態の変化と筋硬直が認められた16歳の少年
低コレステロール:韓国の場合には脳出血のリスクにはならない
経管栄養と嚥下性肺炎
ドパミンニューロンの移植:さえない結果
Dissectionの総説
頸椎の髄膜肥厚
ラクロス脳炎
筋炎の後ろにいる癌
MGH case records:71才女性・下垂体腫瘤
突発性難聴の原因はPcomにあり?
解離性大動脈瘤による神経症状
TNF-αによるTリンパ球のアポトーシスと多発性硬化症
重症頭部外傷の治療
自律神経ニューロパチー:神経節細胞のアセチルコリン受容体に対する自己抗体
うさぎの乳で筋肉病が治る
coenzyme Q10で治る病気
Eyes wide open
淡蒼球後腹側部破壊術の長期予後
パーキンソン病患者初回治療レボドパvsドパミン作動薬
帯状疱疹/水痘ウイルス感染に伴う神経学的合併症の総説
脳卒中の予防を目的とした心房細動の患者に対する抗凝固療法の指針
デング熱の神経学的合併症
くも膜下出血の診断
皮質下大葉性血腫とアポEの対立遺伝子

97-99年の話題は→こちらへ



ベル麻痺には,ステロイド単独で.抗ウイルス薬を重ねない.
The benefits of steroids versus steroids plus antivirals for treatment of Bell’s palsy: a meta-analysis. BMJ 2009;339:b3354
Antivirals did not provide an added benefit in achieving at least partial facial muscle recovery compared with steroids alone in patients with Bell’s palsy.
筋強直性ジストロフィー における心電図異常と突然死

W.J. Groh and others. Electrocardiographic Abnormalities and Sudden Death in Myotonic Dystrophy Type 1. N Engl J Med 2008; 358 : 2688 - 97

筋強直性ジストロフィーでは,確かに突然死のリスクがある.その多くは心伝導障害と思われているが,確固たる証拠を捕まえるのは困難を極める.突然死のリスクを,心電図異常を指標として評価できないか?という疑問が一つ.また嚥下障害や呼吸筋筋力低下のある例では,窒息・痰詰まり,低酸素血症,高炭酸ガス血症の影響も否定できないのではないか.そういった疑問に答えようとした,意欲的な観察研究である.(下記は南江堂のサイトからの抜粋である)

筋強直性ジストロフィー 1 型の成人患者 406 例を対象として,心電図が突然死の予測に有効かどうかを評価した.平均 5.7 年の追跡調査期間中に 81 例が死亡した.そのうち 27 例が突然死で,32 例は進行性の神経筋疾患による呼吸不全が原因の死亡,5 例は心臓が原因の非突然死,17 例はその他の原因による死亡であった.突然死した患者で,虚脱後のリズムが評価された 17 例のうち,9 例に心室性頻脈性不整脈が観察された.重度の心電図異常(相対リスク 3.30,95%信頼区間 [CI] 1.24?8.78)と,心房性頻脈性不整脈の臨床診断(相対リスク 5.18,95% CI 2.28?11.77)は,突然死の独立した危険因子であった.

結 論
 筋強直性ジストロフィー 1 型の成人患者は,不整脈と突然死のリスクが高い.重度の心電図異常と心
房性頻脈性不整脈の診断により,突然死が予測できる.(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00622453)


てっきり側頭動脈炎だと思った
Case 18-2008: A 68-year-old man with headach and visual changes after liver transplanatation. N Engl J Med 2008;358:2619
68歳の男性が同種肝移植4週間後に、頭痛と顎跛行(jaw claudication)が発現し、3.5ヵ月後には右眼視力消失したために入院した。いったん、ステロイドによく反応したが、10日後には、十分量のステロイドが投与されていたにもかかわらず、再び視力が消失してしまった。これは側頭動脈炎ではまずあり得ないことだ。それに、同種肝移植での側頭動脈炎はこれまで報告されていない。これは免疫抑制剤を投与されているから、側頭動脈炎が生じにくいためと考えられている。さて、そうなると、一体診断は?
MGH:Case 40-2007:Multifocal Motor Neuropathy
MGH:Case 40-2007:Multifocal Motor Neuropathy. NEJM 357:2707-2715
Multifocal Motor Neuropathyの簡単な総説になっていますので,適宜ご利用を.
血管性痴呆にはつける薬なし
Harish Kavirajan, Lon S Schneider. Efficacy and adverse effects of cholinesterase inhibitors and memantine in vascular dementia: a meta-analysis of randomised controlled trials. Lancet Neurol 2007; 6: 782-92

コリンエステラーゼ阻害薬にしても,メマンチンにしても,血管性痴呆には積極的に投与を勧める根拠はないと.もっともまあ,アルツハイマーにしても,病気が治るわけではないのだから.


多発性硬化症診断におけるMRIの限界
Review: Magnetic resonance imaging alone is of limited usefulness in diagnosing multiple sclerosis. ACP Journal Club. 2006 Sep-Oct;145:51.
Whiting P, Harbord R, Main C, et al. Accuracy of magnetic resonance imaging for the diagnosis of multiple sclerosis: systematic review. BMJ. 2006;332:875-84. [PubMed ID: 16565096]
T2 highの病変の数で判断する場合、90%の特異度を確保しようとすると(本気で治療しようとするなら、高い特異度が求められる)感度は30%あるいはそれ以下に低下する。かといって90%の感度を確保しようとすると特異度はせいぜい74%となる。結局画像だけでは限界があり、臨床情報やその他の検査所見を総合して考えなければならない。
とくに、初発の発作の場合(clinical isolated syndrome)、特異度は60-70%、つまり3例に1例は多発性硬化症以外の病気ということになって、MRIに頼って治療をしてしまうことの怖さをこの論文は物語っている。
肺炎球菌とギラン・バレー症候群
● 米FDAおよびCDCによる声明:髄膜炎菌ワクチンMenactraとギラン・バレー症候群の関連性
 「米FDAおよびCDCは,Sanofi Pasteur製造のMenactra(Meningococcal Conjugate Vaccine A,C,Y and W135)接種後のギラン・バレー症候群(GBS)5例(17もしくは18才)の報告について,消費者および医療提供者に対して注意を喚起。これらの症例 は,ワクチンが原因であるのか,偶発的なものかどうかは不明であること,現時点ではワクチン接種に関する勧告に変更はなく,個人は引き続き医師の勧告に従 うこと,両機関は,状況の評価を引き続き行っていること,Sanofi Pasteurによる承認前の試験では7000例以上のMenactra被接種者中GBSがみられた症例はなく,CDCによる入手可能なデータベースを用 いた迅速調査でも110000例の Menactra被接種者中GBS症例の報告はなかったことなど記載。(FDA News P05-66,2005年9月30日付け)」に関する以下の最新情報が更新されています。  現在までに,Menactra接種から6週間以内にGBSが11才-19才の計15例において確認され,Vaccine Adverse Event Reporting System(VAERS)に報告されたこと,20才以上の2例においても追加確認されたこと,全員が回復していると報告されたこと,現時点では米CDC およびFDAはMenactraを受けているヒトにおいて,本ワクチンがGBSのリスクを増加させるかどうかについては確認していないこと,もしそうであ る場合にはどの程度であるかについても確認していないこと(10万人当たり1.25のGBS症例と示唆されているがこの数も確実ではないこと)などについ て記載。(2006年10月20日付け)

心停止後の昏睡患者の 予後,頭部外傷患者へのメチルプレドニゾロン投与

以下、いささか古い論文となるが、今でも十分通用する、役に立つと思うので紹介するする次第。

Review: 4 clinical signs are precise and accurate for predicting poor outcome in postcardiac arrest coma.
Booth CM, Boone RH, Tomlinson G, Detsky AS. JAMA. 2004; 291: 870-s9
心停止後の昏睡患者において72時間後の運動反応の欠如と同様に心停止後24時間で評価された4つの臨床徴候(角膜反射・対光反射の消失,運動反応の欠 如,痛みに対する逃避反応の欠如)は,不幸な結果を予期するのに明確で正確である.

頭部外傷患者へのメチルプレドニゾロン投与は死亡率を上昇させる
Roberts I, Yates D, Sandercock P, et al. Effect of intravenous corticosteroids on death within 14 days in 10008 adults with
clinically significant head injury (MRC CRASH trial): randomised placebo-controlled trial. Lancet. 2004;364:1321-8. [PubMed ID:
15474134]
頭部外傷患者にメチルプレドニゾロンを投与すると2週間以内の死亡率が上昇する.当初はメチルプレドニゾロンの有効性を証明するために,死亡率低下が33 -35%,検出力90%として,20000人を組み入れる予定だったが,半分の1万人を組み入れた時点で,2週間以内の死亡率が実薬群で有意に2割上昇す ることがわかって治験が中止された.死亡は頭部外傷の重症度や受傷からの経過時間やCT所見とは関係しなかった.この論文から得られた結果は,脊髄損傷に 対するステロイドの使用にも影響を及ぼすだろう.



頭部外傷CT撮影の必要性の 判断
The Canadian CT Head Rule とは、大まかに言うと、受傷時、気を失ったり、健忘があって、来院時意識が清明でない(GCS15未満)でない例はCTを撮影すべきであり、2回以上の嘔 吐や、高齢者(65歳以上)、受傷より30分以上の前のことが思い出せない といった場合にCTが必要と言っている。比較対照のNew Orleans Criteriaは、対象を広げすぎて特異度がひどく低いのが難点となっている。

Stiell IG, Clement CM, Rowe BH, et al. Comparison of the Canadian CT Head Rule and the New Orleans Criteria in patients with minor head injury. JAMA. 2005;294:1511-8. [PubMed ID: 16189364]


First MRI does harm:多発性硬化症の診断
嘘だと思うのなら、BMJ  2006;332:875-884 (15 April)を読んでみるがいい。同じ号のEditorialに も、Most studies were of poor quality and had short term follow-up. Even when MRI showed many lesions, it could not accurately confirm multiple sclerosis. Similarly, the absence of lesions could not accurately rule out the diagnosis.と書いてある。特に、長期に予後をフォローアップせずに、やたらと感度を高めようとして、特異度が低くなっていること、つまり、多発 性硬化症でない病気まで、多発性硬化症と烙印を押して、不必要な治療を長々とやっている可能性があることが最大の問題である。役立たずどころか、害をなし ている可能性さえあるのだ。First MRI does harm. というわけだ。

パーキンソン病 とホモシステイン
ここ数年、パーキンソン病と血中ホモシステイン値が話題になっていた.過去形を使うにはわけがある.
Homocysteine and levodopa: should Parkinson disease patients receive preventative therapy. Neurology. 2004 Sep 14;63(5):886-91. Review.
パーキンソン病でL-dopa内服中の患者はホモシステイン値が高くなり、心血管イベントが増加するのではという筋書きが想定されている。これは、L- dopaの代謝がホモシステイン値をあげることが言われているからだ。また、COMT阻害薬が、このL-dopaによるホモシステイン値の上昇を防ぐなど という話まで出てきている。

一方で,御本家の循環器領域では,ホモシステインを低下させる葉酸とビタミンBによる大規模介入試験の結果,動脈硬化のマーカーとしてのホモシステ インの 価値はぐっと低下してしまった.→ホモシステインの運命老舗の凋落1老舗の 凋落2.そうなると,パーキンソン病におけるホモシステインの議論も熱が冷めてしまうのかもしれない.その意味で過去 形を使ったのだ.


NEJMパーキンソン病の総説
John G. Nutt and G. Frederick Wooten. Diagnosis and Initial Management of Parkinson's Disease. NEJM 2005:353:1021-1027

なかなかよく書けている.神経内科医は必読.決して難しいことは書いていないので,プライマリケア医の方々も読んで勉強になる.日本語でポイントを解説しておいたので役立ててもらいたい.

レボドパで始めるか,ドパミンアゴニストで始めるかについては,どちらを優先するかのエビデンスはない.レボドパに比べてドパミンアゴニスト単剤療 法はは有効性が低いが,ジスキネジアや運動機能の変動の副作用が少ない利点がある.しかし,ドパミンアゴニスト単剤で十分な有効性を維持できる奨励はまれ で,ほとんどの例で早晩レボドパの併用が必要となる.異なるドパミンアゴニストの間で,有効性の相違はない.ブロモクリプチン,ペルゴリドといった麦角系 のドパミンアゴニストは,まれに,肺線維症(間質性肺炎)や,後腹膜,胸膜,心外膜の線維化を起こす.それに加えて,ペルゴリドは,対照群に比べて心弁膜 症のリスクが2-4倍高くなることが明らかとなった.このため,現在では,非麦角系(日本ではプラミペキソール)が好まれる傾向がある.→原文


MGH:Case 27-2005
Case 27-2005 An 80-Year-Old Man with Fatigue, Unsteady Gait, and Confusion. NEJM 353:1042-1050.
単なる症例検討会ではない.ドラマである.本当に夢中になって読んでしまう.神経内科医には是非ともお薦めする読み物である.こういう読み物が味わって, 神経内科医をやっていて得をしたと思う,稀な機会を逃してはならない.
ドネペジルの限界を考える

Donepezilは進行期のアルツハイマー病にも有効との論文が出たのは2001年だった.
Feldman H, Gauthier S, Hecker J, Vellas B, Subbiah P, Whalen E; Donepezil MSAD Study Investigators Group. A 24-week, randomized, double-blind study of donepezil in moderate to severe Alzheimer's disease. Neurology 2001 Aug 28;57(4):613-20.
この論文では,半年しか経過を追っていない.あくまで対症療法だから半年程度が限界なのではないか,そういう疑念が臨床医には常にある.

その効果の質自体も問題となる.つまり,認知障害の改善といっても,それが,実際の社会的損失の抑制につながるのかどうかといった疑問も常につきま とう.つまりペーパーテストの点数がよくなっても,問題行動が減少したり,介護の手間が省けたり,入院期間が減ったりといった実益につながらなければ意味 がないのではないかという疑問だ.下記のAD2000研究は,このような真のエンドポイントを主要評価指標として臨床試験を行ったが,やはり認知機能障害 のテストの結果は改善したものの,現実のご利益には乏しいという結果が出た.
Courtney C, Farrell D, Gray R, Hills R, Lynch L, Sellwood E, Edwards S, Hardyman W, Raftery J, Crome P, Lendon C, Shaw H, Bentham P; AD2000 Collaborative Group.  Long-term donepezil treatment in 565 patients with Alzheimer's disease (AD2000): randomised double-blind trial. Lancet. 2004 Jun 26;363(9427):2105-15.

前アルツハイマー状態ともいうべき軽度認知機能障害に対してドネペジルを使っても,アルツハイマー病への進展は防げなかったという報告がある.
Vitamin E and Donepezil for the Treatment of Mild Cognitive Impairment. N Engl J Med 2005; 352 : 2379 - 88

その一方で次のような報告もある.

脳血管性認知障害の患者においてdonepezilは認知面,全体的な評価を改善させる.
Review: Donepezil improves cognitive and functional outcomes in vascular cognitive impairment.
Malouf R, Birks J. Cochrane Datebase Syst Rev. 2004; (1) : CD004395

donepezilで既に治療されているアルツハイマー病の患者においてmemantineはプラセボよりも認知面,機能面,全体的な評価の改善に 効果的だった.
Memantine was better than placebo in Alzheimer disease already being treated with donepezil.
Tariot PN, Farlow MR, Grossberg GT, et al. JAMA. 2004; 291: 317-24


心停止後の昏睡の予後を4つの身体所見で判断
Review: 4 clinical signs are precise and accurate for predicting poor outcome in postcardiac arrest coma.
Booth CM, Boone RH, Tomlinson G, Detsky AS. JAMA. 2004; 291: 870-s9
心停止後の昏睡患者において72時間後の運動反応の欠如と同様に心停止後24時間で評価された4つの臨床徴候(角膜反射・対光反射の消失,運動反応の欠 如,痛みに対する逃避反応の欠如)は,不幸な結果を予期するのに明確で正確である.

頭部外傷患者へのメチルプレドニゾロン投与は死亡率を上昇させ る
Roberts I, Yates D, Sandercock P, et al. Effect of intravenous corticosteroids on death within 14 days in 10008 adults with clinically significant head injury (MRC CRASH trial): randomised placebo-controlled trial. Lancet. 2004;364:1321-8. [PubMed ID: 15474134]
頭部外傷患者にメチルプレドニゾロンを投与すると2週間以内の死亡率が上昇する.当初はメチルプレドニゾロンの有効性を証明するために,死亡率低下が33 -35%,検出力90%として,20000人を組み入れる予定だったが,半分の1万人を組み入れた時点で,2週間以内の死亡率が実薬群で有意に2割上昇す ることがわかって治験が中止された.死亡は頭部外傷の重症度や受傷からの経過時間やCT所見とは関係しなかった.この論文から得られた結果は,脊髄損傷に 対するステロイドの使用にも影響を及ぼすだろう.
椎骨脳底動脈領域の疾患
Savitz SI and Caplan LR. Vertebrobasilar Disease. N Engl J Med 2005;352:2618-26

一昔前までは椎骨脳底動脈潅流不全とごみためにされていた病態が少しずつ明らかになってきた.今や脳卒中の8割が虚血型であり,そのうち2割が椎骨 脳底動脈であるという.脳梗塞のタイプでも人種差があり,白人では頭蓋外の動脈硬化性病変が多いが,黒人やアジア人では,頭蓋内の動脈硬化性病変が多い.

症状,症候で一種類だけ,たとえば,回転性めまいだけとか,失立発作(drop attack意識清明のまま崩れ落ちる)だけという場合は椎骨脳底動脈の疾患ではまずないと考えていい等々,ためになることが書いてあります.


DBSにMRIは禁忌!!
よく,DBS(Deep brain stimulation:植え込み型神経刺激装置)を行っているパーキンソン病患者のMRI画像を学会でみかけるが,もともとMRIは禁忌である.あなた は,そんなこと当たり前じゃないかと思うだろうか?それとも,えっ,いけなかったの?と思うだろうか?
【米FDA】 ● 植込み型神経刺激装置を有する患者におけるMRIによる傷害(昏睡および永続的な神経学的機能障害を含む)
米FDAは,植込み型神経刺激装置を有する患者においてMRI処置を受けた場合に重度の傷害あるいは死亡が引き起こされる可能性があることについて医療専 門家に対して通知。FDAは昏睡および永続的な神経学的機能障害を含む数件の重度の傷害の報告を受けた。これら有害事象は,リードワイヤー末端の電極の加 熱により周辺の組織の傷害を引き起こしたものであると考えられた。May 10, 2005 - Public Health Notification - FDA

レボドパとパーキンソン病の進行
The Parkinson Study Group. Levodopa and the Progression of Parkinson's Disease.
N Engl J Med 2004; 351 : 2498 - 508

パーキンソン病の治療でレボドパの開始を遅らせたがる神経内科医は多い.しかし,有効な治療を要求する患者に対して,そんな嫌がらせじみた態度の根 拠がどこにあるのかと聞かれて,答えられない神経内科医の数も同じぐらい多い.レボドパには神経毒性があると無邪気に信じ込んでいる人もいるが,それは違 う.培養細胞レベルの話,それも一部の基礎研究者が主張しているだけだからだ.Whole animalを用いた実験では証明されていないし,ましてや臨床的根拠は全くない.むしろ,家族性のパーキンソン病では,進行を遅らせるという報告もある (Lancet 1999;353:1850).では,実際はどうなのだろうか?この研究では,レボドパ長期投与後,十分なwash out期間を置いた後,臨床症状,画像の両面から評価することによって手がかりを得ようとした.

初期パーキンソン病患者 361 例を,レボドパ(カルビドパ合剤)の 1 日量 150 mg, 300 mg, 600 mg ,プラセボのいずれかに無作為に割付け,40 週投与後, 2 週間の休薬期間をおいて,投与前と 42 週目の時点でのUPDRS (Unified Parkinson's Disease Rating Scale)スコアの変化を評価したところ,プラセボ群で 7.8 単位,レボドパ 150 mg/日群で 1.9 単位,300 mg/日群で 1.9 単位,600 mg/日群で ?1.4 単位と,いずれのレボドパ群でもプラセボより有意な改善が残っていた.(P<0.001)一方,線条体ドーパミントランスポータ密度は,レボドパ群のほう で有意に低下していた.(レボドパ 150 mg/日群 ?6%,300 mg/日群 ?4%,600 mg/日群 ?7.2%,プラセボ群 ?1.4%)(P=0.036,361 例中116例の患者についてSPECTにより評価).つまり,臨床的には症状改善,画像では悪化という,相反する結果が得られたわけだ.

2週間の休薬期間が十分な長さだったのか,臨床症状と画像の結果が平行しなかったのは,まだレボドパが脳内から完全にwash outされていなかったためではないかという懸念を残して,レボドパ神経毒性論争はまだまだ続く.


二次性進行性MSへの免疫グロブリンの効果
Otto R Hommes and others. Intravenous immunoglobulin in secondary progressive multiple sclerosis: randomised placebo-controlled trial. Lancet 2004;364:1149.
再発寛解型MSについては,97年のランセットにRCTが一本あって,障害が2年間にわたってベースラインから軽減する可能性が示されている.(しかし RCTはこれ一本だけで,システマティックレビューはない).今回は二次性進行性への効果を見たのだが,結果はだめだった.
笑気再び
Mark Doran, Sahir S Rassam, Lucy M Jones, and Simon Underhill. Toxicity after intermittent inhalation of nitrous oxide for analgesia. BMJ, Jun 2004; 328: 1364 - 1365.

笑気が,ビタミンB12のコバルト原子を不可逆的に酸化することによりビタミンB12を不活性化してしまう.その結果,亜急性連合性脊髄変性症が生 じることは以前にも指摘したが,この副作用は,神経内科医の間でもほとんど知られていないので,何度取り上げてもいいだろう.よくできた症例報告である.


されどBell麻痺
N Julian Holland, Graeme M Weiner. Recent developments in Bell's palsy. BMJ  2004;329:553-557

たかがベル麻痺,それに予後はいいんだし,という,あなたの気持ちはわかる.しかし,あの歪んだ顔がそのままの患者さんもいる.だったら,有効な治 療をすぐしてあげるべきだ.この総説は,72時間以内に,プレドニゾロン1mg/kgと経口のアシクロビルの併用療法を開始すること,エビデンスを示して 薦めている.治療は一週間継続し,2週目にプレドニゾロンを漸減する.


ビタミンB12欠乏による神経障害
Case Records of the Masschusetts General Hospital. Case 30-2004. N Engl J Med 2004;351:1333-41
ビタミンB12欠乏を疑った時,どのように診断を進めればいいか,大変参考になります.なお,一 般内科医のための神経内科の,ビタミンB12欠乏の解説も参考にしてください.
顔面神経麻痺の症候学
DH Gilden. Bell's Palsy. N Engl J Med 2004;351;1323-31.

中枢性の顔面神経麻痺では,随意的な収縮と不随意の収縮(言い換えれば自然な表情)で差が見られ,しばしば自然な表情で,より麻痺がはっきりするの は,症候学の教科書や,ベッドサイドでの伝統的な教えだが,実は,それは,大脳皮質下の病変による中枢性顔面神経麻痺の場合であって,純粋に運動皮質が障 害された場合には,随意的な収縮のほうが,自然の表情よりも強く障害されることを,この総説は教えている.

ちなみに,自然の表情をベッドサイドで見たい時のために,優秀な神経内科医は手持ちの冗談を持っている.私の師匠の一人は,””たぬきは卵を産みま す”と言ってごらん”というネタを持っていたが,病室で白衣を来た医者を前にして笑いを誘発するには,ちと効力が弱く,成功率は50%以下である.もう少 し工夫が必要だと思っている.この総説では,"What would you do if you found a horse in your bathtub?"というギャグネタが示してあったが,これもどうかと思っている.さて,あなたのネタは何だろうか.


NEJMアルツハイマー病の総説抄訳
Cummings JL.  Alzheimer's disease.N Engl J Med. 2004 ;351:56-67.→要約は別紙へ
ミトコンドリア病の糖尿病にはビグアナイド剤を使ってはい けない
A man with diabetes and heart failure. Lancet 2004;364:636
原因不明の心不全の鑑別診断として,心筋梗塞,脚気,甲状腺機能亢進症(&低下症?でも,その場合は心嚢水の方が目立つだろうな),アミロイドーシス,ヘ モクロマトーシスといった疾患があるが,神経内科医が好きなのがミトコンドリア病である.とくに糖尿病と心不全がある時は.しかし,糖尿病があるからと いって,ビグアナイド剤は禁忌である.

ただでさえ乳酸アシドーシスが起こっているのだから,ビグアナイド剤禁忌は言われてみれば当たり前なのだが,糖尿病の治療に熱心なあまり,うっかり 忘れることもあるかなと思って.こんなところを読んでいるあなたでも,”あっ,そうか”と思いませんでしたか?そう思ったら,こんなところを読んで暇つぶ ししていた甲斐が少しはあったというものです.そうでない方には,老婆心まで.


前庭神経炎には抗ウイルス薬は無効
M. Strupp and others. Methylprednisolone, Valacyclovir, or the Combination for Vestibular Neuritis. N Engl J Med 2004; 351 : 354 - 61。
前庭神経炎の原因は,単純ヘルペスウイルス 1 型感染の再活性化という噂がある。しかし、抗ウイルス薬の効果を証明した試験はなかった。今回の検討は、はじめて本格的にこの噂の真相を究明するために組 まれた試験である。

結果は抗ウイルス薬の効果なし。その代わり、パルスではなく比較的少量のメチルプレドニゾロンが効果があった。主要評価項目は、12ヵ月後のカロ リックテストだから、観察期間も十分あるし、指標の客観性も保たれていて、デザインにも大きな問題はない。無作為化を受けた患者計 141 例のうち,38 例にプラセボ,35 例にメチルプレドニゾロン,33 例にバラシクロビル,35 例にメチルプレドニゾロン+バラシクロビルを投与した.症状発現時には前庭麻痺の重症度に群間差はなかった.12 ヵ月後の追跡時の末梢前庭機能改善の平均(±SD)は,プラセボ群で 39.6±28.1 パーセントポイント,メチルプレドニゾロン群で 62.4±16.9 パーセントポイント,バラシクロビル群で 36.0±26.7 パーセントポイント,メチルプレドニゾロン+バラシクロビル群で 59.2±24.1 パーセントポイントであった.メチルプレドニゾロンはday1-3に100mg, day4-6 80mgというように、3日間毎に20mg減らしていくという、投与方法で、パルスではなく、リスクが少ない量と期間になっている。これなら現実的であ る。やはり単純ヘルペスウイルス一つで説明できるほど,世の中は単純ではないということか.


MMSE同様にお手軽で性能は上:7MSという痴呆スクリーニング

Meulen EF, Schmand B, van Campen JP, de Koning SJ, Ponds RW, Scheltens P, Verhey FR.  Related Articles, Links
The seven minute screen: a neurocognitive screening test highly sensitive to various types of dementia.
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2004 May;75(5):700-5.

外来で手軽にできる、seven minute screen (7MS)という痴呆スクリーニングテストのvalidation study、MMSEよりも感度、特異度ともにいい(ROC曲線で、あらゆる点でMMSEよりも上回る)


MSにもスタチン?
今やガマの油並みの万能薬となった感のあるスタチンだが,今度はMSに効くという論文がランセットに出た.このままでいくとスタチンで治せない病気など, この世からなくなってしまって,医者が失業するんではないだろうかなんて,勉強熱心なジャーナリストは心配するかもしれないが,自分の職業に限ってはいつ も楽観的な医者には,そんな心配をしている奴は一人もいない.

Vollmer T and others. Oral simvastatin treatment in relapsing-remitting multiple sclerosis. Lancet. 2004 May 15;363(9421):1607-8.

この研究の問題点はいくつかある.第一に,主要アウトカム指標が,脳MRIスキャンにおけるT1 gadolinium造影病変数であって,真のエンドポイントである再発防止や,身体障害の進行防止ではないこと.だということ.第二に非盲検だとういこ と.gadolinium造影病変数が真のエンドポイントとよく相関するという主張はあるが,何しろ造影病変数のうち,実際の症状に対応するのは10に一 つと言われるほど,無症候性の病変が多い.つまり,画像病変は感度は高いが特異度が非常に低い.そんなものをエンドポイントにして,効いたと言っても,ど うも眉唾だ.まあ,欧米では患者数が多い病気だから,もう,プラセボ対照で,再発抑制の臨床試験はもう始まるあるいはすでに始まっているだろうから,その 結果を待ちたいが,個人的には“そんなうまい話はないだろう”という感じがする.多発性硬化症の患者さんに,横紋筋融解が起きたら,とっても惨めなことに なるのも心配.


MSの発症にEBVが関与?
Epstein-Barr Virus in Pediatric Multiple Sclerosis
Suad Alotaibi, MD; Julia Kennedy, MSc; Raymond Tellier, MD; Derek Stephens,
MSc; Brenda Banwell, MD JAMA. 2004;291:1875-1879.
症例対照研究で,あくまで,若いMSの患者さんでEBVの血清抗体価が高かっただけ.それも劇的な違いではない.
Serological evidence for remote EBV infection was present in 83% of pediatric MS patients compared with 42% of emergency department and healthy controls (P<.001).
CMVやparvovirus, varicellaなどは差がなかったとして,非特異的なウイルスの活性化ではないと言いたいのだが,そこは症例対照研究の限界で,EBVがMSの原因と までは言えない.

Idiopathic small fiber neuropathy
Case Records of the Masschusetts General Hospital. A Woman with numbness and pain in the feet and legs. N Engl J Med 2004;350:2181-2189

神経内科医ならずとも,下肢遠位のしびれ,痛みを主訴としながらも,大径有髄線維の障害を思わせるlight touchや深部知覚,振動覚障害が軽く,筋力低下がほとんどない,もちろん,脊髄の画像に異常はない中年期以降の症例に,悩まされた,あるいは今も悩ん でいる方々は多いだろう.その年になれば,多かれ少なかれ腰椎の変化があるから,そのためかとこじつけて,いつも,その場しのぎを繰り返している.その多 くはこの病気なのだろう.
診断は,quantititive sudomotor axon reflex test (QSART)がよいという.感度は60-80%.(下記文献)

Novak V, Freimer ML, Kissel JT, et al. Autonomic impairment in painful neuropathy. Neurology 2001;56:861-868.
こいつに加えて,皮膚生検(punch biopsy)で,抗PGP9.5抗体で小径線維を染め出して,異常なsproutingを検出するのがよいそうだ.今後はこれをやっていきましょうね. みなさん.
アルツハイマー病は短命


介護負担のことを考えるだけでも,アルツハイマー病の生命予後は,重要な問題だが,信頼できる疫学調査は少ない.Larsonらによると,米国では,余命 は対照より明らかに短く,その平均は,男性で4.2年,女性で5.7年とのこと.生命予後不良因子としては,MMSE17以下,前頭葉症状,錐体外路症 状,歩行障害,転倒の既往歴,心疾患,糖尿病であり,この中でもMMSEのスコア17以下が特にハザード比が高い.
Larson EB et al. Survival after initial diagnosis of Alzheimer disease. Ann Neurol 2004:140:501-9


パーキンソン病に対するCOMT阻害薬の有効性
Review: Catechol O-methyl transferase inhibitors plus L-dopa and some surgical interventions improve Parkinson disease symptoms
ACP Journal Club. 2004 Mar-Apr;140:42.
Levine CB, Fahrbach KR, Siderowf AD, et al. Diagnosis and treatment of Parkinson's disease: a systematic review of the literature. Evid Rep Technol Assess (Summ). 2003 May;(57):1-4.

L-dopaに何を加えればいいかのメタアナリシス.セレギリンの上乗せは,効果がないとされている一方,COMT阻害薬は有効とされている.


早ければ早いほどよいのは日本でも?
The ATLANTIS, ECASS, and NINDS rt-PA Study Group Investigators. Association of outcome with early stroke treatment: pooled analysis of ATLANTIS, ECASS, and NINDS rt-PA stroke trials. Lancet 2004;363:768-74

卒中発作の早期治療と転帰との関連性:ATLANTIS,ECASS,およびNINDs rt?PA卒中発作試験の分析(卒中発作の発現から静注recombinant tissue plasminogen activator(rt?PA)治療開始までの時間(OTT)と3ヵ月間の良好な転帰および臨床的に重要な実質出血との関連性を評価した結果,OTT短 縮とともにに3ヵ月間の良好な転帰のオッズ比は上昇した。出血はOTTに関連しなかったがrt?PA治療および年令と関連していた。)

脳梗塞に対するrecombinant tissue plasminogen activator rt-PAの投与は、早ければ早いほどよく、90分以内が理想的とのことだが、この時間内に治療が始められるケースが、脳卒中救急の何割になるのだろう か?CTがそこら中にあって、かつ医療サービスへのアクセスにすぐれた日本でこそ、このエビデンスの検証を行うべきなのだが、肝心の脳卒中のガイドライン 作成にあたっても、日本発の確固たるエビデンスを盛り込めなかった業界には、そういうことを期待するのも無理か?


急性呼吸不全の鑑別診断におけるBNPの有用性
観察的研究では、鬱血性心不全で高くなることがはっきりしているBNPだが、前方視的探索を行って、その診断的価値ばかりでなく、治療面、医療経済面での 効果も検証した論文である。救急科で B 型ナトリウム利尿ペプチドを迅速に測定し,その他の臨床情報を併用することで,急性呼吸困難の患者の評価と治療が向上した.その結果,退院までの期間が短 縮し,総治療費が減少したと結論している.このような論文をこのコラムに持ってきたのは、神経内科医も、神経筋疾患でしばしば心不全を診るからである。

Christian Mueller and others. Use of B-Type Natriuretic Peptide in the Evaluation and Management of Acute Dyspnea. N Engl J Med 2004;350:647-654


アーテンも捨てたもんじゃない
昨今のEBM流行下でも、トリヘキシフェニジル(商品名アーテン他)のような、安価な、古典的な薬のRCTをやろうなんて健気な向きの仕事はなかなか日の 目を見ない。最新のRCTでも17年前だという。そんな悪条件の中で、.Cochraneがレビューを出してきた。結論は“可”。少なくともプラセボには 勝てた。

アーテンは,効果が弱い割には、口渇はともかく、記銘力障害やせん妄が、とくに高齢者に起こりやすいので、使いにくい面があるのだが、何しろ安価 で、振戦に対してはよく効き、レボドパを伝家の宝刀として温存できるという点で、見直してもいいと、私は考える。ドパミンアゴニストの値段と、アーテンの 値段が何倍違うか、あなた知ってます?知ってから、どちらを選ぶか、考えましょうね。。ドパミンアゴニストの副作用だって馬鹿になりませんよ。アーテンな ら、どんな副作用にせよ、勝手知ったるものですからね。
Katzenschlager R and others. Anticholinergics for symptomatic management of Parkinson's disease.Cochrane Database Syst Rev. 2003;(2):CD003735. Review


下痢と運動失調を見たら
遺伝子検索でもひっかからない孤発性の小脳性運動失調というのは今でも悩ましい診断だが、慢性下痢症を伴う場合には、日本人にはない(?)と言われている セリアック病に山を張ることも考えよう。
Sander HW et al. Cerebellar ataxia and coeliac disease. Lancet 2003;362:1548

多発性硬化症の治療にカナビノイド
標的症状である痙性の軽減には有効性は明らかではなかったが、随伴症状の改善には有効だった。多発性硬化症では,痛み,かゆみといった感覚系での自覚障害 が病気の苦痛に占める割合が多い.他覚所見の改善がなくても,評価する価値のあるくすりではないかと思う.

John Zajicek and others. Cannabinoids for treatment of spasticity and other symptoms related to multiple sclerosis (CAMS study): multicentre randomised placebo-controlled trial Lancet 2003;362(9395): 1517


ドパミンアゴニストが肺線維症のリスクに?
以下は雑誌の論文ではないのだが,神経内科医に知っておいてもらいたいと思い,ここに掲載した.英国薬事規制当局であるMHRA の医薬品安全性委員会 年次報告2002 CSM:Committee on Safety of Medicines Annual Report for 2002(2003.9.1)から,Pergolideと線維化反応と題して勧告が出ている.

線維化反応(肺線維症や腹部線維症のような)が,麦角誘導体に関連して,まれに生じることがわかった。委員会は,パーキンソン病の治 療に適応のある [‘Celance’](pergolide),[‘Parlodel’](bromocriptine),[‘Cabaser’] (cabergoline)およびlisurideに関連する線維化反応のエビデンスを検討した。これは,Pergolideの使用がその他の麦角誘導体 よりも,線維化反応の高率での報告に関連性があるという自発報告からの疫学的所見を受けてのことである。委員会は,利用可能なデータでは,この見かけ上の 報告割合の増加が本質的なリスクの増加を反映しているのか,報告バイアスのようなその他の因子によるものなのかを確認することができなかった。委員会は, 患者は麦角誘導体の服用期間中,線維化障害の症状に対し,定期的に注意深い観察が必要であると勧告した。製品情報はこれを反映して改訂され,記事は Current Problems in Pharmacovigilanceで公表された。

池田コメント:麦角誘導体としては,古典的なセロトニン拮抗薬であるmethysergide(偏頭痛の治療などに使われたことがある)による後腹 膜線維症が有名である.今回の勧告は,methysergideに限らず,ドパミンアゴニストにも線維症のリスクがあることを示唆している.


多発性硬化症の再発予防にはインターフェロンβ1bの方が1aより有 効

遅ればせながら、2002年4月のランセットです。

Durelli L, et al. Every-other-day interferon beta-1b versus once-weekly interferon beta-1a for multiple sclerosis: results of a 2-year prospective randomised multicentre study (INCOMIN).Lancet. 2002 Apr 27;359(9316):1453-60.

再発寛解型多発性硬化症188例で、デザインはRCTですが、投与プログラムの関係でオープンラベルとなっています。1b (250マイクログラムを隔日)と1a(30マイクログラムを週1回)を比べています。2年間にわたり、再発寛解のない人の割合は、1b隔日投与群の方 が、1a週1回投与群の方が有意に多かった(再発無しは1bで49/96=51%、1aで33/92=36%)。


頭を回す
Tinnitus after cycling. Lancet 2003;362:292.
ママチャリに乗ってのお買い物ではなく,ヘッドギアをかぶった本格的な自転車乗りの時の姿勢を考えてみよう.極端な前傾姿勢と頚部の過伸展が長時間続くこ とになる.そういう状況で頚動脈のdissectionが起こっても決して不思議ではない.それが実際に起こったことを示した論文が下記だ.頭と胴体の間 にある首は,しょっちゅう回転を強いられる.ここを通る血管もしょっちゅう捻られている.我々は,血管にまつわる急性疾患を考えるにあたって,出血や血 栓・塞栓ばかりに注意がいくが,dissectionまではなかなか頭が回らない.しかし頭を回して起こる病気のことには頭を回さなければならない.


トピラマートのALS治験:残念な結果に終わる
Petra Kaufmann and Catherine Lomen-Hoerth. ALS treatment strikes out while trying for a homer: The topiramate trial. Neurology 2003 61: 434-435.

抗てんかん薬として承認されているtopiramate(薬理学的にはAMPA/kainateタイプのグルタミン酸受容体拮抗薬)を,興奮毒性仮 説のもとにALSに試みたが,有効性はなく,むしろプラセボに比べて症状を悪化させてしまった.また,食欲不振,うつ,腎結石,深部静脈血栓症や肺塞栓と いった副作用も目立った.


ドネペジルは血管性痴呆にも有効か ?
D. Wilkinson, R. Doody, R. Helme, K. Taubman, J. Mintzer, A. Kertesz, and R.D. Pratt
Donepezil in vascular dementia: A randomized, placebo-controlled study Neurology 2003 61: 479-486.

疑問蓋ついているのは,評価指標は例によって痴呆スケールの変化で,ぱっとしないエンドポイントだからという理由の他に,一番の問題は試験期間が半 年しかないということ.せめて2年間ぐらいやってくれよな.


非ヘルペス性辺縁系脳炎における抗VGKC抗体測定の意義
Schott JM and others. Amnesia, cerebral atrophy, and autoimmunity. Lancet 2003;361:1266

非ヘルペス性の辺縁系脳炎では,voltage-gated potassium channelに対する抗体が血清&/or髄液に見出される例があるということを存知でしたでしょうか?

そうなると,我々がしばしば悩まされる原因不明の脳炎の原因検索の一つが加わったばかりではありません.この病気は,γグロブリンの投与や血漿交 換,ステロイドが効くというのです.非ヘルペス性辺縁系脳炎の中で有効な治療方法があるものということで,日本でも診断できるようにすべきでしょうね.

すでに2001年にAnn Neurolに原著が出ています.
Buckley C, Oger J, Clover L, Tuzun E, Carpenter K, Jackson M, Vincent A. Potassium channel antibodies in two patients with reversible limbic encephalitis.Ann Neurol. 2001 Jul;50(1):73-8.


橋本脳症
Taylor SE and others. An organic cause of neuropsychiatric illness in adolescence. Lancet 2003;361:572.
若い人の急性脳症というのは,しばしば診断に難渋する.ヘルペス脳炎と日本脳炎の証拠がないと,CNSループスをはじめとする膠原病関係か,肝性脳症 (Portal-Systemic shuntや尿素サイクル異常症)ぐらいしか思い浮かばない.これも否定されると,ぐっと苦しくなる.
橋本脳症というのは,確かに大穴として覚えておくべきだろう.つい,最近も臨床神経に症例報告が載っていましたね.ステロイドの投与で劇的に良くなるとい うことと,甲状腺機能とはまったく関係なく脳症が起きることもあわせて覚えておこう.

多発性硬化症でのインターフェロン治療への疑問
Fillipini G and others. Interferons in relapsing remitting multiple sclerosis. a systematic review. Lancet 2003;361:545-52.
一日おきに皮下注射し,いくつかの有害事象に耐え,多額の医療費をかけた結果が,わずかばかりの再発率の現象.それも確かなのは最初の1年間だけで,それ 以降はまだわからないという.これで,自信を持って患者さんに勧めることができるのだろうか.それとも,わらをもすがる思いで,何かいい治療法はないかと 必死の患者さんに,差し出す高価な藁ができたということで,実際の効果の程なんか知ったこっちゃないというのが,本音なのだろうか.
小脳浮腫と鉄芽球性貧血
Cerebellar oedema and sideroblastic anaemia. Lancet 2002;360;2046

12年前からschizophreniaの既往のある28歳の女性が,数週間持続する歩行時のふらつき,めまい,脱力感,嘔吐を主訴に受診した.す でに一ヶ月前に,症状がより軽い時点で,鉄芽球性貧血の診断を受けていた.
救急外来から入院して数時間後に意識障害が進行し,除脳硬直状態となり,挿管,人工呼吸となった.MRI上では両側半球対称性,びまん性の小脳浮腫と小脳 扁桃ヘルニアが認められたが,腫瘍はなかった.

さて,あなたならどんな疾患を考えるだろうか?あなたが神経内科医を自認しなくても,この回答はとっても気になるはずだ.ましていわんや神経内科医 においておや.ヒント:この患者はある妄想から,病気を治すためと称して,特殊な異食癖があった.回答は→こちら


ドパミンアゴニスト単剤によるパーキンソン病の治療
Clarke CE & Guttman M. Dopamine agonist monotherapy in Parkinson's disease. Lancet 2002;360:1767-9.
レボドパがパーキンソン病の治療の王道であることは間違いないが,長期にわたれば,症状の著明な日内変動やジスキネジアなどの不随意運動が著明になってく る.また基礎研究ではレボドパそのものが神経毒性を持つ可能性も示唆されている.そのため,ドパミンアゴニスト単剤による治療の可能性を探る動きがある. 最近,PETやSPECTでドパミンアゴニスト単剤治療は,レボドパによる治療に比べて,線条体でのドパミンの取り込みの減少を有意に抑制するというデー タが出てきている.

線条体でのドパミンの取り込みは,線条体に軸索を送っている黒質のドパミンニューロンの活動性の目安と考えられているから,ドパミンアゴニストの効 果は中脳黒質ニューロンの保護作用を示唆しているのかもしれない.もっともこの考察に対しては,画像上の効果は,単にドパミンのトランスポーターの働きに 対するレポドパとドパミンアゴニストの効果の差を見ているだけで,決してドパミンニューロンの軸索の数を反映しているわけではないという,もっともな反論 もある.

いずれにせよ,ドパミンアゴニスト単剤がレボドパより優れていると言うエビデンスはまだない.レボドパの長期投与はとくに若い世代で副作用の出現が 問題となるから,とくに若い世代の多数例で,今後さらに長期間フォローする研究が必要である.


黙って歩けばぴたりと当たる?
J. Verghese and others. Abnormality of Gait as a Predictor of Non-Alzheimer's Dementia. N Engl J Med 2002; 347 : 1761 - 8.

病前性格という言葉はあるが,病前歩行というのは聞いたことがない.しかし,こ痴呆の発症を予見できるというのだ.著者らは,75 歳以上で痴呆でない 422 例を対象に前向き研究を行い,発症前の神経学的歩行状態と痴呆の発症との関係を解析した.追跡開始前には,422例中,85例に歩行異常があった.

追跡期間 (中央値 6.6 年)にのうち,歩行が正常だった337例中,88例に,歩行が異常だった85例中,37例 に,合計125例に新たに痴呆が出現した.この相対危険度は2.03.神経学的歩行異常の対象者で,痴呆発症に対するリスクがより大きかった(ハザード比 1.96[ 95%信頼区間 1.30〜2.96 ]).これら対象者では,非アルツハイマー型痴呆のリスクは増大したが(ハザード比 3.51[ 95%信頼区間 1.98〜6.24 ]),アルツハイマー型痴呆のリスクは増大しなかった(ハザード比 1.07[ 95%信頼区間 0.57〜2.02 ]).歩行異常によるリスクの増大は,非アルツハイマー型痴呆の中でも,特に血管性痴呆の発症を予測した(ハザード 比 3.46[ 95%信頼区間 1.86〜6.42 ])以上より,著者らは,痴呆でない高齢者における神経学的歩行異常の存在は,痴呆,とくに非アルツハイマー型痴呆の発症リスクの有意な予測因子である, としている.

脳血管障害は,アルツハイマー病よりも神経学的局所症候をきたしやすいわけだから,歩行異常が血管性痴呆のリスクを表したとしてもあなたはさして驚 きはしないかもしれない.しかし,推測するのは誰にでもできるが,本当にそうかということを証明するにはこれほどの時間と労力が必要なのだ.論文の本筋に は関係ないが,面白かったのは,痴呆の各病型別の比率である.この研究では地域に居住する75歳以上の高齢者422人を中央値で6.6年追跡して,4人に 一人強に痴呆が発症したが,その125例中,アルツハイマーが70例(56%),血管性痴呆が47例(37.6%),その他が8例(6.4%)だったとい う.みなさんはこの数字を見てどう思うだろうか?


細菌性髄膜炎にデキサメタゾンは有効
de Gans J and van de Beek J. Dexamethasone in adults with bacterial meningitis. N Engl J Med 2002;347:1549.
かつてステロイドが使われて今や捨て去られてしまった疾患は,神経内科領域では多い.脳梗塞,ギランバレー,ベル麻痺.だから細菌性髄膜炎にステロイドを 使うなんて,聞いただけで目をむく神経内科医はさぞかし多いだろう.しかし,どうやらその態度を改めなくてはならないらしい.デキサメタゾン(10mg) を抗菌剤の初回投与と同時に投与し,その後6時間ごとに4日間投与したところ,転帰,死亡率ともに有意に改善した.転帰不良はデキサメタゾンでは26% だったが,プラセボ群では52%だった.一方,消化管出血の頻度は有意差がなかった.

Trousseau's syndrome
Case Records of the Masschusetts General Hospital. A 61-year-old man with headache and mutiple infarcts. N Engl J Med 2002;347:1187
臨床診断も,解剖学的診断も,Trousseau's syndrome (悪性腫瘍に伴う慢性DIC状態)ということで落ち着いているが,臨床診断の過程で,鑑別診断が丹念になされていない.抗リン脂質抗体症候群がちょっと上 がっているくらいである.でも,intravascular lymphoma(昔,neplastic angioendotheliosisと言われた)を考えなくていいのかなあと思いました.とくにLDHが1923とむちゃくちゃ高いのです.このMGH のケースレコードを読んだ方,コメントいただけませんか?→massie@saigata-nh.go.jp
Gill de la Tourette's syndromeの総説
Leckman JF. Tourette's syndrome. Lancet 2002;360:1577-86.
神経内科医でも滅多にお目にかからない病気の総説である.線条体を中心とした神経回路,病態生理,遺伝子,環境両面からの原因論など,興味深い内容を読む と,もしかしたら見逃しているのかもしれないという疑念が沸き起こってくる.
小児の脳梗塞のリスクファクター
Straeter R and others. Prospective assesment of risk factors for recurrent stroke during childhood-a 5-year follow-up study. Lancet 2002;360:1540-45.
特にlipoprotein (a)の高値,protein C欠損,及びもやもや病に代表されるような脳血管の器質的病変が問題となる.

新しいセロトニン受容体アゴニストも偏頭痛に有効
Goldstein DJ and others. Selective serotonin 1F (5-HT1F) receptor agonist LY334370 for acute migraine: a randomised controlled trial. Lancet 2001;358:1230-4

トリプタン系(5-HT1B/1D)のアゴニストは冠動脈の血管攣縮が大きな問題だったが,そのような有害事象の可能性がな い,5-HT1F選択的な薬剤が偏頭痛に有効であったという.



HELLP syndrome
って,ご存知でした?それならいいのですが,私は知らなかったのでご紹介します.
Jurgensen JS and others. Postpartume blindness. Lancet 2001; 358: 1338

症例は初回妊娠の25歳女性.帝王切開で健常児を出産したが,その直後から血圧上昇と全身痙攣を起こした.すぐに硫酸マグネシウムを投与したが,溶 血,肝機能障害,血小板減少,急性腎不全,心嚢液貯留を示した.血管炎の所見はなかった.患者は皮質盲を呈し,頭部MRIでは,T2で高信号を示す広範な 大脳白質病変があった.降圧剤と副腎皮質ステロイドの投与を行い,全経過3ヶ月で全快し,大脳白質病変も消失した.HELLP syndromeとは,hemolysis, elevated liver enzyme, low plateletsの頭文字をとったものですが,高血圧症と白質病変ということから,いわゆるreversible posterior leucoencephalopathyとの共通点がありますね.


笑気による亜急性連合性脊髄変性症

Jennifer Ng, Richard Frith.Case report: Nanging. Lancet 2002;360:384

実は古くから知られていることなのだが,笑気は,ビタミンB12のコバルト原子を不可逆的に酸化することによりビタミンB12を不活性化してしま う.その結果,亜急性連合性脊髄変性症が生じることがある.大球性貧血があるとは限らない.また一回だけの暴露でも起こりうると言う.神経内科医として是 非とも覚えておきたい合併症である.この症例は笑気依存症であり,ホイップクリームを作るためのボンベに詰めてある笑気を吸っていた.下記も参照のこと.
Mark Doran, Sahir S Rassam, Lucy M Jones, and Simon Underhill. Toxicity after intermittent inhalation of nitrous oxide for analgesia. BMJ, Jun 2004; 328: 1364 - 1365.


糖尿病性筋梗塞

Chik Cheung Chow , Ka Leung Mo, Kin Shing Wong. Case report: A woman with swollen legs. Lancet 2002;359:402 筋肉の血管は側副血行路が発達しやすいので,梗塞を起こしにくい臓器である.それでも糖尿病のような血管障害の時には筋梗塞が起こる.糖尿病に伴う筋梗塞 の臨床的特徴を知っておくと,このまれな合併症の診断に苦しんだり足をすくわれないで済むだろう.その特徴とは,

1. 男性と女性が半々
2. 平均年齢41.5歳
3. 糖尿病のコントロールが悪く,網膜症や腎障害といった細血管合併症がある.
4. 糖尿病の病歴が長い:平均15.2年
5. 症状は有痛性の筋の腫脹・腫瘤
6. 大腿四頭筋,股関節の外転筋群,腓腹筋群が多い
7. 通常片側性
8.四分の三の症例でcreatine kinaseは正常にとどまる!!
9. MRIが診断に有効.病変はT2で高信号を示す.


免疫グロブリン療法の総説

Kazatchkine MD and Kaveri SV. Immunomodulation of autoimmune and inflammatory diseases with intravenous immune globulin. N Engl J Med 345; 2001: 747.

特に神経疾患に限った話ではないが,ギランバレー,CIDPはもちろん,MG, MSもからんでくるから,読んでおいて損はないだろう.→GO TOP


ホモシステイン高値はアルツハイマー病の独立したリスクである

S. Seshadri and Others. Plasma Homocysteine as a Risk Factor for Dementia and Alzheimer's Disease. N Engl J Med 2002;346:476-83.

これまで横断的研究しかなかった痴呆とホモシステインについて,有名なフラミンガムスタディで8年間のフォローを行なった結果,そう結論された.


パーキンソン病治療のエビデンス集
Olivier Rascol, Christopher Goetz, William Koller, Werner Poewe, Cristina Sampaio. Treatment interventions for Parkinson's disease: an evidence based assessment. Lancet 2002; 359: 1589-98.

ガイドラインというようなつまらないものではなく,どの治療にどんなエビデンスがあるのか,薬物治療ばかりでなく,外科,理学療法まで,幅広く紹介 している.薬屋さんの意向を受けて値段の高いドパミンアゴニストを宣伝するような総説ではない. 要点をまとめてみたので,ご興味のある方は→どうぞ



レボドパは脳卒中リハの機能予後を改善する
Klaus Scheidtmann and others. Effect of levodopa in combination with physiotherapy on functional motor recovery after stroke: a prospective, randomised, double-blind study. Lancet 2001; 358: 787-90 脳卒中の片麻痺の患者さんのリハビリテーションにレボドパを併用すると機能回復が促進される.

手根管症候群の臨床診断:どんな症候・病歴が有用か?
D'Arcy CA, McGee S Clinical diagnosis of carpal tunnel syndrome. JAMA 284, 1924-1925. (2000)
ベッドサイドの手技が有効なことがよくわかる..



多発筋炎・皮膚筋炎と癌
Buchbinder R and others. Incidence of malignant disease in biopsy-proven inflammatory myopathy. Ann Intern Med 2001; 134: 1087-95.
筋炎の診断の後に癌が見つかったのは,多発筋炎で74%,皮膚筋炎で47%にもなる.4年以内に見つかることが多い.癌の部位と種類はさまざまだが,多発 筋炎の場合は,肺がんと乳がんが目立って多い.ただし,癌が見つかった後筋炎が見つかった例に限ると,乳がんだけが目立って多い.これは他の癌に比べて乳 癌は,発症してから比較的経過が長いからだろうか.一方,皮膚筋炎では,肺がんや乳癌に劣らず,頭頚部癌や膀胱癌といった,変わった部位の癌も多い.

ALSの総説

L. P. Rowland and N. A. Shneider: Amyotrophic Lateral Sclerosis. N Engl J Med 2001 344(22):1688

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プリオン病と神経変性疾患

S. B. Prusiner. Neurodegenerative Diseases and Prions. N Engl J Med 2001;344:1527.


下垂体卒中

U. B. Kaiser and E. T. Hedley-Whyte. Case 15-2001: An 72-Year-Old Man with Persistent Fever and Hypotension. N Engl J Med 2001;344:1536.

くも膜下出血,脳炎,髄膜炎と間違えやすい(頭痛,嘔吐の他,意識障害が高頻度に生じる)が,診断のポイントはこれらの症状の他,低血圧や電解質異 常などの副腎不全に代表されるような内分泌不全の徴候を示すことである.


精神状態の変化と筋硬直が認められた16歳の少年

Case 12-2001: A 16-Year-Old Boy with an Altered Mental Status and Muscle Rigidity. N Engl J Med 2001;344:1232.

おなじみMGHの症例検討ですが,いやあ,面白いですよ.これが面白くなかったら神経内科医じゃありません.

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低コレステロール:韓国の場合には脳出血のリスクにはならない.

Il Suh. Low serum cholesterol and haemorrhagic stroke in men: Korea Medical Insurance Corporation Study. Lancet 2001; 357 :922-25

コレステロール低値が脳出血のリスクになるというprospective studyがいくつかあるが,今回の韓国の生命保険会社のデータでは,そのような結果は得られなかった.しかし,生命保険会社のデータはいいですなあ.し かし,このKorea Medical Insurance Cooperationというのは全国民の11% が加入している巨大な生命保険会社で,その上,会社が2年おきに行う健康診断のデータを持っているというのですから,すごいですよ,これは.

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経管栄養と嚥下性肺炎

P. E. Marik. Aspiration Pneumonitis and Aspiration Pneumonia. N Engl J Med 2001;344:665-671.

嚥下障害のある患者に対して,経皮的胃瘻造設術(PEG)が盛んに行われている.しかし,せっかく胃瘻を作っても,嚥下性肺炎のリスクは通常の経鼻 胃管と変わらないことが明かとなっている.また,幽門を越えてチューブを入れても,やはり嚥下性肺炎のリスクは変わらない.

これは,嚥下性肺炎の主な原因となる,口腔内の分泌物と細菌叢は,並びに食道胃逆流現象は,胃瘻でも経鼻胃管でも同様に起こるためと思われる.

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胎児ドパミンニューロンの移植:さえない結果

C. R. Freed and Others. Transplantation of Embryonic Dopamine Neurons for Severe Parkinson's Disease. N Engl J Med 2001;344: 710

頭蓋骨に穴を開けるだけのSham Operation(偽手術)を行って,二重盲検のプロトコールに従って行ったが,60歳以下の若年者では,ある程度の効果が認められたものの,ジスキネ ジアが33例中5例で発生した.60歳以上の高齢者では効果が認められなかった.Editorialでは,このようなさえない効果しか示せないのでは,組 織のavailabilityを含め,胎児由来の細胞を使うことには大きな問題があり,今後認められないとした上で,培養細胞系や幹細胞に期待を表明して いる.

これまで15年以上の歴史のあるパーキンソン病の移植がまだこの程度に留まっているのでは,他の神経変性疾患への外科的なintervention の前途は多難なものであろう.

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Dissectionの総説

W. I. Schievink. Spontaneous Dissection of the Carotid and Vertebral Arteries. N Engl J Med 2001;344:898

私はこれから読みます.みなさんも自分で勉強しましょうね.

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頸椎の髄膜肥厚

Case 8-2001: A 61-Year-Old Man with Transient Quadriplegia and Apnea. N Engl J Med 2001;344:832

MRIが普及して肥厚性髄膜炎と,割と簡単に診断しちゃいますけど,髄膜が肥厚して見える原因てたくさんあるから,簡単に(特発性の)肥厚性髄膜炎 て診断しちゃいけないのだなあと思います.

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ラクロス脳炎

J. E. McJunkin and Others. La Crosse Encephalitis in Children. N Engl J Med 2001;344:801-7

なんだいそりゃ?って思ったでしょう.私もそう思いましたよ.これは,北米で,主に小児が罹る脳炎なんだそうです.日本脳炎と同じく,蚊が媒介する アルボウイルス感染症の一つです.臨床症状は,軽症の場合は無菌性髄膜炎,重症の場合にはヘルペス脳炎に類似した脳炎の形をとり(画像もそっくり!!), 臨床的に特徴がないので,原因不明の髄膜炎・脳炎として見逃されている可能性が大なのだそうです.髄液からウイルスを分離できないので,診断は血清や髄液 の抗体価が頼りです.1965年に第一例の報告があり,これまで合衆国では28州で報告されていますが,系統的な疫学調査がほとんど行われていないので, 実態がよくわかっていません.今回の報告は一つの施設(ウェストバージニアのCharleston Area Medical Center.東海岸になりますかね)で10年間に127例ということですから,半端な数じゃないですね. La Crosseというのは,第一例が発生した町の名前だそうです.

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筋炎の後ろにいる癌

Catherine L Hill and others. Frequency of specific cancer types in dermatomyositis and polymyositis: a population-based study. Lancet 2001; 357: 96-100

多発筋炎・皮膚筋炎に悪性腫瘍が合併しやすいことは教科書に書いてある.しかし,どんな悪性腫瘍が合併しやすいかは書いてない.また,多発筋炎と比 べて,皮膚筋炎はより悪性腫瘍を合併しやすいという噂が神経内科医の間でまことしやかに囁かれるが,その真偽のほどは定かでない.

この論文によれば,皮膚筋炎618 例中198例が悪性腫瘍を合併し(3人に1人ということになりますな)198例中115 例で,癌の診断よりも皮膚筋炎の診断が先行したという(6割ほどだから,そんなに多くはない)悪性腫瘍の部位は,卵巣,肺,膵臓,胃,大腸,そして非ホジ キン性リンパ腫だった.多発筋炎914例中,137例が悪性腫瘍を合併し,そのうち95例で皮膚筋炎の診断が先行した.悪性腫瘍の部位は,非ホジキン性リ ンパ腫,肺癌,膀胱癌だった.皮膚筋炎でも多発筋炎でも,悪性腫瘍の診断時期は,筋炎の診断と同時期の確率が一番高かった.

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MGH case records:71才女性・下垂体腫瘤
J. R. Madsen and D. Karluk. Weekly Clinicopathological Exercises: Case 34-2000: A 71-Year-Old Woman with an Enlarging Pituitary Mass. NEJM 2000;343, 1399

はい,神経内科医は実際に読んで勉強して下さいね.


突発性難聴の原因はPcomにあり?

Non-functioning posterior communicating arteries of circle of Willis in idopathic sudden hearing loss. Lancet 2000;356: 1237.

後交通動脈が機能していない例が,突発性難聴22例中12例もあったのに対し,聴力障害のない対照44例では4例しか見出されなかったとのこと.後 交通動脈機能不全が全てではないにしても,原因の一つにはなっているのだろう.

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解離性大動脈瘤による神経症状
H Gleeson, T Hughes, D Northridge, et alCase report: Bulbar palsies and chest pain. Lancet 2000;356: 826

大動脈解離が頸動脈にまで及ぶと奇妙な脳神経系の圧迫症状を起こして診断が困難になる.この例は頸動脈まで解離が及んでjuglar foramen syndromeを起こした例である.

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TNF-αによるTリンパ球のアポトーシスと多発性硬化症

Robert Nitsch, Ingo Bechmann, Rudolf A Deisz, et alResearch letters: Human brain-cell death induced by tumour-necrosis-factor-related apoptosis-inducing ligand (TRAIL). Lancet 2000;356: 827

TRAILは,一時癌細胞に選択的に働くと考えられ,抗ガン剤として有力視されたが,そうではない.しかし,多発性硬化症で悪さをしているT細胞の アポトーシスを起こすので,多発性硬化症の治療に使えるかも知れない.

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重症頭部外傷の治療

Traumatic brain injury. Lancet 2000; 356: 923 - 929

重症例では,とにかく挿管して過呼吸にして脳に酸素をやって脳圧を下げることが重要なのだそうな.


自律神経ニューロパチー:神経節細胞のアセチルコリン受容体に対する自己抗体

S. Vernino and Others. Autoantibodies to Ganglionic Acetylcholine Receptors in Autoimmune Autonomic Neuropathies. N Engl J Med 2000;343:847-55

自律神経ニューロパチーは特発性,感染後,悪性腫瘍,糖尿病と様々な病気を基礎にして起こる.その機序に自己免疫が関与していることは推測されてい たが,はっきりしたマーカーがこれまでなかった.でもこいつは使えるかもしれない.ただし,idiopathic or paraneoplasticでは41%,糖尿病では9 %と,特定の自律神経ニューロパチーに高率に陽性となるわけではない.また,この自己抗体が自律神経症状の直接の原因になっているのかどうかは,今後の研 究を待たねばならない.

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うさぎの乳で筋肉病が治る

Recombinant human α -glucosidase from rabbit milk in Pompe patients. Lancet 2000; 356: 397

ヒトのα -glucosidaseを産生するようにしたトランスジェニックうさぎのミルクでPompe病が治る.

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coenzyme Q10で治る病気
Agnes Rotig, Eeva-Liisa Appelkvist, Vanna Geromel, et al. Quinone-responsive multiple respiratory-chain dysfunction due to widespread coenzyme Q10 deficiency. Lancet 2000; 356: 391

ありふれた薬,coenzyme Q10でも治るミトコンドリアミオパチーがある.このようなケースをきちんと見極めることが大切.

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Eyes wide open
意識障害の鑑別診断.Discussantとともに,あなたならどう考えるか,自問自答,またdiscussantを批判しながら読み進めていくと勉強に なる.

Morton-Bours EC and others. Eyes wide open. N Engl J Med 2000;343:50-55

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淡蒼球後腹側部破壊術の長期予後
Fine J, Duff J, R. Chen, Hutchison W, A. M. Lozano, Lang AE. Long-Term Follow-up Unilateral Pallidotomy in Advanced Parkinson's Disease. N Engl J Med 2000:342:1708-14.

進行したパーキンソン病に対する淡蒼球後腹側部破壊術の短期的な有用性は確立されているが,長期転帰についてはほとんどわかっていない.そこで著者 らは一側性の淡蒼球後腹内側部の破壊術を受けた20 例の患者について,レボドパ服薬中および一晩休薬後のパーキンソニズムの評価を,平均52 ヵ月間にわたって追跡調査を行った.その結果,パーキンソニズムに対する術後早期の改善は,5.5 年間持続したが,レボドパ服薬中のパーキンソニズムの徴候については,ジスキネジアに持続性の有意な改善が認められたものの,他のパーキンソニズムの徴候 には改善は認められなかったという.

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パーキンソン病患者初回治療::レボドパvsドパミン作動薬
Olivier Rascol and others. A Five-Year Study of the Incidence of Dyskinesia in Patients with Early Parkinson's Disease Who Were Treated with Ropinirole or Levodopa. N Engl J Med 2000; 342 : 1484 - 91

パーキンソン病の初期治療をどうするかはいまだに議論が多いところだ.やはりL-dopaは早期から投与す べしとの総意は形成された感はある.しかし,初回投与をレボドパかブロモクリプチンのようなドパミン作動薬にするかはまだ統一見解がな い.ドパミン作動薬ならば,レボドパの困った副作用であるジスキネジアを避けられるかもしれないのだ.この論文では,268 例の早期のパーキンソン病患者を対象として,プロスペクティブ無作為二重盲検試験を行い,ジスキネジアが発現するまでの時間解析で,ロピニロールのほうが 優れていることを示す有意な差が認められた.したがって,ドパミン作動薬であるロピニロール単剤での治療を開始し,必要な場合にはレボドパを追加投与する ことによって 5 年間までは巧く管理することができ,ジスキネジアのリスクが低下するとしている.

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帯状疱疹/水痘ウイルス感染に伴う神経学的合併症の総説
Gilden DH, Kleinschmidt-DeMasters BK, LaGuardia JJ, Mahalingam R. Neurologic complications of the reactivation of varicella-zoster virus. N. Engl. J. Med. 2000;342:635-645.

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脳卒中の予防を目的とした心房細動の患者に対する抗凝固療法の指針
Richard Thomson, David Parkin, Martin Eccles, et al. Decision analysis and guidelines for anticoagulant therapy to prevent stroke in patients with atrial fibrillation. Lancet 2000; 355: 956 - 962

心房細動の患者に対して抗凝固療法をやれば脳塞栓のリスクを低くできることは誰でも知っている.でも,いつ,誰に対して,どの程度の抗凝固療法をや ればいいかは誰も知らない.この論文は迷える医者に対して一つの指針を与えてくれる.

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デング熱の神経学的合併症

Tom Solomon, Nguyen Minh Dung, David W Vaughn, et al. Neurological manifestations of dengue infection. Lancet 2000; 355: 1053 - 1059

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くも膜下出血の診断

J. A. Edlow and L. R. Caplan. Avoiding Pitfalls in the Diagnosis of Subarachnoid Hemorrhage N Engl J Med 2000;342:29-36

大切な基本ですから,神経内科医たるもの,このような文献は必ず読んで下さいね.以下は私が読んで気づいたメモです.

病歴,自覚症状,身体所見:
誤診の誘因になる非定型的な症状:
1.発症時,(継続的な意識障害ではなく)一時的な意識消失(出血によって脳循環が一時的に低下するためと考えられている)を伴うことがある.このため, 心原性の意識消失発作と誤診されることがある.また,意識消失で転倒し頭部打撲があると,外傷性の脳出血と誤診されることがある.
2.くも膜下出血には,不整脈やST上昇,giant negative Tといった心電図異常がしばしば伴う(カテコラミンの放出により交感神経系の緊張が高まるためと言われているが詳しい原因は不明).この心電図変化にとら われ,アダムス・ストークス発作,心筋梗塞,心原性の脳塞栓と誤診することがある.
3.前交通動脈瘤の破裂で,下肢の対麻痺や,abulia(無為,無気力)が起こることがある.
4.1割はなんと睡眠中に破裂する!!

主な誤診病名:偏頭痛,筋収縮性頭痛,髄膜炎,脳炎,感冒(インフルエンザ,急性胃腸炎),脳卒中,高血圧性脳症,頚椎症,坐骨神経 痛

Thunderclap headachの原因として,くも膜下出血以外に,非破裂性動脈瘤の急激な拡大や内膜解離や血栓形成,脳静 脈洞血栓症があるが,いずれにしろ血管造影はしなくてはならないことになる.

CT:
検出率を上げるためのCT撮影のこつ:
thin slice (3mm) で,硬口蓋に平行に(こうすると脳底漕がよく見える),脳底部から,スライスすること.
陽性率の経過:発症当日92%,翌日86%,二日後76%,五日後58%.
やはりMRIよりCT.FLAIR (fluid-attenuated inversion recovery)の検出率はいいかもしれないが,くも膜下出血の診断に限っては,MRIはCTに劣る.

腰椎穿刺:
髄液圧測定は脳静脈洞血栓症,pseudotumor cerebriの診断にも役立つので必ず行うこと.traumatic tapとの鑑別には,採取後すぐに遠心して,上清にキサントクロミーがあるかどうか見ること.発症後2週間以上たつと腰椎穿刺も陰性となるので注意.

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皮質下大葉性血腫とアポEの対立遺伝子
(epsilon)2 or (epsilon)4 alleleはアミロイドアンギオパチーの危険因子だが,そのアミロイドアンギオパチーを基礎に起こる皮質下の大葉性血腫のリスクになるかどうかは明かで はなかった.著者らは今回,皮質下血腫を起こした71人を追跡調査し,(epsilon)2 or (epsilon)4 alleleが再発のリスクになること,特に(epsilon)2/(epsilon)4 genotypeのリスクが高いことを明らかにした.

Heather C. O'Donnell and others. Apolipoprotein E Genotype and the Risk of Recurrent Lobar Intracerebral Hemorrhage. N Engl J Med 2000;342:240-5.

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