どうして，みのもんたが跳梁跋扈するのだろうか？優秀な専門家の先生方ならば，簡単に言い負かせるはずではないのか？なのに，思いっきりテレビがあれほどまでに人気があるのはなぜか？
答えは簡単である．みのもんたの方が強いから．では，どこが強いのか？それはコミュニケーション能力である．多くの科学分野で行われる専門教育のメニューの中には，専門外の人々の素朴な疑問に対してわかりやすく答える技術は一切含まれていない．その技術こそが，学問の恩恵を遍く広めるのに，そんな大切なことを全く無視して，ひたすら専門の学問そのものを追及する道を突っ走る結果，世間様からは全く相手にされない，独り善がりの仙人に成り下がって満足しているというわけだ．
一般市民とのコミュニケーション能力が鍛えられるのは，大学の中ではない．医者の場合，市中の外来である．一般市民と良好なコミュニケーションを保てなければ，飯の食い上げになるから，市中の外来に出ている医者は，コミュニケーション能力を要求される．
しかし，コミュニケーション能力のあるそこらへんのお医者さんは，テレビから出演依頼はない．一方，コミュニケーション能力のない正統派専門家は，テレビに出たくない．かくしてコミュニケーション能力だけしかない似非学者にだけテレビ局からお呼びがかかることになり，彼らの提灯持ちで，みのもんたは今日も元気というわけである．