高血圧:”新薬”は何のため?
うまい話あり:カテーテルを抜かずにカテ先感染を迅速に診断する
髄膜炎菌のワクチン
BCGは無効
もう一つインフルエンザに有効な薬
カルシウム拮抗薬の総説
安静にしていてもだめ:その2
妊娠可能な女性における葉酸投与は神経管欠損の頻度を低くする
OTCの肝臓を移植
漢方薬による腎障害
なぜ人はおぼれ死ぬのか?
都市部でのレプトスピラの流行
Tissue plasminogen
activatorの遺伝的多形と髄膜炎菌感染
NEJMの編集長がクビに
Rota virusワクチン2題
便潜血反応を見直す
確定診断はペプシコーラで
ECにおけるダイオキシン汚染肉騒動
無脾症における敗血症
Nipah virus
キノロン耐性のCampylobacter jejuni
cyclocporinは癌の成長を促進する
アスピリン使用制限でライ症候群が消えた
エクスタシー後のパーキンソニスム
体細胞クローンのリンパ組織発達障害
再び降圧剤の選択について
フルミナントという名の薬
ワトソン君の疑問
合衆国の中での医学論文数の地域差
筋肉マンの弱点
トップレベルの実態
ランセット編集長の誤診
定期検診の胸のレントゲンは意味がない
妊娠可能な女性における葉酸摂取の奨励
スターのスキャンダル
冷凍イチゴによるA型肝炎の流行
安静にしていてもだめ
医者と政治のかかわり
街角に出世のネタが
Dietary supplements database
万引き防止装置はペースメーカー植え込み患者には有害
亜砒酸による急性前骨髄性白血病の治療
インフルエンザに対するzanamivirの効果
火葬場職員における水銀中毒
つわりとウェルニッケ脳症
植物性の健康食品によるジギタリス中毒
ゴマを食べ過ぎると血小板が減少する?
瀕死の患者の蘇生場面における家族の立ち会い
鉄剤服用後の急性肝不全
Cisapride as last resort only
透析センターでのmicrocystinによる中毒事故
ホモシスチ(テイ)ンと動脈硬化
人間のクローニングを頭から否定すべきではない
サウナ風呂でもレジオネラ症感染の危険あり
フランスでのnvCJD例の原因
では,カルシウム拮抗薬やACE阻害薬のあの売れ行きって一体何なのさ!!って言いたくなるよな.あたしゃ,自ら進んでACE阻害薬を処方するような真似は以前からしていませんよ.どこのお偉いさんが,何と言おうと,ひどい糖尿病でもない限り,降圧利尿剤からまず入りますね.それが正しいってことが証明されたわけだ.
Lennart Hansson and others. Randomised trial of old and new antihypertensive drugs in elderly patients: cardiovascular mortality and morbidity in the Swedish Trial in Old Patients with Hypertension-2 study. Lancet 1999; 354: 1751-56
中心静脈カテから1ml足らずの血液を採取して,グラム染色とアクリジンオレンジ染色を行い,UV光で鏡検するという,簡単な方法.
Kite P. Dobbins BM. Wilcox MH. McMahon MJ. Rapid diagnosis of central-venous-catheter-related bloodstream infection without catheter removal. Lancet. 354(9189):1504-1507, 1999 Oct 30.
髄膜炎菌の流行地帯であるガーナで,流行時期に合わせて緊急にワクチン接種をするのと,流行とは関係なく,多くの人々に定期的にワクチンを接種するのと,どちらがいいか,実行可能性(資金,人手),効果といった多角的な面から検討した.その結果,流行時期に合わせて感受性の高い群にしぼって緊急にワクチンを接種する方が現実的だという結論になっている.これは,髄膜炎菌のワクチンの効果が特に小児では短期間しか持続しないこと,また,定期的に多くの人数に接種するのは,資金,人手,行政能力の面から,ガーナでは無理なこと,などが理由として挙げられている.
Christoper W Woods, Gregory Armstrong, Samuel O Sackey, et al. Emergency vaccination against epidemic meningitis in Ghana: implications for the control of meningococcal disease in West Africa. Lancet 2000; 355: 30-33.
15-year follow-up shows BCG vaccine is not effective in India. Lancet 1999;354:1617
zanamivirと同じくインフルエンザウイルスのneuraminidaseの阻害薬oseltamivirで流行期間中,一日2回,6週間の服用で有効であるとのこと.
F. G. Hayden and others. Use of the Selective Oral Neuraminidase Inhibitor Oseltamivir to Prevent Influenza. N Engl J Med 341: 1336-1343 (1999)
くも膜下出血には少し効くが脳梗塞には効かない.ガンのリスクを増やすと言われたことがあるが,その後の研究ではそれを裏付けるデータは出ていない,
カルシウム拮抗薬で血中濃度が上がるもの
ジギタリス,カルバマゼピン,H1ブロッカー,シサプリド,HMG-CoA還元酵素,シクロスポリン,たくろりむす,ベータブロッカー,テオフィリン,HIV
protease inhibitor
座骨神経痛の時,安静にしていてもだめっていう論文を以前紹介しました.今度はランセットに,ベッド上安静は意味がないばかりでなく,かえって害がある可能性があるとの論文が出ました.文献的考察なのですが,腰椎穿刺,脊椎麻酔,心カテ,腰痛,妊婦の蛋白尿と高血圧症,急性肝炎といった,ベッド上安静が当然と思われていた病態で,ベッド上安静が有効だと証明された報告はなく,中にはかえって病態が悪化するという結果が得られた報告も多いのです.
Chris Allen and others. Bed rest: a potentially harmful treatment needing more careful evaluation. Lancet 1999;354:1229.
1991年,UKのMedical Research Council (MRC)の報告により,妊娠可能な年齢の女性に葉酸を服用させることによって神経管欠損の頻度が低くなることがわかっていた (1).しかし私は神経管欠損は白人に圧倒的に多くて有色人種に少ないと思いこんでいたので,日本人にはあまり関係ない話だと思っていた.しかしそれはとんでもない誤解だったことがわかった.日本での神経管欠損の発症頻度は,英国や合衆国とそれほど変わりないのだ (2).しかも,同じアジア系である中国では,神経管欠損の頻度が非常に高い中国北部ばかりでなく,神経管欠損の頻度が日本とほぼ同じである中国南部 でも,葉酸の効果が確認された (3).こうなると日本でも母子保健指導で葉酸摂取を奨励しなければならないのではないだろうか.
余談だが,この研究にはCDCが関わっている.日本の頭越しに中国に行っちゃうんだなと思うと,寂しいね.日本ではまともな臨床研究ができないと思われているんだ.
1. MRC Vitamin Study Research Group. Prevention of neural tube defects: results of the Medical Research Council Vitamin Study. Lancet 1991;338:131-7.
2. L. D. Botto and Others. Neural-Tube Defects. N Engl J Med 1999;341:1509-1519.
3. R. J. Berry and Others. Prevention of Neural-Tube Defects with Folic Acid in China. N Engl J Med 1999;341:1485-90.
”原因不明の脳浮腫”で亡くなった26才の男性から,肝硬変,肝癌の65才の女性に肝移植を行ったところ,高アンモニア血症で移植後6日目で亡くなった.ドナーがOrnithine Transcarbamylase Deficiencyだったのだ.時間との闘いである移植治療では,ドナーがどうして脳浮腫で死んだかなんてことを顧みている暇はないのだろう.
Chinese herbal remedy linked to kidney failure. Lancet 1999;354:494
Chinese herbs nephropathyは1993年にベルギーで100人以上の被害者が出てから有名になったが,現在も被害者がわが国を含む各国で出ている.一般の薬剤性腎障害と異なることは,急速に腎機能障害が進行し,原因薬剤を中止しても腎機能障害は進行し血液透析になる.組織学的には糸球体そのものには病変は認められず,間質の広汎な線維化と尿細管の変性,萎縮,消失が見られる.原因は一部の漢方薬に含まれるaristolochic acidアリストロキア酸である.現在,保健適応薬ではチェックが行われているが,民間で売られている漢方薬による被害は今後も続く可能性がある.大切なのは,勝手に怪しげな薬を飲まないことだ.厚生省が認可した薬でさえ,とんでもないことが起こるのだから,ましていわんやである.
泳げる人間は低体温で溺死するのではない.溺死の救急蘇生法は再考の余地があるか?
Albert I Ko, Mitermayer Galvao Reis, Cibele M Ribeiro Dourado, et al. Urban epidemic of severe leptospirosis in Brazil. Lancet 1999;354:820
Peter W M Hermans, Martin L Hibberd, Robert Booy, et al 4G/5G promoter polymorphism in the plasminogen-activator- inhibitor-1 gene and outcome of meningococcal disease. Lancet 1999;354:556.
Rudi G J Westendorp, Jouke-Jan Hottenga, P Eline Slagboom.Variation in plasminogen-activator-inhibitor-1 gene and risk of meningococcal septic shock. Lancet 1999;354:561
Richard Horton. An unwilling exit from the NEJM. Lancet 1999;354:358
Confusion as New England Journal editor is forced out. Lancet 1999;354:399
1. David I Bernstein, David A Sack, Edward Rothstein, et al. Efficacy of live, attenuated, human rotavirus vaccine 89-12 in infants: a randomised placebo-controlled trial. Lancet 1999;354:287
2. Rotavirus vaccine put on hold in USA after intussusception reports. Lancet 1999;354:309
便潜血反応に関するいくつかの基本的な知見を再確認しよう.
1.グアヤックテストは
1)ヘモグロビンの偽性ペルオキシダーゼ活性を利用している.一部に誤解されているごとく,経口の鉄分,鉄剤では陽性にはならない.(ただしグアヤックテストの青とタール便の緑黒色を見誤らないこと)潜血食が必要な理由は鉄分を除くのではなく,ヒト由来以外のヘモグロビンや食事由来のペルオキシダーゼ活性を除くためである.
2)ヘモグロビンは小腸でヘムとポルフィリンに分解されて偽性ペルオキシダーゼ活性を失うので,グアヤックテストは上部消化管出血の検出感度はあまり高くない.しかしより感度を高めた第二世代のグアヤックテストはOK.
2.ヒトヘモグロビンの免疫化学的反応は
1)ヘモグロビンはペプシンや膵消化酵素でヘムとグロビンに分解されて抗原性を失うので上部消化管出血の検出には役立たない.もっぱら下部消化管出血の検出に有効である.
以上より.グアヤックとヒトヘモグロビン免疫化学的反応を組み合わせて消化管出血の部位を判定する.
あと,あなたはどんな検査をするか?頚動脈ドプラー,tilt table test,ホルター?全部問題ないよ.MRI? CT?一体どんな病変を予想して脳の画像をとるの?そりゃ72才だから小梗塞の2つや3つはあるだろうよ.でもそれで失神発作を説明できるの?脳波はちょいと遅かったけど,フェニトイン投与でも失神発作は押さえられず.
そんなに大層な検査をいくつもやる必要はないんだ.冷えたペプシコーラ(まあ,コカコーラでもいいんだが)を一缶買ってきて,目の前で飲んでもらって発作が誘発されればそれで診断確定.
Deglutition syncope ws a dysautonomic syndrome associated with intense vagal afferent activation due to esophageal stimulation. It evokes sympathetic inhibition with vagal efferent activation, causing bradycardia, peripheral vasodilation, and hypotension. Cold beverages frequently trigger delutition syncope. The problem can be treated with avoidance of the stimulus.
Olshansky B. A Pepsi Challenge. N Engl J Med 1999;340:2006.
99/5/27に始まったベルギー産鳥肉豚肉のダイオキシン汚染騒動は当局が汚染の事実を知りながら6週間も隠していたこともあって,狂牛病騒動にも劣らない大きな政治問題に発展した (1).しかし,本当にダイオキシンが癌を起こすかどうかは未だに明かではない (2).
1. European dioxin-contaminated food crisis grows and grows. Lancet 1999;353:2047.
2. Public-health message about dioxin remains unclear. Lancet 1999;353:1681.
また,この論文を読むと,無脾症における予防接種は,最低,肺炎球菌,髄膜炎菌,インフルエンザ菌のワクチン接種を考えなくてはならないことがわかるが,わが国の現状はどうだろうか.とくに髄膜炎菌,インフルエンザ菌のワクチン接種などは全く考えられていない状態には,行政ばかりではなく,医師一人一人にも責任がある.
J. Parsonnet and J. Versalovic. Weekly Clinicopathological Exercises: Case 17-1999: A 42-Year-Old Asplenic Man with Gram-Negative Sepsis. N Engl J Med 1999;340:1819-26
ミネソタというと卵売りですが,卵を売れば鳥肉も売る.その鳥にシプロフロキサシンを含めたキノロン系の抗生物質がばんばん使われている.そのためにキノロン耐性のキャンピロバクターが出てきたというお話です.Vancomycin-resisitant Enterococcusだけではないのです.食用動物にはとにかく人間様顔負けにいろんな抗生物質が使われているのです.
K. E. Smith and Others.Quinolone-Resistant Campylobacter jejuni Infections in Minnesota, 1992-1998. N Engl J Med 1999;340:1525-32.
Hojo M, Morimoto T, Maluccio M, et al. Cyclosporine induces cancer progression by a cell-autonomous mechanism. Nature 1999;397:530-534.
著者らは,今後ライ症候群とおぼしき例に遭遇したら,ライ症候群そのものではなくて,類似の代謝異常症を疑って検索すべきだと言い切っている.合衆国でライ症候群と診断することは,誤診か医療過誤のどちらかだと自ら宣言することになる.
ひるがえって,わが国では,アスピリンとライ症候群の関係の密接さがどんな科の医師にも,また親にも,あまねく知られているとはとても言えない.これは血友病患者のHIV以上の悲劇を現在も引き起こしているのではないだろうか?
”小児用バファリン”これは日本でだけ使われている薬なのか?脳梗塞の大人に使われるだけならいいのだが,読んで字のごとく,素直に子供にも使われているだろう.保険点数も子供でないと通らないことだし.
E. D. Belay and Others. Reye's Syndrome in the United States from 1981 through 1997. N Engl J Med 1999;340:1377-82.
何とかならんのかね.この訳は.日本語を読めば,誰だって,気持ちいいことをした後,パーキンソニスムになったと思うじゃないか.大丈夫ですよ.そんなことはありませんから,安心して励んで下さい.(事情がよくわからない人のために解説しておくと,ecstasyとは,3,4-methylenedioxy-methanphetamine (MDMA)のことである)
今回の報告 (2) では体細胞クローンの牛が生後7週で急激な貧血とリンパ球減少を起こし,51日目に高度の貧血で死亡したことが報告されている.剖検では胸腺の萎縮とリンパ組織の発達障害が見られたが,その他の異常はなかったという.今回の体細胞クローニングではnuclear transferという技術が用いられており,核と細胞質の関係を含めて遺伝子のプログラミングに異常をきたしたのではないかと推測されている.急激な貧血とリンパ球減少ということだが,このような病態でどんな遺伝子がどのように障害されているのかは非常に興味があるところだ.Dollyのtelomereが短い (Nature 1999;399:316-7)ことと何か関係があるのだろうか.
1. Watts J. Japanese outcry at the sale of beef from 'cloned cows'. Lancet 1999;353:1422
2. Renard J-P and others. Lymphoid hypoplasia and somatic cloning. Lancet 1999;353:1489-91.
Drug companies have stopped advertising beta-blockers and diuretics and have switched their marketing campaigns almost entirely to calcium channel blockers, according to a reprot in Circulation (1999;99:2055-7). Moreover, the campaigns have worked. Calcium-channel blockers now account for 38% of US prescriptions for antihypertensives against only 19% for beta-blockers and diuretics. But, say the authors, current evidence indicates that the older types of antihypertensives are usually more effective than newer ones.
Terbinafine and Fulminant Hepatic Failure. N Engl J Med 1999;340:1292.
さあてその種明かしは?
Extreme Hyperkalemia in Munchausen-by-Proxy Syndrome. N Engl J Med 1999;340:1293-94.
Geography of U.S. Biomedical Publications, 1990 to 1997.N Engl J Med 1999;340:817-8.
Large Hepatic Hematoma and Intraabdominal Hemorrhage Associated with Abuse of Anabolic Steroids. N Engl J Med 1999;340:1123-24.
そもそも,胃癌におけるリンパ節廓清をどこまで行うかという基本的な問題に関して,科学的根拠を示した論文が日本から出ていない(すくなくとも下記の論文で引用文献が全くない)というのはどういうこっちゃ.これが世界でトップレベルだというんだから恐れ入ります.日本の外科医からの反論を望む.
J.J. Bonenkamp and others for the Dutch Gastric Cancer Group. Extended lymph-node dissection for gastric cancer. N Engl J Med 1999;340:908-914.
ランセットの編集長,Richard Hortonによる”誤診”の告白です.一気に読んでしまうこと請け合いです.是非ご一読を.
肺ガンのスクリーニングに胸のレントゲン写真による定期検診が役立たないことはご存知の通り.しかし,結核のスクリーニングはおろか,患者のフォローアップにも定期的な胸のレントゲンは役立たないことをご存知でしたか.これは冗談でも何でもありません.これこの通り,ランセットに堂々と書いてある.誰か,余計な被爆はやめるべきだという趣旨で訴訟でも起こしてくれないかな.唯一の被爆国でこのような訴訟が起きてこそ,日本の評価が高まるというものだ.
神経管欠損の頻度が多い白人では,妊娠可能な女性に対して葉酸摂取が奨励されているが,日本でははっきりした基準がない.黄色人種には神経管欠損が少ないから問題ないと済ましていていいものだろうか?→参考コメント(在英の日本人向けに書いたものです)
カルシウム拮抗薬が癌のリスクを増すという衝撃的な報告 (1) でけちがついたのを尻目に,(実はけちがついてもよく売れているが,それは薬屋からお金をもらっている研究者が,カルシウム拮抗薬に有利な研究結果を出すからだ.休憩小話の冗談じゃないさ,天下のNEJM (2)にそう書いてある.)ACE inhibitorは順調に売れている.しかし,その売れっ子の化けの皮をも剥がそうという報告が現れた (3).もてはやされているACE inhibitorを使おうと,古ぼけた利尿剤やβブロッカーを使おうと,循環器系の病気の確率は変わらないっていうんだ.高いお金を出してACE inhibitorで血圧を下げようと,安い昔風の降圧利尿剤を使おうと,結果は同じってわけだ.今や世界中で売れているACE inhibitorの額って言ったら,日本の”脳代謝賦活剤”の比じゃないぜ.もし,ACE inhibitorが全部降圧利尿剤に置き換わったら潰れる会社がいくらでも出てくる.
”新薬”とか”医学の進歩”というものが如何に当てにならないか,新しい治療法の評価に如何に長い時間がかかるかということが,この論文だけでもわかっていただけると思う.
1. Pahor M, Guralnik JM, Ferrucci L, et al. Calcium-channel blockade and incidence of cancer in aged populations. Lancet 1996;348:493-7.
2. Stelfox HT, Chua G, O'Rourke K, Detsky AS. Conflict of interest in the debate over calcium-channel antagonists. N Engl J Med 1998;338:101-6.
3. Captopril Prevention project study group. Effect of angiotensin-conerting enzyme inhibition compared with conventional therapy on cardiovascular morbidity and mortality in hypertension: the Captopril Prevention Project (CAPPP) randomised trial. Lancet 1999;353:611-16.
Y. J. F. Hutin and Others. A Multistate, Foodborne Outbreak of Hepatitis A. N Engl J Med 1999;340:595-602
PCAJ Vroomen and others. Lack of Effectiveness of Bed Rest for Sciatica. N Engl J Med 1999;340:418-23
その論文の内容は,アメリカの学生に対して,口と性器の接触が”セックス”と受け取れるかどうかというアンケートの結果だった.59%は,セックスではないと答えた.陰茎と膣の合体こそがセックスであるとの答えだ.そう,当たり前だ.ここまで読んだだけでクビの理由がわかった人は大したもんだ.わからない人は続けて読んでね.
さて,ここからが本題.JAMA編集部は,press releaseの中で,”この論文は最近の大統領の声明と関連してとても興味深い”とやっちまったんだ (1).つまり,大統領の行為は”不適切”であってもセックスじゃないってことなんだな.
さて,このことを休暇先のフロリダで1月12日に知ったAMAの副会長,ラトクリフ・アンダーソンがあわててAMAの理事会の了解を取り付けて,1月13日の水曜日にたまたま肘を骨折して入院していたランドバーグが電話の受話器を取れるようになった1月15日の金曜日に電話でクビを言い渡したってわけさ (1).
アンダーソンがそこまであわてたのには訳がある.まず,AMAは1997年に金儲けの目的でSunbeam Cooperationという会社と,AMAの商標を独占的に使うことを許す契約を結んだんだな.これが非難ごうごうで,結局AMAは契約を撤回,首脳陣は総辞職,損害賠償と訴訟費用で1320万ドル(1ドル120円とすると,16億円)を失う羽目に追い込まれた.この事件以来,AMAは外部の目に極端に神経質になっていた.この事件のあと,空軍軍医総監からAMAに迎えられたのがアンダーソンというわけだ (1).
AMAの政治的立場も今回の事件と大いに関係がある.AMAは共和党シンパだからだ (1).たかが学生へのセックスのアンケート調査のおかげで,乏しい財布の中から献金したなけなしの金を無駄にしたくなかったってわけさ.
Lancet (1)でもNEJM (3)でも編集長がeditorialで非難の声明を出しているが,その論調が対照的で面白い.LancetのHortonの方はアンダーソンとの電話の会話やこれまでの経緯を交えながら,ランドバーグの編集姿勢やアンダーソンの行動の背景をかなり詳しく述べて結論を出している.客観的に事実関係を明らかにして,自らの意見を導き出そうとという態度だ.英国人独特のシニカルな姿勢も随所に見られる.一方NEJMのKassirerは,医学ジャーナリズムは社会にどんどん関わっていかなくてはならないという信念の元に,自らがどう行動してきたか,編集者はどうあらねばならないかを手短に述べている.Hortonの文章よりも簡単でより直接的な表現に満ちている.どちらも読んでいて面白い.ふだんはeditorialなどお読みにならない方もぜひどうぞ.
1.Horton R. The sacking of JAMA. 1999;353:252-53.
2.Frankel DH and Horton R. Medicine and politics of medical journalism. Lancet 1999;353:518
3.JP Kassirer. Should Medical Journals Try to Influence Political Debates? N Engl J Med 1999;340:466-467.
Brouqui P and others. Chronic Bartonella quintana Bacteremia in Homeless Patients. N Engl J Med 1999;340:184-9
著者らは71例(たったの71です.新宿や上野をお散歩すれば一日でリクルートできる数!!)のホームレス患者の血液培養,抗体価測定,そしてキモノジラミ採取をしてPCRにかけた(これなら往診で検体を採取できる!!)だけで,Bartonella quintata感染症の臨床研究としてNEJMのフルペーパーに仕立て上げてしまったのです.さあ,書を捨てて町に出よう.
http://dietary-supplements.info.nih.gov
Santucci PA and others. Brief Report: Interference with an Implantable Defibrillator by an Electronic Antitheft-Surveillance Device. N Engl J Med 1998;339:1371-4.
何かとおさわがせの砒素ですが,急性前骨髄球性白血病によく効くということをご存知でしたか?all-trans-retinoic acidと同じく,またまた中国からの報告が元になっているんです.これがまた,化学療法後に再燃した患者12人に使って11人を完全寛解に持ち込んだと言う驚異的な効果です.使った亜砒酸の量も少なくて,副作用も軽度だったとのこと.どうして効くかというと,caspase 1とcaspase 3を活性化してアポトーシスを誘導するからだっていうんですね.all-trans-retinoic acidの分化誘導とは作用機序が違うから,all-trans-retinoic acid抵抗性の急性前骨髄球性白血病やall-trans-retinoic acidに一旦感受性になって寛解に持ち込んだ後再燃したような例でも砒素が効くんだそうです.
中国っていうのはいろいろ新規な使い方を開発してくれますね.これは漢方薬の有効成分を分析していく過程で得られた結果でしょう.漢方薬にはもともと砒素が含まれているものがあるのです.しかし,中国では治験計画とかインフォームドコンセントとか,どうしているのかね.日本の製薬会社も英国で治験したりしないで,中国でやったらどう?(^^;)
The MIST study group. Randomised trial of efficacy and safety of inhaled zanamivir in treatment of influenza A and B virus infections. Lancet 1998;352:1877-1881
人間の最終処分場の職員は人間から出る毒の汚染を受ける.ご遺体の歯にアマルガムの詰め物がしてあれば火葬場の職員は当然水銀の汚染を受ける.
NEJMの同じissueには同じように,herbal medicineの重金属汚染 (1)(砒素,水銀,鉛→カレーばかりが毒じゃない),”健康食品”に含まれるbutyrolactoneによる中枢神経抑制 (2) の報告が載っている.まったく油断できない世の中になったもんです.
1. Ko RJ. Adulterants in Asian Patent Medicines. N Engl J Med 1998;339:847.
2. LoVecchio F and others. Butyrolactone-Induced Central Nervous System Depression after Ingestion of RenewTrient, a "Dietary Supplement". N Engl J Med 1998;339:847.
Arnold J and others. Case report. A young woman with petechiae. Lancet 1998:352;
Robinson SM and others. Psychological effect of witnessed resuscitation on bereaved relatives. Lancet 1998;352:614-617
1. Edwards CQ, Kushner JP. Screening for hemochromatosis. N Engl J Med 1993;328:1616-20.
2. Hemochromatosis Presenting as Acute Liver Failure after Iron Supplementation. N Engl J Med 1998;339:269-270.
FDAによれば,合衆国では93年より,シサプリド(日本での商品名はアセナリン,リサモール)に関連したと思われる死亡が38例に達している.以前よりアズール系抗真菌剤との併用は禁忌とされていたが,日本でも最近,併用禁忌薬剤としてエリスロマイシン,クラリスロマイシン,インジナビル,リトナビル,ネルフィナビルが加わったが,FDAはシサプリドを極力使わないように警告を発している.私は,これしきの薬を”last resort”として使わなければならない状態はほとんどないと考える.だから使わないでいいと思う.
Liver Failure and Death after Exposure to Microcystins at a Hemodialysis Center in Brazil. N Engl J Med 1998;338:873-8.
Reduction of Plasma Homocyst(e)ine Levels by Breakfast Cereal Fortified with Folic Acid in Patients with Coronary Heart Disease. N Engl J Med 1998;338:1009-1015.
Mechanisms of Disease: Homocysteine and Atherothrombosis. N Engl J Med 1998;338:1042-1050.
血管炎と聞くと,アレルギー・膠原病に興味を持っている内科医以外は苦手と感じる人が多いのではないだろうか.私もその一人である.microscopic PN, ウェジナー,Good-Pasture, Churg-Strauss etc.一体どこがどう違うんだろうって,いつも思う.この総説はそういう素朴な疑問に答えて,とてもわかりやすく解説されている.専門分野にかかわらず,すべての内科医にお勧めする総説である.
HIV患者血液の針刺し事故後のHIV感染率は0.3%と言われているが,一体どういう針刺し事故がリスクが高いのか,たとえば,傷の深さ,針への血液の付き加減,処置した患者のHIVの病期などがどのように針刺し後の感染の成立のリスクと関わるのか,針刺し事故後のzidovudineの投与は効果があるのか,など,素朴な疑問に答えるためにこの研究は行われた.結果は,傷が深くて,針が肉眼ではっきりわかるほど血にまみれていて,かつ処置した患者が末期に近ければ感染のリスクが高まるとわかった.zidovudine投与の効果は弱いながらも認められた.→GO TOP
carboxymethylcelluloseは医薬品ばかりでなく,食品や化粧品の添加物としてもひろく使われている.セルロースだから消化管から吸収されないとされているが,胃透視の造影剤の成分として含まれていたcarboxymethylcelluloseのアナフィラキシーの報告例がNEJMに載った.症例はアレルギー歴のない63才女性で,過去の消化管造影では問題なく検査を受けていた.胃透視の30分後に発疹,血圧低下,意識消失を起こした.皮内反応と白血球からのヒスタミン遊離でcarboxymethylcelluloseのアナフィラキシーが証明された.
1例の症例報告だが,このような報告の価値を認めて掲載するNEJMのeditorial handlingを賞賛したい.そしてこの症例報告書いた岡山大学薬理学教室のスタッフも賞賛したい.
喘息の子供の中でゴキブリに対するアレルギーを示す割合は,ダニ,ネコの毛に対するアレルギーの割合よりも高い.また,ゴキブリアレルギーを持ち,高濃度のアレルゲンに暴露されている喘息の子供は,ダニ,ネコの毛に対するアレルギーを持つ子供よりも,入院,予定外の外来受診,喘鳴,学校の欠席,不眠が多い.
同じ号のeditorial(世界の疫学的な傾向も含めて書いてあり,こちらもなかなか面白いです)にダニ,ゴキブリのアレルゲンのことが書いてあります.ダニ,ゴキブリのアレルゲンの遺伝子の多くはクローニングされており,そのホモロジーから既知の蛋白であることがわかっています.例えばダニのDer1というアレルゲンは消化管で産生されるシステインプロテアーゼであり,ゴキブリのBla g2というアレルゲンはアスパラギン酸プロテアーゼだそうです.ゴキブリのアレルゲンは糞,唾液,あるいは虫体に由来すると考えられています.→GO TOP
36才の女性.電話の子機を右耳と右肩の間に挟んで32分間話しながらアイロンをかけていたところ右頚部痛が生じた.右内頚動脈解離壁内血栓により内腔は完全に閉塞していた.
Murad J-J, Girerd X, Safar M. Carotid-artery dissection after a
prolonged telephone call. N Engl J Med
1997;336:516.→GO TOP
併用薬剤で特に問題なのはimidazole系の薬剤(ケトコナゾール,フルコナゾ ール,イトラコナゾール,メトロニダゾール)とマクロライド系の薬剤.これらの薬剤は肝臓の酵素P-450に干渉してシサプライドの代謝に影響を及ぼすと思われる.その他,不整脈に関係のある基礎疾患やリスクファクターとして,虚血性心疾患,腎機能障害,電解質異常,フェノチアジン(QT延長を起こす)の服用がある.
(コメント) この薬は喘息も悪化させるようですので(近着の厚生省副作用情報参照),類似のプリンペランに比べてひどく見劣りがしますね.だから新しい薬は大嫌いになってしまいます.