◆Portableに最適なワープロをさがす!−ワープロ編−◆



それでは,エディタ編に続きまして,ワープロについて検証したいと思います.動作確認条件や前提はエディタ編と全く同じです.

【2】ワードプロセッサ

1990年代前半に活躍したワープロをまとめてみました.要求される最小RAM容量はテキストエディタよりも厳しくなります.大体,
・日本語システム:漢字Talk 6.0.7なら(2.5〜)3MB,漢字Talk 7.1以降なら4〜5MB
・英語システム:System 6.0.8なら1〜2MB,System 7.0.1なら2MB
といったところでしょうか.

(1) マックライトII



推奨(最小必要)メモリサイズ:1200KB
確認ヴァージョン:1.5v2
日本語入力:○
漢字Talk 6環境でのインライン入力:○(MacVJE 2.5,EGBridge 5.0等)
作者または販売元:クラリス
入手方法:中古を見つけるしかありません
入手難易度:やや難

Appleの純正ワープロである(正確にはこの当時はApple子会社のClaris社が開発・販売)MacWrite IIを日本向けに徹底改良した名ワープロ.初期のヴァージョンはシステムソフト社から販売されていました.
機能はシンプルで複雑なレイアウト組みには適しませんが,使い勝手は非常に良いです.Mac初心者を中心にとても人気がありました.特筆すべきは作表機能が充実している点です.ただし,特にこの作表機能を含め,Portableのような遅いCPUを搭載したマシンでは動作が重い事が気になります.
この当時発売されていた各種FEPのインライン入力をサポートしてくれるのは嬉しいところです.
ヴァージョン1.1まではMacVJE 2.5がバンドルされていましたが,1.5では漢字Talk 7に正式対応し,ATOK 8バンドルに変更されました.
マックライトIIそのものはこのヴァージョン1.5を最後に開発が止まってしまいましたが,その遺伝子はクラリスワークス,AppleWorks,そして現在の純正ワープロPagesに引き継がれています.
新品の入手は勿論不可能ですが,人気ワープロだったので中古市場では今でも結構見かけます.

(2) クラリスワークス



推奨(最小必要)メモリサイズ:1500KB
確認ヴァージョン:2.0v3
日本語入力:○
漢字Talk 6環境でのインライン入力:×
作者または販売元:クラリス
入手方法:中古を見つけるしかありません
入手難易度:やや難

ワープロ,データベース,スプレッドシート,ドロープログラム,ペイントプログラム,通信ソフトを1本にまとめたいわゆる統合ソフトウェアですが(ちなみにヴァージョン1.0ではペイントプログラムを欠きます),実際はワープロモジュールが最も多用されるでしょうので,ここに載せました.実際,Mac用ビジネスソフトとしては他のワープロをおさえて一時期最も売れていました.ワープロモジュールの使い勝手はマックライトにかなり近く,その他のモジュールとの統合性も素晴らしいです.ドロープログラムを土台としてページレイアウトを組むといった芸当も出来ます.FEPはバンドルされていません.十分なRAMが搭載されているなら,アプリケーションを1本だけ選ぶとなった場合,最有力候補となるでしょう.ちなみにヴァージョン1.0なら最小必要メモリサイズは900KBです.
漢字Talk 6環境下ではインライン入力は出来ませんでした(勿論漢字Talk 7ではサポートされています).
クラリスワークスはヴァージョン4.0まで販売されましたが,その後Claris社が分割され,半分はAppleに経営統合,残りはFileMaker社となったため,クラリスワークスはAppleWorksとして生まれ変わりました.
一時期Mac本体の一部機種(Performaシリーズや一部のPowerBook等)にバンドルされていて,かつ人気ソフトで流通量も多かったので,中古市場を探すと比較的容易に見つかるかも知れません.

(3) EGWord



推奨(最小必要)メモリサイズ:992KB
確認ヴァージョン:4.1
日本語入力:○
漢字Talk 6環境でのインライン入力:○(EGBridge 5.0)
作者または販売元:エルゴソフト
入手方法:中古を見つけるしかありません
入手難易度:難

EGBridgeと共にMacの日本語環境の歴史を語る時に極めて重要な位置を占めるワープロ.進化をくり返したEGWordは現在でもOS X用高機能ワープロとして生き続けています.
純国産ワープロという事もあり,日本語処理は他のワープロよりも秀でています.販売元はEGBridgeと同じエルゴソフトです.バンドルされていたEGBridgeとの組み合わせで漢字Talk 6でもインライン入力が出来ます.

(4) MacWORD



推奨(最小必要)メモリサイズ:1000KB
確認ヴァージョン:2.0
日本語入力:○
漢字Talk 6環境でのインライン入力:○(MacVJE 2.5)
作者または販売元:ダイナウェア
入手方法:中古を見つけるしかありません
入手難易度:難

MacVJEのダイナウェアが販売していたワープロ.ファイル管理能力に優れ,また文書内で簡単な作図も出来ます.MS-DOSの世界でお馴染みの「倍角」といった文字サイズ指定も可能です.ただ,若干バギーであったという話も聞きます.バンドルされていたMacVJEを用いてインライン入力が可能です.
残念ながら,確かヴァージョン4のあたりで絶滅してしまいました.

(5) TurboWriter-J



推奨(最小必要)メモリサイズ:560KB
確認ヴァージョン:2.3.4
日本語入力:○
漢字Talk 6環境でのインライン入力:×
作者または販売元:TransPac Software(フリーウェア)
入手方法:少し前まではTransPac SoftwareのFTPサイトからダウンロード可能でしたが…
入手難易度:?

元はTurboWriterという英文ワープロでしたが,その後日本語化され,一時期FlashWriterという名称でカテナから販売されていました(最終ヴァージョンは1.5).1990年代前半に低価格ワープロとして人気がありました.ただしFEPはバンドルされていません.特筆すべきは縦書き入力をWYSIWYGでサポートしている点でしょう.漢字Talk 7ではインライン入力が出来ます.
さてこのワープロでもう一つ特記すべき点は,販売終了後関係者の御尽力でフリーウェアとして公開された事です.オリジナル版の販売元であったTransPac Softwareによって漢字Talk 6.0.7からMacOS 8.6まで対応するようバグフィックスされ,ヴァージョンJ-2.3.4としてFTP公開されました.さらに岡本光彦さんにより日本語簡易マニュアルまで作成されました.
現在,簡易マニュアルはベクターからダウンロード出来ます.ワープロ本体はTransPac SoftwareのFTPサイトからダウンロード出来たのですが,現在はURLが変更になったのか公開が終了したのか見つかりません.

(6) Nisus Compact



推奨(最小必要)メモリサイズ:1024KB
確認ヴァージョン:3.474c
日本語入力:○
漢字Talk 6環境でのインライン入力:○(MacVJE 2.5,EGBridge 5.0等)
作者または販売元:Nisus Software(フリーウェア)
入手方法:Nisus Softwareのホームページからダウンロード可能(若干分かりにくいですが,現在はサイト内のここにあります)
入手難易度:易

Nisus Softwareから販売されているマルチリンガル対応ワープロNisus Writerは,一時期様々なヴァージョンが販売されていました.日本語化されたものはSolo Writerという名称でマーキュリー・ソフトウェアから販売されていましたが,後にNisus Writerの名称で一本化されました.さらにNisus/Solo Writerには機能縮小版のNisus Compact(Solo PowerLite)が存在します.ここで取りあげたのはその機能縮小版の方です.Nisus Writerそのものは現在OS X対応版であるNisus Writer Expressが販売されています.
Nisus Writer/Nisus Compactの特徴は,極めてマルチリンガルであるという点です.つまり複数言語の扱いに長けています.さらにoption+commandでの不連続な部分の複数箇所選択や,強力な検索機能,殆ど無制限のUndo機能等,多くの特徴を持っています.
さて,このNisus Writer/Nisus Compactも古いヴァージョンがフリーウェア公開されています.国内の販売元であるマーキュリー・ソフトウェアでの公開は終わってしまったようですが,大もとのNisus Softwareでは現在も公開が続いています.Nisus CompactとNisus Writer(ヴァージョン4.1.6)をダウンロード出来ます.ちなみにNisus Writerの方はSystem 7.1以降対応となっています.英語版ですが日本語も問題無く扱えますし,漢字Talk 6でもインライン入力が出来ます.

(7) Microsoft Word



推奨(最小必要)メモリサイズ:1024KB
確認ヴァージョン:5.1a
日本語入力:×
作者または販売元:Microsoft
入手方法:中古を見つけるしかありません
入手難易度:難

これも説明不要の,今に生き続ける代表的ワープロ.日本語版はヴァージョン6からで,Portableで使える最終ヴァージョンはこの5.1です.日本語には対応していませんが,英語限定環境であれば最強のワープロである事には間違いないでしょう.複雑なページレイアウトを組む事も出来ます.徹底的なカスタマイズも可能です.しかし多機能である故好き嫌いが分かれるところです.
文法チェッカを削除し,使用メモリを減らせば,Ststem 7.0.1/RAM 2MBの環境でもかなり軽快に動かせるようになります(参考:「Macintosh Bible」第4版).

(8) WriteNow



推奨(最小必要)メモリサイズ:490KB
確認ヴァージョン:3.0
日本語入力:×
作者または販売元:T/Maker
入手方法:中古を見つけるしかありません
入手難易度:難

英文専用のワープロですが,メモリ使用量も少なく動作も軽く,必要な機能はしっかり押さえてあります.Portable用英文ワープロとしては最も適しているかも知れません.

私のお薦めは,入手難易度も考慮して,Nisus Compactとしたいと思います.

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