スコット症候群
【スコット症候群とは】
遺伝性の出血性疾患であり、発端者の名前からこの病名がつけられました(現在では考えられませんが)。その病態生理は活性化血小板膜表面の凝固活性が低下することにあります。血小板は活性化するとホスファチジルセリンが血小板膜の内層から外層に移行し(フリップ現象もしくはフリップ・フロップ現象)、凝固第X因子などのGlaドメインを持っている蛋白質が集積し凝固反応が進行しますが、Scott症候群ではリン脂質のフリップ現象に関与しているTMEM16Fが低下し、血小板膜表面の凝固反応が低下しています。

【遺伝形式】
常染色体顕性(優性)遺伝形式をとります。非常に稀な疾患であり,世界的にも報告はきわめて少ない疾患です。

【臨床症状】
観血的手技後の止血困難など軽度の出血傾向を呈する場合があります。

【検査所見】
血小板数や血小板凝集試験など正常な値を示します。このため診断は極めて困難です。

【治療】
日常生活で治療介入する必要はほとんどありません。観血的手技時に血小板輸血が必要になる場合はあります。

【その他】
極めて稀な疾患である一方、軽度の出血傾向しか示さないため、臨床的には重要な疾患とは言えません。しかし病態生理が極めて特徴的であるため、有名な症候群です。