Q: リチウムも、バルプロ酸も、カルバマゼピンも、全てきちんと服用していますが、躁・うつの再発が止まりません。他に良い治療法はありませんでしょうか? (これは、どなたかから受けた質問ではなく、私が作ったQuestionです。)
A: 現実的には不可能あるいは困難なものもありますが、こうした場合に有効な可能性がある対策として報告されているものをまとめました。(現在日本で認められていないものもそのまま記載しており、これらを医療として推奨するものではありません)
A 薬物療法の改善
1) 血中濃度チェックによる、リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピンの服用量の最適化(薬物相互作用による血中濃度低下に注意)
2) 三環系抗うつ薬など、経過を不安定化させる薬剤の服用中止
3) 甲状腺ホルモン剤の追加服用(特にリチウムによりTSHが上昇している場合。保険適応は甲状腺機能低下症)
4) オランザピン(再発予防に有効とのエビデンスあり。2010年10月頃保険適応の見込み)
5) ラモトリギン(うつ状態の再発予防に有効とのエビデンスあり。日本での保険適応は難治性てんかんのみ)
6) クエチアピン(気分安定薬への追加で再発予防に有効とのエビデンスあり。日本での保険適応は統合失調症のみ)
7) SSRIの服用継続(双極II型障害の場合のみ。ただし、アクティベーションシンドロームに注意。躁うつ病には「慎重投与」)
B 心理社会的治療法など
1) 対人関係社会リズム療法(エビデンスあり。毎晩決まった時間に起き、食事をし、寝る)
2) 家族療法(エビデンスあり。特に女性で家族の批判・敵意が強い場合には良い)
3) 認知行動療法(エビデンスあり)
4) 光療法(季節性の場合のみ。躁転の可能性あり)
5) 運動療法(エビデンスはない。リズムを保つため、朝一定時間にウォーキングする程度なら悪くはないかも)
C サプリメントなど
1) DHA(弱いエビデンスあり)
2) N-アセチルシステイン(弱いエビデンスあり)
念のため、
D 診断の再確認