<河野先生ご挨拶>
何歳になっても若手ということで、一応若手の人はみんなメンバーという風にして決めています。
その若手の中から世話人等を決めてその人達に若手のことを引っ張って行ってもらっています。
そういうことで回っています。お知らせなんですが、昨年から若手の会の非公式ではありますが Facebook を始めました。
名前がこの若手の会のグループではなくて「宇宙医学(Space Medicine)」っていうアカウントでやっていますので、ぜひ検索してフォローお願いします。
本日の若手の会は1時間丸々医学部生で構成をしております。ここからは大阪医科大学の鈴木さんに話を渡してやってもらおうと思いますが、
今日は医学部生が宇宙医学を目指すためのキャリアプランというのをテーマにして行いますのでフロアにいらっしゃる先生方も積極的にご意見をいただければと思います。
それでは鈴木さんよろしくお願いします。
<座長挨拶>
こんにちは、本日座長を務めさせていただきます、大阪医科大学5年の鈴木優子と申します。この度はお集まりいただき誠にありがとうございます。
またこのようなこのような貴重な機会を頂戴し学生を代表して御礼申し上げます。
さて、本シンポジウムでは「現代の医学生は大学に関わっていくことができるのか」と題しまして、前半は医学生の視点からここまでの活動報告と、
キャリアプランについて発表させていただきます。
後半は質疑応答及び3名の先生方にご意見をいただきながら、これから学生は宇宙医学にどう関わっていくべきなのかを考えていこうと思います。
ではまず東京大学教養学部理科三類2年の石橋拓真くんに発表させてもらいます。
石橋君は NPO 法人Bizjapanの代表を務め、宇宙医学をテーマにした M x Space Projectを主導し関東でスタディツアーを開催しています。
また宇宙開発フォーラム実行委員会にて渉外も担当されています。よろしくお願いします。
<石橋発表⓪挨拶>
みなさんこんにちは。東京大学の学部2年の石橋と申します。本日は大勢の方にお集まりいただき、大変ありがとうございます。
そしてこのような機会を頂いた河野先生にお礼申し上げます、ありがとうございます。
フロアにいらっしゃるのが宇宙医学のレジェンドの方ばかりなので大変緊張しておりますが、頑張らせていただきます。
私からは、宇宙医学をめぐってここ数年で盛り上がりを見せている医学生の動向についてご報告させていただきたいと思います。COIに関しましてはこの通りとなっております。
ざっくり五つの話をさせていただければと思っております。
まずはじめに医学生が最近どのような起こしているのか、そして宇宙医学の側から見て医学生の巻き込みがどのような重要性を持つのか、
そしてその重要性をさらに後押ししていくためにどのようなコミュニティが作れるのか、そのコミュニティの中で重要視されているスタディツアーについて、
そして最後に私からのメッセージを述べさせていただければと思います。
<石橋発表①医学生の動向>
今、宇宙医学というキーワードをきっかけに全国の医学生が繋がり始めています。
その一番顕著な例として見られるのが 、LINE グループの存在です。Space Medicineというシンプルな名前の LINE グループが今できていて、50名程度のメンバーが既に参加しております。
このグループは座長を務めております鈴木と、この後登壇いたします岡田によって今年の春に作成され、そこから活動をしています。
やっている活動内容といたしましては、宇宙医学関連のニュースやこういったイベントを共有したり、オンラインのビデオ通話を用いて勉強会などを開催していたりします。
このコミュニティの特徴と致しましては北は北海道、西は長崎まで全国規模の、そして学年を超えたコミュニティとなっているということが挙げられます。
<石橋発表②医学生の動向の背景>
このような動きがなぜ生まれてきているのかというのを考察するに、一つこの要因が重要なのではないかと考えています(スライドには「医学生は刺激ある新分野を求めている」と表示)。
まず前提として重要なのは、医学生というのらは須らくと理系学生ということ、そして理系学生というのは多くの場合どこかしらの段階で宇宙というテーマに関心を持っているということです。
加えて今の時代に特徴的な要因として、人工知能の発達、及びその各分野での活躍が挙げられます。
今までのルーチンワークだったり、敷かれたレールをそのまま歩くであったりということではなくて、自分自身の独自性だったり市場価値を常に意識しながらやっていかなければいけない、
そういうことが求められる時代になってきているのではないかと思います。
しかしその大きな時代の流れがある中で依然として医学部という場所は旧態依然と閉じたコミュニティとしてあり、
それに対して逆にもっと外の世界みたいというエネルギーが渦巻いているのではないかと考えています。
そしてさらにこのエネルギーを強めているのが、他学部の学生の存在です。
現在例えば法学部、工学部、経済学部等の学生は、インターンだったり起業だったりという形で、社会に片足を突っ込んで自分自身の問題意識を積極的に解決していく、
という活動して結果を残しているという人が多くいます。そのような学生の活躍を、今はSNS によって大学が離れた後でも日々見ることができる。
その中で翻って自分たちの置かれている状況を考え、「もっと自分たちにもできるはずだ」というエネルギーが湧いているんじゃないかと考えます。
こういった理由から、宇宙医学という刺激的な新分野が、医学生の間で今非常に注目を浴びています。
<石橋発表③医学生へのリーチアウトの重要性>
では逆に学生が宇宙医学の分野にとっても重要なのではないか、ということは、研究の面からも臨床の面からも言えるのではないかと考えています。
研究の面におきましては、他の分野と比べて宇宙医学には若手の研究者の割合が少ないといった声も聞きます。
それに限らず、若手に対するナレッジの継承というのは常に重要なトピックであります。
それに加えて臨床の面におきまして今まで起きてこなかったところでありますが、先ほど宇宙旅行の登場基準の話がございましたが、
ビゲローエアロスペースだったりヴァージンギャラクティックだったり PDエアロスペースといったプレイヤーが出てくる中で、
そこに関わる医学のプロフェッショナルは、数だけではなく種類も多く必要になってくるのではないか、と考えています。
しかしながらその多くのプレイヤーが出てくるような環境であったり、医学生に対するリーチが十分だとは言い難い状況があるのではないかと考えています。
そもそも宇宙医学に関する講義や講座が開かれている大学は多くなく、開かれていたとしても1回限りの特別授業といった具合で、
宇宙医学の持つ様々な側面を俯瞰的に見ることができる機会というのは殆ど無いと言ってよいのではないでしょうか。
<石橋発表④学生コミュニティ>
そう言った、医学生の側にニーズがあり、宇宙医学の側にもニーズがある、しかしそれが繋がっていない、という状況を改善するために、
学生のコミュニティを作ることが必要なのではないかと考えています。
具体的には、学生にとってはそれぞれの宇宙医学に対する関心度合いに応じた関わり方ができる場所、
例えば「宇宙医学について全く知らないからまずとっかかりを知りたい」という人に対しては、どういう人たちがいてどういうそれそれどういうことをしているか、
という網羅的な内容がつかめるもの、もっと深く知りたいという人に対してはスタディツアー、興味はあるけれどそんなに深く込み入って行きたいわけではなく、
それでも興味があるから追いかけていたいと言う人に対しては、面白い宇宙ニュースを常にアップデートしていくような形、
そして先生方の視点と致しましては実験の被験者あるいは手伝いをしてくれる学生を募集できる受け皿となることが可能ではないかと考えています。
そしてそれに限らず一般の方々に対しましても、こういったチャンネルを通じて広く発信をしていくということが重要なのではないかと考えています。
<石橋発表⑤Space Medicine Japan Youth Community>
こうしたビジョンの元で建てられたのが Space Medicine Japan Youth Community です。これは鈴木、岡田、石橋の3名で主に運営しており、
活動内容といたしましてはLINEグループの運営、スタディツアーの開催、及び Facebook の運営を行っております。
そして各種のメディア掲載も行っています。この奥の写真は、日本医師が医学生に向けて発行している、「ドクタラーゼ」というフリーペーパーに掲載して頂いた時のものですが、
これによって6名の医学生から新しく問い合わせがありました。
<石橋発表⑥宇宙医学スタディツアー>
今回はその中で最も力を入れているスタディツアーについてしようご紹介させていただきます。医学生に、宇宙医学について生で触れる機会を提供しようというコンセプトでやっております。
この一年間で春夏それぞれ1回ずつ計4回開催させていただいております。
各回には10名ほどの医学生が参加してきています。実際何をやっているのかと言うと、
様々な形で宇宙医学にかかわられてるプロフェッショナルの方々の仕事場を医学生が実際に訪問してそこでレクチャーをいただいたりあるいは特定のトピック、
研究内容だったり或いは研究の未来だったりキャリアパスについてのディスカッション、そしてそこにしかない施設ないし設備の見学をしたり、といったことを行っております。
これまでに、こういった多くの先生方にご登壇いただき、ご協力いただいております。この場を借りて、お礼申し上げます。
「なぜツアーなのか」という点におきましては、このポイントが重要だと思っております。宇宙医学に深くコミットしようという人を量産するというより、
宇宙医学に接点を持った記憶が長く残るということが重要だと思っております。
それによってこの人が30, 40まで自分自身の医師としてのキャリアを積み上げて行って、ふと「あれ、自分この先どうしよう」となった時に、
宇宙医学っていうものを思い出してもらう。そのような記憶を学生のうちに持ってもらう、ということが大事だと考えています。
そのために、少人数だったり、実地を訪問するということであったり、プロフェッショナルと生のやり取りをすること、
自ら考えて問いを発しそれに対するダイレクトな答えをいただくこと、あるいは事前ないし事後のインプットとアウトプットにあって学びを深く定着させることを意識しております。
<石橋発表⑦さいごに>
最後にはなりますが、世界の中で日本の宇宙開発日本の有人宇宙開発というのは有数の競争力を持っていると考えています。
だからこそ宇宙医学の分野も、世界で勝負できる日本の領域になってくるのではないかと思います。
そのポテンシャルに人材育成の面から微力ではございますが貢献できればという風な気持ちでやらせていただいておりますので、
先生方にも温かい目で見守っていただきながら、ご協力いただければと思っております。ご清聴いただき、ありがとうございました。
鈴木)ありがとうございました。質疑応答は時間の制約上、後ほど行わせて頂きたいと思います。 では、続きまして大阪大学医学部医学科の岡田怜子さんに発表していただきます。 岡田さんは宇宙医学に興味がある若手グループSpace Medicinine Japan Youth Community の創設に関わり、関西でのスタディーツアーを主導されています。 また大学2年で韓国の延世大学へ派遣され公衆衛生を学び、IFMSA-Japanのメンバーとして国際医療活動にも関わられたいます。 それではよろしくお願いします。
<岡田発表① 最初に>
こんにちは。大阪大学医学部医学科3回生の岡田怜子と申します。この度はこのような貴重な機会を頂き感謝申し上げます。
本日は、「医学部生が提案する宇宙医学分野のキャリアプラン」についてお話させて頂きます。よろしくお願いいたします。
<岡田発表③ トピックとしての宇宙医学>
宇宙医学は、近年、ニュース番組など様々な媒体でトピックとして取り上げられています。
特に、医師である金井宇宙飛行士のISS滞在やZOZOタウン社長の宇宙旅行は一般人にも広く知られました。
また医学界でも、若田飛行士自らが被験者となったビスフォスフォネートの研究をきっかけに、宇宙医学は地上医学に活用できるものとして注目を浴びています。
<岡田発表④ 職業としての宇宙医学>
現在、宇宙医学に関わる職業は、大きく宇宙飛行士、フライトサージャン、研究者の三つに分けられます。これらの職業は現在、宇宙医学に携わる王道の道と言われています。
<岡田発表⑤ アンケート調査>
では学生たちは宇宙医学に対してどのようなイメージを抱いているのでしょうか。その答えを探るために私たちはGoogleフォームを用いて宇宙医学に対する認知度調査を行いました。
回答はグラフの通りです。まず宇宙医学という言葉自体は過半数の人が何らかの形で耳にしたことがあることがわかりました。
更に、宇宙医学を知っている人、知らない人それぞれに宇宙医学への興味を聞いたところ、驚くことにどちらのグループでも70%以上の人が宇宙医学に興味を示しました。
しかしその一方で、自由記述形式で宇宙医学のイメージを書いてもらうと、イメージが湧かない、トップの一握りの人が研究しているイメージで縁遠く感じる、
どのようなキャリアを積むべきか分からない、などの回答が多くみられました。
<岡田発表⑥ こんな意見も>
さらにSpace Medicineのコミュニティでのオンラインディスカッションでは、もし宇宙医学だけに本格的に取り組み、うまくいかなかった場合、
臨床医に戻るためのポジションがないのではないか、という不安の声もみられました。
<岡田発表⑦ 学生を取り巻く現状>
つまり、現在、宇宙医学は学生にとって趣味の範囲にとどまり、自分自身が関わっていくものとしてイメージを持つ段階には至っていないことがわかりました。
この背景には、コミュニティなどにより宇宙医学と親しむ機会が増える一方、宇宙医学について本格的に学ぶ機会がなく、宇宙医学への関わり方がわからない、ということがあります。
<岡田発表⑧ キャリアプラン>
特に宇宙医学を自身のキャリアとして考えるとき、大きな問題になるのは先程のアンケートにもありました、将来への不安です。
大学卒業後も、研修、専門医取得などの道を歩まねばならない現在の医学生にとって、それは宇宙医学への憧れと同じくらい大きなものとなっています。
<岡田発表⑨ 新しいキャリアプランの開拓>
そこで、今回私が提案したいのは、新しいキャリアプランの開拓です。
昨今の悟りの世代の気質を持ち、医師としての安定した生活を重要視している若い世代でも宇宙医学に関わることのできるプランを作ること。
このことにより、宇宙医学関係者のすそ野を広げ、より多くの人と宇宙医学を盛り上げることをご提案したいと思います。
<岡田発表⑩ 多様なキャリアプラン>
このようなキャリアプランは具体的にサイエンスコミュニケーター、広報、メディアデザイナーなどが挙げられます。
これらのキャリアプランは医師としての将来の安定性を求める医学生でも、積極的に宇宙医学に取り組むことができるようになる可能性を秘めています。
既存のキャリアプランに加えて、医師としてのキャリアを積みつつ宇宙医学に関わることができる新たなプランを模索することで、
宇宙医学に関わることのできる層が広がるだけではなく、宇宙医学会全体の発展につながると考えられます。
<岡田発表⑪ まとめ>
それではまとめに入らせて頂きます。
今回のアンケート調査では宇宙医学に興味を持つ学生が多い一方、宇宙医学を自分とは縁遠い存在と感じている学生が多いことがわかりました。
この背景には、宇宙医学を学ぶ機会が少なくキャリアプランを考えるための土台となる知識がないこと、
また専門医制度の開始などにより臨床医としての将来が絶たれてしまうことへの不安などが挙げられます。
<岡田発表⑫ まとめ・結論>
宇宙医学への興味と、現在の医学生が抱く将来への不安。これらの二つの相反する思いを考えると、既存のキャリアプランに加えて、
新たな関わり方を模索していく必要性があるという結論に至りました。
<岡田発表⑬ 今後の展望>
最後に今後の展望についてお話致します。
今回のアンケートでは、学生が宇宙医学に関わる機会が非常に少ないことが問題点として挙げられました。
つまり、これからの宇宙医学の発展のためには、高校生、大学生、医師など様々な立場の人が宇宙医学にアクセスするための教育システムの構築が不可欠です。
<岡田発表⑭ 教育システムの構築>
具体的な内容は、以下の二つのことが考えられます。
まず一つ目は学生と現宇宙医学関係者とのつながりを作ることです。実際に宇宙医学に関わってこられた先生方のお話をお伺いすることによる経験の共有、
またそこでの関係を活かして既存のキャリアプランの道に関わることができます。
次に、宇宙医学について知る拠点としての役割です。宇宙全般に関しては、大学の授業やNASAの一般向けのセミナーなどがありますが、宇宙医学に関してはそのようなものはありません。
そこで一般人に向けた宇宙医学ツアーの実施や、衛星授業、E-learningなどを活用した教育プログラムの作成、
また一部の大学でみられる基礎研究配属期間における配属の提供などを包括的に行うことで、宇宙医学を学ぶ機会を広く提供します。
またこのことは、医学部を超えた大きなつながりにも発展しうるものと考えられます。
これらのムーブメントは、学生だけでの力では成し遂げることができません。先生方にもお力添え頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。
<岡田発表⑮ 最後に>
ご清聴ありがとうございました。
鈴木)岡田さんありがとうございました。 ではここで質疑応答に入らせていただく前に三名の先生方に議論に加わって頂きフロアの皆さんと共に宇宙医学に医学生がどのように関わっていけばいいのか考えていきたいと思います。 簡単ですが、先生方のご経歴をご紹介させて頂きたいと思います。 まず石北先生、よろしくお願いします。石北先生は岩手医科大学医学部を卒業され、けいれん発作の初期治療のため手のひらサイズの簡易吸入麻酔器「嗅ぎ注射器」を研究し、 開発されています。現在は、国立病院機構渋川医療センターに勤められています。 続きまして、大平先生、よろしくお願いいたします。 大平先生は南カリフォルニア大学大学院で博士課程を修了され、ワシントン大学、大阪大学を経て、 現在は同志社大学のスポーツ健康科学部研究科、特別客員教授で宇宙医化学研究センターのセンター長をされています。 では、最後に嶋田先生、よろしくお願いします。 嶋田先生は、筑波大学を卒業され佐久総合病院、茨城県立病院で研修・お勤めされました。公募でNASDA航空宇宙医師になられます。 Wright 州立大学を経て米国航空宇宙医学委員会NASDA/JAXA有人宇宙飛行ミッション医学運用に携わられています。 よろしくお願いいたします。
鈴木)それでは、質疑応答に移らせていただきます。フロアーの皆様方で質問ある方いらっしゃいますか?
学生)防衛医科大学学校1年の堀江と申します。先程の石橋くんと岡田さんの発表を聞いて、少し思ったことがあって、 私自身は宇宙医学に興味があって将来的にも自分の仕事の1つとして宇宙医学に関わっていきたいと思う中で、医学部の例えば同期とかと話していて、 宇宙医学は面白いと思うけど仕事にしたいと思った時に何の役に立つのかとか実用的じゃないんじゃないかという答えが返ってくることがすごく多くて、 今はスタディーツアーとかで宇宙医学が面白いとか、宇宙が面白いからその中で宇宙医学をやっていくとか、JAXAの見学をさせていただいたりとか、 そういう形の宇宙医学への入り方もあると思うんですけど、逆に『基礎医学とか臨床医学とか医学生が勉強していく中でその延長線上に宇宙医学が選択肢としてあるんだよ』 っていう訴えかけ方が医学生にとってはすごく有効なのではないかなと思ったんですけど、そこの辺りについて意見を教えていただけたら嬉しいです。
鈴木)ありがとうございます。医学生への教育に関わる内容だと思うのですが、先生方でご意見のある方いらっしゃいますか?
三丸先生)JAXAの三丸です。私はこうしたということなんですけども、今年の4月からJAXAに入ったんですけど、 僕若手の会に入れる資格あるかな(笑)JAXAに入ってから日本における航空医学、それは潜水医学実験や航空医学実験などそういう研究に関して みっちりと教育を受けてる段階ですけども、それを受けてる段階で学生さんに言えるのは、 生理学とか公衆衛生とかこれは本当に非常に生活している中で宇宙医学につながる。 ボイルの法則とかヘンリーの法則とかそれが相まって臨床でこんな症状になるんだとかイメージをつなげる、その先に宇宙医学があるんだと実感できると面白いかなと思います。
鈴木)ありがとうございます。大平先生は同志社大学で宇宙医学の教育に取り組まれていると思うのですが、なにかご意見頂けたら幸いです。
大平先生)なかなか最初は学内の学生は大平という名前も知らなかった訳ですが、そこで刺激になったのが岡田さん達で、もう2回来てくれてます。 さっきの岡田さんのスライドの最後の写真は実は、われわれの学部の入口のところですね、2回来てくれまして、色々体験もしてくれたんです。 今これで火星にいったぐらいの体重だよ、はいこれが月だよ、はいここであるいてみよう、って、 みんな喜んやってくれまして、こういうことやったっていうのが、学内に広まってからはですね、他の大学の学生たちに先こされた、それから凄い刺激になっているんです。 学生だけじゃなくて教員にも、医学部は同志社にはないんですけど、生命医科学部っていうのもあるし、脳科学研究所っていうのもあるし、 理工学部だったり…するんですけど理工学部にはまた船の研究している人もおられたり、そういうひとたちに凄い刺激になりまして、 さっき紹介していただきましたけども宇宙科学研究センター作っていただいたのはまさにこれであって、工学と医学、またスポーツ、とかいろんな人があつまって研究やりましょう、 そういうことでしてね、まだ国からは研究はきてませんけども、同志社大学としましては、向こう5年間の、同志社の5major 理科projectの一つとして認めてくれたんです。 だから、これからはもっと刺激してほしい、だけど医学部で忙しい皆さん、大阪大のひとが多かったんですけども、 それだったら、暇でしょうがないような私のことですから、僕が大阪大学に行っても、とにかく、先ほどいった、学外の人たちが来てやって、 それがぱっと広がったということですので、みなさんにのこの興味は私にとってすごく歓迎するニュースでした。 それが今大学のスタディツアーもですね、大阪大、長崎大、神戸大、同志社、各地のそういうとこまで広まっているんです。 これからもっともっとみなさんと交流をしていきたいと思っています。
鈴木)ありがとうございます。他に、大学や教育機関などでこのようなとりくみをされているという先生方、いらっしゃったら是非ご意見いただきたいです。
岩瀬先生)愛知医科大学の岩瀬です。一個いうとですね、今年からなのですが、何でも好きなことを5コマぐらいやっていいよというような補習がありまして、 じゃあ、ということで、宇宙医学入門というのを5コマぐらい1年の中でやらせてもらいました。その中で、来ている連中は、多少なりとも興味がある連中だなと思って、 色々講義はしましたけども実際、実験というところまではいっていない、だけども、ある程度入門的なところで、こんなことやっているんだよね、ということは分かっていると思います。 それから、私が宇宙医学に関わっているということは、宇宙航空医学学会を愛知医科大学で2年前にやったことからもけっこう知れ渡ってはいるようなんですけども、 それでもどういうようなことをやっているかというのはまだはっきり分かっていない。だけどある程度入門的なところは少しはやってはいて、 こういう研究があるんだってことは分かったようです。私自身はフライトサージャンになろうと思っているわけでもないし、もともとから、 入った環境医学研究所の先生が宇宙医学をやろうかっていう話になって、それで関わり始めたわけですので、やろうと思って入ったわけではなくて、 やってたらおもしろくなって、そのまんま入り浸ったという、そのような関係なんですけども、それでもある程度こういうような取り組みをするのは大事だと思うんですけども、 まあこれは他の大学だったらそう思われないのかもしれませんけども、 愛知医科大学だととにかく国試に受かれ、というのが一番の大目的でして、まずそれをやると、その後に、じゃあ何をやるかというと、 何か自分の専門分野を一つ確立しろというのが私の考えです。ですから、研修で5年間やっていくわけですけども、その中である程度のスペシャリティを1個持って、 その中で、何か関わり合いができる方向ですから進むのが、研究効果としてはいいんではないかなと思います。私の場合はもともと神経内科をやってたのですけれども、 神経内科から自律神経に興味を持って、そういうような関わり方もあってもいいんじゃないかと思いますけども、やはり、とにかく何か一つ専門を持っといて、 そしてその中で関わり合いを持っていくと、 たとえば消化器でもいいし、それから内分泌でもいいし、ほかにも整形外科の先生もいろいろいると思いますし、最近ではやっぱりリハビリが、 JAXAの先生方のお話から言っても、中心かなと思います。ですからとにかくまずは、免許を取れという話ですね、ありがとうございます。
鈴木)ありがとうございました。
吉岡先生)弘前学院大学の学長をしております、吉岡と申します。私は聖マリアンナ医科大学の生理学の教授もしておりますけれども、出身が慈恵医科大学で、 この日本宇宙航空環境医学会というのは、慈恵医科大学の歴史とともにあったというようなことがあるんですね、ですから、学生の時代から、宇宙とか航空に関わる、 とか、環境に関わる、そういう雰囲気が大学には、そういう下地がありまして、私のその聖マリアンナ医科大学の授業の時には、宇宙医学や航空医学、それから精神医学の、 3つか4つぐらいのコマを持っているんですが、というのは、普通のお医者さんにならないでくれよということなんですね、要するに、宇宙に行けば、いろんなその環境が違います。 それから、海の中でも環境は違います、その中にあってでもいろんな病気が出てくるわけですよね、単なる地球の1気圧とかそういうところじゃなくて、 宇宙線がいっぱい飛んでいるところとか、あるいは海の中にいくとそこでいろんな病気が出てくる。そういう病気を見れるような医学の学生、 卒業してもそういう知識をそなえた学生になってほしいなあとおもって、今でも、聖マリアンナ医科大学では宇宙医学と環境医学の科目を、2つもたせていただいて、 まあ1年生ですが、一般教養的なところもありますけど、やらせていただいています。みなさん、その時点ではかなり興味を持って学んでくれています。 試験もなにもないんですけどね。やっぱりね、広くいろんなことを医学部の学生は勉強してほしい。その中に、宇宙、航空、環境、 そういうフィールドがあることを認識してほしいなあと思っています。以上です。
鈴木)ありがとうございます。今、大学で取り組まれている活動についてお伺いしました。 学生の中には、通っている学校に宇宙医学を研究されている先生がいらっしゃらないと、宇宙医学への関わり方が分からない、という学生もいます。 そこで、東京医科歯科大学で先生1年目をされている加瀬先生に、ご意見をいただけたらと思います。よろしくお願いします。
加瀬先生)東京医科歯科大学、研修医1年目をしております、加瀬と申します。 私が宇宙医学に関心をもったきっかけは高校生の進路選択の時に、宇宙を志したいという思いと同時に宇宙に対しての漠然とした憧れがあって、 JAXAのHPを見て宇宙医学というものを知って、関わりたいなあと思って、医学部入ったんですけども、一旦入ってみると、すごく閉鎖的な世界で、 宇宙医学という概念そのものが全然浸透していないということに気づいて、医学部のレールに乗って行くだけではなかなか宇宙医学の情報にアクセスすることができない、 という状態でした。そして、興味を持ち続けてはいたんですけれども、大学内で宇宙医学を研究している先生が全くいないという状況だと、 学生としてどうやって宇宙医学に関わっていけばいいのかというとっかかりが全くなかったということはあります。 宇宙医学に関わりながらどういうパスを積んで医師としてやっていけばいいのかというのがなかなか見えづらかったなあと思います。
鈴木)ありがとうございます。今の学生は、専門医制度があたらしくなったこともあり、一人前のお医者さんになるまでにも大変な思いをしている学生が多いので、 どうやって宇宙医学に関わったらいいかというのが、興味はありますけども、模索している学生がとても多い印象があります。ここで、臨床医をされている石北先生からご意見をお願いします。
石北先生)渋川医療センターで小児科医をやっております石北と申します。僕が宇宙医学を本気でやっているかというと、実は、普段は臨床をやっておりますので、 関係ない、とよく周りから言われて、笑われたりもします。ただ、大きな病院でないので、大きな、便利なものがなくて、困ることがあります。 そして、困っていること、不便なことというのは、きっと宇宙でも困っているんじゃないかなあと思い、調べていくと、やっぱり宇宙でも困っていたということがあったので、 この麻酔医の知識を、宇宙でも応用したいと思って、頑張って研究しています。で、それがどんどん広がっていって、おもしろい取り組みも、海外の研究者とも共同で行えています。 診療医をやりながらでもインターネットを活用することで、わざわざ時間をつくって専念しなくても、臨床医をやりながらでも、仕事、研究両立できますので、 臨床、研修医等でいろんな科をまわって、どこか不便なとこないかなあという目線で仕事をしていると、あたらしい発見があってすごく面白いです。
鈴木)ありがとうございます。では、残り10分となりましたので、大学に宇宙医学をされている先生がおられない大学の学生がどのように宇宙医学に関わっていけばいいか ということを私たちは考えているのですが、先ほどの岡田さんの発表にもありましたように、スタディーツアーをはじめ、 遠くにいても宇宙医学について学べるシステムを作っていけたらと思っているのですが、この先、医学生や、さまざまな科の学生が、 宇宙医学にどのように宇宙医学に関わっていけばいいかについてご意見をいただけたらと思います。
嶋田先生)世界での医学生の関わりというのは、けっこう私は最近までしらなかったこともあって、石橋さんにはまずALMAに行っていただきました。 まずALMAに行くと、世界でどういった人がやっているかというのが分かります。 ですが、だからといってこれを経由して実際にJAXAやNASAの人になったっていまだにないんじゃないかと思いますね。 学生さんはですね、かなり手前の年数で急いで急いで考えてるんですけども、私は36歳のときなんですが、それぐらいの年齢がいいと思います。 何か専門性がないと全然子ども扱いですから話になりませんので、英語は使えないといけないし、そういうバリアがあります。 キャリアとしてみた場合には、私みたいにJAXAは私は25年で退官なんですけどこれだけ連続できるという環境はもう日本にはありません。 年齢分布を描いたときにたぶんもう出ないんじゃないかと思います25年選手というのは。パートタイムです、フルタイムでの業務は非常にこれから難しいし、 なんとかパートタイムで。ただ、30過ぎてからの話。 で、自分の大学というのは離れなければいけません。やっているところが少なければそこのラボに行けば、人手が余ってるラボなんて一つもありませんから、 絶対受け入れてくれますので、まず行って、何かお手伝いすることはありませんか、っていうのがまず一歩で、そこでは、山ほど、できないほどの仕事がある。 ですから、まあそこで、9割がたの人はあまりにやることが多くて嫌になると思いますけども、ドアはですね、こんなにいらっしゃるので、 一番近いところの先生の所に行って、何をすればいいでしょうかって言うと、もう、明日から仕事があります。
鈴木)ありがとうございました。石北先生、よろしくお願いします。
石北先生)ありがとうございます。学生さんたち、勉強会とかスタディーツアーなど、企画して、一生懸命研究していて、とても応援したいと思うし、すばらしい試みだとおもいます。 僕も、学ぶ機会があまりなかった中で、ほんとに、大変な思いをしてきましたけども、すごく良い仕組みだと思います、これからも続けていってください。 臨床やりながらでも両立できますので、何か困っていることないかなあって思いながら見ていると、おもしろい仕事ができますので。 もし一緒に働きたいということであれば、ぼくも研究がぐーんと加速するので、来ていただければ嬉しいです。よろしくお願いします。
鈴木)ありがとうございました。働き方についてお話をうかがいましたが、この会場にいらっしゃるみなさま、それぞれ働き方があると思います。 できればみなさなにお話をうかがいたいのですが、時間もありませんので、後ほどの懇親会で、学生は前の方に数人おりますので、お話をうかがえたら幸いです。 今日はお集まりいただいてありがとうございました。
シェアする: