Space Medicine Japan Youth Communityは2019年3月5日から7日にかけて、JAXA相模原宇宙センター、日本大学岩崎研究室、渋川医療センターの3ヵ所へ訪問しました。
▼JAXA相模原宇宙センター
同センターの稲富教授より宇宙惑星居住科学について、そして石岡教授より宇宙での老化現象についてのレクチャーを頂きました。
訪れた医学生に対してレクチャーいただいた稲富先生のご専門が物質科学であるということが象徴するように宇宙惑星居住科学は極めて包括的かつ重層的で、その視野の広さと将来性に期待が膨らみました。
また、「宇宙に行くと筋肉が弱くなる」という広く知られた現象を細胞レベルで研究されている石岡先生のレクチャーは大変興味深く、細胞周期を司る遺伝子の宇宙環境での発現低下など、がんとの関係にも触れながら学ぶことができました。
▼日本大学岩崎研究室
同研究室研究員の倉住先生と加藤先生から、宇宙をはじめとした極限環境での脳循環に関するレクチャーを頂きました。
また、同研究室の機器を用いたヘッドダウンティルト(HDT)及び低酸素吸入の体験を行いました。
レクチャーでは同研究室及び先生方ご自身の研究内容について伺い、宇宙医学の黎明期より様々な知見が蓄積されてきた循環器の分野の次なる課題や、それらの解決策などについて参加者と活発なディスカッションが行われました。
HDTでは微小重力環境の模擬に用いられる6~10°の勾配、そして腹腔鏡手術やロボット支援手術などに用いられる30°の勾配を順に体験しました。
宇宙空間で多くの宇宙飛行士が経験する体液シフト、そしてその後地上の1G環境に戻った際の再適応を、身をもって学ぶ機会となりました。
▼渋川医療センター
小児科医として同センターで勤務されている石北直之先生から、宇宙麻酔機器開発についてのレクチャーを頂きました。
石北先生は吸入麻酔器を簡単に扱えるよう劇的に小型化する研究を行っており、その実物に触れさせていただくと共にその社会実装の最前線についてのお話も伺いました。
一つの技術革新が宇宙の課題も病棟の課題も解決し、社会に大きなインパクトをもたらすという実例に、多くを学ぶことができました。
快くご訪問を受け入れて下さいました先生方、誠にありがとうございました。
今後もSpace Medicine Japan Youth Communityは、宇宙医学に触れる生の機会を学生に提供してまいります。