年度ネンド CNG Hybrid LPGなど 合計
2000 54 35 0 89
2001 98 14 0 112
2002 151 21 28 200
2003 151 20 0 171
2004 133 35 32 200
2005 94 38 21 153
2006 58 56 20 134
2007 36 78 21 135
2008 33 149 19 201

自動車工業会資料

東京はどのように天然ガスバスから撤退したか?

2010-08-13

低公害対策の乗り合いバスはまず天然ガス(CNG)が先行したが、ハイブリッドの普及で、逆転している。それにしても二百台がそこそこの市場に技術開発を投資しても、回収は困難だろう。富士重工業と川崎重工業が撤退し、西日本車体工業も店を閉めても、UD, FUSO, ISUZU, HINOの4社が、通常のディーゼルを含めて1万台を分け合い、輸出もそれほどはないのだから。厳しい。
1万4127台のバスが韓国ではCNG車として導入され1台辺りの補助金は2万2500米ドルの補助金がなされ、付加価値税の措置もなされている[pdf 大宇2007]。日本では平成22年3月末時点の普及台数はCNG1,489台に対してまだハイブリッドも平成21年3月末時点389台である。尿素SCRが低公害の需要を満たす日本では、韓国の様にCNGだけで済ませるのは無いのが実情となっている。
バスの値段はどれくらいであろうか、東京都交通局の場合は、平成二十一年度一次一般乗合自動車の買入れ(ディーゼル)五十二両、契約金額は十億七千百七十九万円余、一両当たりの単価は二千六十一万円余、東京いすゞ自動車株式会社。平成二十一年度二次一般乗合自動車ハイブリッドノンステップバス五十二両、契約金額は十四億二千二百八十七万円余、一両当たりの価格は二千七百三十六万円余、東京日野自動車株式会社。となっている。
平成16年の公営企業委員会速記録第十五号に詳しく、東京都交通局としてCNGバスからは撤退していく旨が答弁されている。
(平成16年時点で)「基本的にCNG車と一般ディーゼル車の価格差の二分の一が補助金として交付されることとなっております。昨年度におきましては、国土交通省から一両につきまして六百六十万円の補助金を受けております。」「 価格差の半額、六百六十万円ということですが、その残りの六百六十万円は都の支出ということになるわけで、国の補助金をいただいてもさらに高額なCNGの購入」は止めてはどうかという議論である。
平成一桁台は、公害訴訟などに対応できる低公害車がCNGしか無かったので毎年5台ずつ平成六年度からCNG車を、平成十年度からはCNGノンステップバスを導入してきた。しかし、営業所に設けた充填施設も寿命や能力の限界が近づき3カ所の充填施設で年間1700万円維持費が掛かっている。ディーゼル車についても規制を満たす物が出て来たので、購入を手控える。一台当たり二千万、そしてCNGは三千百五十万と高く、プラグなど年間五万円程度の維持管理経費がかかる。使用期間12年の後、一般のディーゼルバスなら43万円で償却され入札で全国や外国に中古車として買い取られる。CNG車は買い取り先も限られ、スクラップとして6万円になるくらいであると答弁があった。
富田委員がこう結んでいる「ルーチン的になってしまっている物事についてもきちっと見直しをして、経営の観点からどうなのかということをきちっと見ていくことが必要なのではないかというふうに思っているところでございます。しつこいようですけれども、CNGの購入を今やめてもいいわけですから、ぜひともそういう観点で英断をしていただきたいということを最後に申し添えまして、私の質問を終わります。」

CNGバスにつきましては、計画的に毎年五両ずつ導入してございまして、今年度末には百六十一両、約一一%になる予定でございます。しかしながら、三カ所の営業所に設けましたCNGスタンドの供給能力も限界に近づきつつあるため、今後につきましては低公害バスの開発状況、CNGスタンドの余力などを見きわめまして、適時適切なバス車両を導入していきたいというふうに考えております。[平成18年度東京都都議会公営企業委員会速記録第五号]

朝鮮日報の記事、バスガス爆発の原因さえ究明できない国によると、LNGトラックの実績は50台でCNGバス2万8800台に比べて少ない。韓国では大部分の天然ガス車がバスである。LNGトラックというのは米国やオランダではあるが、日本ではあまり普及していない、さらに日本では、CNGトラックの方が積載量2tクラスを中心に約1万7千台と、普及している。半分を貨物用自動車が占めるが、新長期の大型トラックはCNG艤装に800kg以上の重量増加もあり、試験段階に留まる[pdf]。
CNG車が多く普及しているのはアルゼンチンとブラジル、パキスタンであり、乗用車が中心である[pdf]。インドでもスズキの子会社のマルチ社が、CNGとガソリンのデュアルフュエル車を投入している。韓国ではタクシーは日本と同じLPGであり現代自動車もLPG車グレンジャーLPIを日本にタクシー用として輸出できる基盤をもっていた。しかし、300台の売り上げまでを伊藤忠のLPG子会社と得たが撤退した


隘路

2012-05-13

トヨタがタクシー専用車で出している、セダン車のクラウン・コンフォートは5万台は出ていないそうである。そのためのLPGエンジンを開発するのは大変である。コストが嵩んでも出された仕様を満足しないとタクシーが運行出来ない訳ではない。ガソリン車のタクシーの方が多くなる。それも3ナンバーが増える。宣伝を兼ねてなら電気自動車でも構わない。
改造には40万円くらい掛かるようである。数が出ないLPG車では今後コストは減る事は見込めない。一方、量産効果が見込めるハイブリッドなら、コスト差は縮める事が出来る。
キャブレターならそこに気化しやすいLPGを吹き込む事は難点はない。しかし、気筒内直接電子噴射となると、LPGとガソリンの物性は大きく異なる。軽油とセタン価の近いDMEとは違った手法が求められよう。
また、環境基準を満たすための試験や品質保証の検査・結果を受けての対策が別建てになるLPGよりもハイブリッドに統一する事はコスト削減が見込める。
炭酸ガスを基準にガソリン車と比べ排出量は、LPG車では十数%改善するそうである。しかし、評価方法にも依るが、その差はハイブリッド車でも達成出来る。
オートガススタンド、LPG業界にはインパクトが強い決定である。専用車が無いならLPGに固執することもタクシー各社には乏しくなる。個別配送と顧客の信頼というなら体力があるうちに牛乳配達というのは示唆的である。

中長期的にロードサイドで通常の給油所よりも大きなオートガススタンドは、不動産事業への転換もし易い。LPGについては、自家発電などの方法性を探る方が賢明なのだろう。特に陸上設置内燃機関による自家発電は大気汚染規制がなされたとしても自動車用に比べて甘く、LPGの参入する余地は大きい。災害時、都市ガスではライフラインの支えにもならないので、売り込むべき特質が高い。


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