2007-12-22
高齢化と高血圧や糖尿病患者の増大により、日本国内の人工透析の患者は透析医学会のまとめで2006年末で264,473名と増える一方である。3時間に2~3日分の水分と老廃物一気に取り去ろうとすると血圧の変動や浸透圧の変化により不均衡症候群を来たし、新機能にも大きな負担をかけ、心血管イベントを来す事も稀ではない。そのため、人工透析を夜間に在宅で毎日時間を掛けて行う取り組みもある。しかし、数十kgある透析機から、ベットから離れて透析ができればという願いは長年いだかれてきた。
これを克服する一つの取り組みとして、Xcorporeal社が5kgで4~8時間動作可能な、腰巻きベルトに仕組んだ、携帯型の人工透析器を開発した[pdf1]。ダベンポートらがその成果をこの度ランセット誌に発表した[vol.370 p2005]。51.7±13.8歳(平均±標準偏差:以下同)、維持透析に既に平均17.9年導入されていた患者8名を対象に行われた。対象の平均体重は透析前71.3±23.0kg, 透析後70.5±22.6kgであった。平均血流量は58.6±11.7ml/分であり、一般に行われる維持透析の4ml/分・kgからすると流量は2割強であり、尿毒がどれだけ取り除かれるかの指標の一つのKt/Vも0.035±0.01と指摘量とされる1.6には及ばなかった。今回のトライアルでは間欠的に行われる維持透析と併用して実施された。
平均血流量が少ない分血圧の変動はほとんど見られなかった。電解質やpHは間欠維持透析でほぼ正常化されていたとはいえ気分不快もみられなかった。
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