メタボリック症候群と終着駅

【1.表紙】

糖尿病は診断基準を満たす前から合併症の下準備が進んでいます。
会社の仕事も学校の宿題もそうですが、後でやる!溜まってからやる!では、いざとなった時に、宿題の解き方も判らないので事態はどんどん悪化します。
具合が悪くなって症状が出てからでは取り戻せません。
宿題の解き方というのは例えば味付けです。お母さんの味、奥さんの味。それで良くなかった場合、幾つもの闘いを経ながら教え直さないとなりません。
減塩のためにと言いながら、醤油を三杯酢などに変えると、逆に大匙一杯の三杯酢には小匙一杯の砂糖が隠れている事を見落としたりします。
調味料に頼るのではなく、素材の味を確認する、そのものを喜び尊ぶという、考え方の基本を身に着けるのは、子育てが終わってからでは遅すぎます。
でも、遅咲きのデビューでも、味わい方を変換するところから、メタボ改善は始まります。

【2.メタボ前:ラッシュの尻押し】

食べ物は胃袋や血管にあっても、細胞の中に入っていないと活用できません。
ラッシュの映像ですが、車両にお客さんを押し込んでいる駅員さんがいます。
これが血糖を下げるホルモンのインスリンの役割です。
細胞の中がギュウギュウだと沢山のインスリンが必要です。
ギュウギュウ押し込むと細胞がパンパンになります。糖のママでは仕方ないので、脂に変えて油滴として細胞に蓄えておこうとします。十分な負荷が筋肉に与えられていれば、アミノ酸は筋肉に置き換わりますが、アミノ酸も使い道が無いと、脂や糖にチェンジします。
こうやって、押し込み係がギュウギュウ押し込める間は、ホームの人影は列車に仕舞われます。ホームの人数が、血液に溶けているブドウ糖とすれば、「採血の結果は正常」です。
糖尿病じゃない、太っていても大丈夫、そう思い違いをすると困ります。
インスリンが幾らでも出る、白人には100kg超えるひとが人口の2割とか3割居ます。
黄色人種は2%とか3%です。この工場でも2%です。黄色人種はインスリンを出しているうちに疲れてしまって、インスリンの分泌が遅れたり減ってきて、糖尿病になってしまい、食べ物が糖に抜けてしまって「太れない」という特徴も、持ち合わせているのです。

【3.インスリンと過労】

ちょっと口にしただけで、すっとインスリンが出てきます。緑色の直角三角形のようにインスリンが出てきます。胃を通って小腸からブドウ糖が吸収される前に、インスリンがピークになって血管で待ち受けて、交通整理をすると血糖は上がりもせず下がりもせず平常心で80-90mg/dlの間で一定になります。
インスリンは膵臓のβ細胞が在庫として造り貯めていて、さっと出てきます。
ところが、メタボですとラッシュ時以外にも駅員さんがホームで交通整理をしないといけません。インスリンは出払っていて、御飯が来たぞ!となるとそれから用意して放出します。オレンジ色の二等辺三角形の様にインスリンが出てきます。最終的には帳尻が合うのですが、食事のあと1時間や2時間目に血糖が140mg/dlを上回ることがあります。出方が後ずさりすると、胃から腸に食事が来るタイミングとズレます。食事の前半ではインスリンが出ないので血糖が上がります。腸から御飯が抜けた後になって、おっとり刀でインスリンが来ると今度は血糖が下がってしまいます。枝を折るように上げたり下げたりすると交感神経が刺激されて血管の収縮が起こって高血圧になったり動悸がします。空腹だから、おやつや〆のラーメンに手が伸びます。するとまた太ってインスリン需要が多くなります。

【4.インスリンに合わせた食べ方】

仕事をしていると食べる暇がありません。味わう暇もありません。
正式なお食事だと、向付が出て焼き物が出て、ちょっとちょっとで運ばれてきます。ゆっくりたべるとインスリンの出方とお腹の中味と、頂点が合うので血糖の変動が緩やかになります。
食物繊維がおおいと消化がゆっくりになって血糖が上がりにくくなります。
消化液ででんぷんがブドウ糖になって腸に入ろうとしたところを食物繊維に一回吸い取られると遅くなります。
ただし、食物繊維を布巾に例えると、乾いた布巾は役にたちますが、濡れ雑巾では上手く拭えないことがあります。出汁だけで炊くのと、味醂も醤油も砂糖も入れて炊くのと、さらに三枚肉やブリなどの脂が加わるのとでは、差が出ます。
果物や野菜をミキサーで潰すと消化が速く進むので中の糖分がすぅっと上がります。お米が玄米だと消化が悪いですが、おかゆだと、糖分がすぅっとあがります。麦飯と粉にひいて打ったウドンやラーメンでは粉ものの方が、糖分がすぅっと上がります。

【5.インスリンも準備体操が必要】

先程、食べ方の話をしました、睡眠中はあらたな糖分が来ないので、インスリンを出さないようにしています。朝ごはんは、そのブレーキを緩める役割があります。
朝飯抜きでは昼に突然食べ物が降ってくるので、うたたね気分のインスリンが目を覚ますのに時間が掛かります。ブルペンで肩を温めていないので、夜も血糖が上がりやすいです。
宿題もそうですが、大きな仕事を一度に片づけることを避けて、分割払いで対応するのも大切です。
朝ごはん500kcal昼700kcal夜900kcalなら食事を交通整理できますが、
朝抜き昼500kcal夜1600kcalだと、夜の血糖が下げ切ることが難しくなりますし、運動して仕事して燃すのも難しくなります。

【6.アルコール】

お酒を飲むからご飯を抜く。お酒は糖質を含んでいない焼酎にする。
これらの応対は間違いです。
糖質として入って来ないでも、回りまわって太るし、血糖も上がるのです。
お酒は解毒しないと困ります。お酒を分解する間は、脂や糖質を燃やさずに、まずお酒を酢にまでもって行こうとします。
余裕があれば酢も燃やします。
しかし、糖質も脂質も十分にあると酢は糖分や油に再合成されます。
脂ぎった肝臓は仕事の能率が落ちます。イクラの卵のように脂を蓄えて、ぷちっと潰れると皮が残ります。イクラの皮が歯に挟まるとネチョネチョしますが肝臓が繊維で堅くなるので肝硬変になります。
大五郎2.7Lは3780kcalです。2日分6食分のカロリーと同じです。アルコールの代わりに脂肪を燃やすと、500gは減量できます。
呑むのは酔うためではなく、味わって文化を識るためだけにしましょう。
芋からつくるとこうなるのか、ウォッカでもポーランドとフィンランドでは違うのか?
最近は腸内細菌の代謝に与える影響も無視できないとされつつあります。蒸留酒より発酵酒のほうが細菌の餌や善玉菌そのものの供給源になる資格があります。ワカモトやエビオスはビールの澱です。ワインの酒石酸の結晶は不要でしょうが、過ぎたるは及ばざるがごとしというものの、いろいろなものを少しづつ摂ることが食養生の根っこです。

【7.糖尿病の薬】

最初に出来た糖尿病の薬は注射のインスリンです。大正時代にできました。内服の血糖降下薬は戦後すぐにSU薬とビグアナイド薬が出た後、平成になるかならないかに、αグルコシダーゼ阻害薬が出るまで、後続がありませんでした。平成になってからは4種類の新薬が登場し、血糖のコントロールが楽になりました。

【8.糖尿病は6!7!8!

方法が無いから下げられなかったのですが、下げることが容易になるとどこまで下げるとどんな利益があるかを調べるようになりました。今までも、HbA1cで6%を超えるころから合併症が増えることは判っていたのですが、9%の人を7%にするとどうか?というのを色々な試験で見てみると、7%と6%の差はすくないけど、8%でぐっと大きくなることが判りました。

【9.合併症の累積】

9%のままだと5年で5倍糖尿病の目の病気、網膜症が進みます、心臓や頭の卒中も倍に拡がります。
このようなことから、糖尿病の治療目標や診断基準が決められ、昭和の頃より厳格になりました。糖尿病の気があるというのはA1cで5.5%-5.9%そのころは網膜症は出ませんが、心筋梗塞の率は上がります。6%前半に抑えれば、網膜症は進みません。7%だと僅かでも進むので、薬を使い始めます。薬は、一生続けるというものでは無く、食事運動療法への理解や仕事の量や質に応じて、柔軟に頻回に変えていきます。プロ野球のピッチャーなど登板日と控えの日で同じ量を打つと足りなかったり倒れたりします。でも、通常は仕事や食事を薬と同じく、一定に保って貰う方が、安全です。

【10.終着駅】

いままではメタボリック程度の話でしたが、これからは糖尿病による結果の話に移ります。
駅員さんにインスリンをたとえましたが、駅員さんがいなくなると、駅の外に人が溢れます。これが、「本物の糖尿病」の状態です。廃線になった横浜市電の写真がありますが、駅員さんがいないと車両には栄養の糖分が入って来ないので、仕事ができません。ブドウ糖の代わりに、細胞を構築しているたんぱく質を分解して、アミノ酸にして燃やしたりしますが、細胞は元気を喪って、ヘトヘトになります。
こうならないように、薬の助けも必要ですし、駅員さんがストライキを起こさないように、日ごろからの節制が必要なのです。

【11.網膜症】

先程網膜の話をしました。毛細血管は脆いので、高血糖だと変質して詰まったり、膨らんだり、破れたりします。その結果十分な酸素や栄養が網膜に届かなくなると、死んだ細胞が白く抜けた白斑になります。漏れたカサブタが透明な目の中の硝子体を濁らせ、瘢痕ができるとケロイドに様に網膜を引っ張って、網膜剥離になったりします。
分解できなかったブドウ糖が水晶体に積もると白内障になります。

【12.透析に至る糖尿病性腎症】

尿は糸球体という毛細血管が毛糸玉のように丸まったところで、血液を漉しとってつくります。最初は血糖が高いと漉す圧が高いので尿がたくさん出ます。そうすると破れが生じてタンパクも漏れ出すようになります。そこが佃煮や飴煮のようになって硬くなるので、やがて尿が出来なくなります。糖尿病になって5年から10年で尿タンパクが出始め、5年から10年で尿毒症になります。A1c9%が概ね20年で3割ほどの人が透析になります。糖尿病の人の100人に一人は現状透析を受けています。

【13.説明しにくい神経障害】

中枢・脳の場合は動脈硬化による脳卒中の役割が多いのですが、指や内臓にも神経が張り巡らされています。五感と違いあまり意識されない内臓に居る神経ですが、喪って初めてその有難味が判ります。
「手足のシビレ」と言いますが、シビレという日本語は曖昧で扱いかねます。
正座をしているときを思い出してください。据わると、指がジンジンします。ジンジンもシビレです。毛細血管が破れるので正座と同じように血行が少なくて酸欠でジンジンします。
進んでくると、網膜症で見せた白斑のように神経が断線します。正座で「痺れ切る」といいますが、触っても感じない状態・指先が床に着いて居るか天井に跳ねあがているか判らない状態になります。
足が腐っても関節が捻挫しても判らないのも糖尿病の合併症の神経障害です。
膀胱が一杯でないのに一杯のように感じるのは先ほどのジンジンの感じですが、痺れきってしまった膀胱だと、半日一日尿をため込んで4Lほどまで膨れ上がることがあります。
血圧は立っても寝てもおなじだと都合がいいのですが、それは血管がゆるんだり縮んだり、脈が増えたり減ったりして維持します。頭で考えて命令してドキドキさせる訳ではないです。こういった自律神経が断たれてしまう糖尿病の末期では、寝ると240立つと60という血圧の変動の酷い人が出てきます。立つと脳梗塞、寝ると脳出血笑い事ではありません。だいたい寝たきりにしてもらって血圧を下げる方に終始します。
低血糖も判らなくなるので、突然の痙攣で低血糖がわかるという極めて危険な状況になります。
血圧・血糖は、突然死という形で神経障害の終着駅に辿り着きます。

【14.有名人】

北原白秋はあめあめふれふれかあさんがなどの童謡でも今に知られる人物です。文人だからお爺さんというイメージがあることと思いますが、幾つの時に亡くなったでしょうか?昭和12年に失明して糖尿が発覚しました。同時に浮腫みが指摘されて、尿毒症が酷く進んでいることも判りました。
最後の歌集「黒檜」や最後に帰郷した時の歌で、白秋の命日に故郷柳川の式で歌われる「帰去来」という詩には、「盲」「しうる」という字句が頻回に出てきます。失明から4年後に亡くなるわけですが、57歳でした。
昭和の会社では55歳が定年でした。昔はみんな亡くなるのは早かったのです。それは診断しても治療法がないこともありました。
いまなら薬も幾つもあります。検査も受けています。受けた結果を真摯に受けて、生活の改善だけでなく、必要な医療も厭う事無く受け入れれば、合併症のない生活を送ることが出来ます。

暁の窓にニコライ堂の円頂閣が見え看護婦は白し尿の瓶持てり
昭和十二年十一月、眼疾いよいよ昂じて、駿河台の杏雲堂病院に入院して以来、同十五年四月、砧の成城よりこの杉並の阿佐ヶ谷に転住するに至る、約二年有半の期間に於ける薄明吟の集成が之である。
[中略]
私の眼疾は遠因を肉体の上に加へた多年の精神的暴虐に発し、糖と蛋白との漏出が激甚となり、遂に、新万葉選歌に於ける日夜の苦業が眼底の出血と共に極度の視神経の衰弱を来し、失明直前の薄明状態に坐らねばならなくなつた。 「黒檜

【15.心臓などの動脈硬化】

細い毛細血管は破れますが、太い動脈は固く詰まります。写真は心電図です、左は歩行前、右は6分後です。平塚駅から八幡様くらい、会社にはいきついていません。
ピンと跳ねているのが心臓が収縮するときのR波、そのあとのモワッとした盛り上がりがT波といって拡張するときの波です。RとTの間が凹んでみえるのが、心臓の血管が狭くて、運動した後に増えた酸素消費量を補うだけの流量が確保できていない徴になります。もっと足らなくなると、ジンジン痛みます。歩くのを止めて細い血流でも安静時の僅かな酸素消費量を補える様なら痛みは引きます。この状態が狭心症です。
狭くなった所にはコレステロールがニキビの様に貯まっています。ニキビを潰すと破けて血が出て黄色い球が出てきます。あんな感じで動脈硬化巣が破綻すると血管に血栓が出来て詰まります。そうなると安静にしても酸素が釣り合えないので、いつまでも痛いです。この状態が心筋梗塞です。
痛ければよいですが、先ほどの神経障害。痛みが判らない人が糖尿病に紛れていて、いきなり心停止AEDの出番ということが少なからずあります。「症状ないから元気」ではありません。
心臓だけでは無くて、腎臓の梗塞や、胃の梗塞、足の梗塞もあります。
動脈硬化は血糖だけでなく血圧や脂質もしっかり下げて厳しく管理しないと予防できません。

【16.人は平等では無い、糖尿病とそれ以外と】

人間は平等ではないです。新聞で「○○の診断基準」とか載ることがあります。「隣のだれそれは血圧幾つだから俺は大丈夫」と決めつける人が居ます。
血圧以外の危険因子がないときは、基準より悪くても結果としての脳心血管事故は起こり難いです。
毛利の3本の矢ではないですが、物凄い高い値では無くても動脈硬化の手札がたくさんある方が心筋梗塞、脳梗塞が起こりやすいのです。
糖尿病では上の血圧が130切るように、LDLコレステロールが120を切るようにしないと、糖尿無しの人の1年の確率まで卒中を削れません。
アメリカでは敢えてコレステロールは測定しないで、一律にスタチンというコレステロールの薬を処方しておけ、という指示が出ています。LDLコレステロールが70mg/dlくらいまで下げても冠動脈疾患の抑制がはかれ、総死亡も減らせるという白人の検討結果をもとにした判断です。

【17.NIPPON DATA 80

男の人がどれくらいの確率で心筋梗塞を起こすかという地図です。
左二行が糖尿病の無い人、右二行が糖尿病の人です。
1行目と3行目がタバコを吸わない人、2行目と4行目が煙草呑の人です。
マスが上にいくと高齢者、マスの中の駒が上に行くほど高血圧、右に行くほど高脂血症です。
糖尿病のある無しで10歳年上のひとと同じ確率で心筋梗塞をおこします。
同じマスの中で、オレンジを黄色、黄色を青にするには、コレステロールも血圧も随分厳しくしないと良くならないのも判ると思います。
煙草を止めるのも、糖尿病にならないように節制するのも、症状の出る前からすれば、血圧もコレステロールも制限が軽くなるのです。

【18.継続は力】

「良くなりました」という言葉は禁句です。1合枡に8割になれば良くはなります。
しかし、経過観察をしないと、いずれ枡から溢れます。
本人の節制が一緒でも、5年10年たつと、枡が小さくなるので、入れられるカロリーも減るのです。
PDCAサイクルは1周でお仕舞いではありません。
仕事を辞めたら、労働し無い分だけ消費カロリーが減るか、趣味に没頭するだけ、消費カロリーが増えるか、それも検査と方針の変換が必要です。
否認して検査もしないと白秋のように失明で再受診とか心筋梗塞で再受診というようでは困ります。孤独死は大往生とも言えますが、職場で倒れると労災か否か揉めます。自己決定権の国では福祉も自分持ちですが、皆保険の国では皆が担ぎます。透析が一人いると600万円以上かかります。皆さんの納めている額で割ると何人で支えていますか?純粋に一つだけの合併症ということはあまり糖尿病ではありません。心臓の血管を金網で広げるのに一か所150万円など、嵩む一方です。
糖尿病になるまえに予防しようというのが、秋にお声掛けをする特定保健指導です。来年からは、糖尿病や血圧の値が酷いのに医療費を使っていない人を洗い出す、データヘルスが始まります。内服で済めばインスリン注射は要らない、失明しなければ介護は要らない。そういうことで医療費を細く長く使ってもらうことで20年後50年後の福祉を持続可能にしようという政策です。
お金があれば自己責任ですが、お金を納めるより、健康を納めて下さった方が、子供や孫の代の日本が破産しないで済むのです。

【19.癌も合併症

先程述べた様に糖尿病の初期は過労死もかくやとばかりにインスリンを出します。
インスリンは細胞増殖因子の一つです。普通の細胞はすぐお腹いっぱいになりますが、癌は腹ペコなので、インスリンの言うとおり糖を受けてドンドン分裂します。そだった癌細胞はTNF-αなど別の伝達物質をだします。これがあると、普通の細胞を自分を分解して糖を放出したりします。癌で痩せるというのはこういうホルモンの働きもありますが、その糖をつかってまた癌が育ちます。
免疫細胞は後で感染症でも話しますが、糖を分解してそのエネルギーで、オキシドールのような過酸化酸素・ラジカルをつくって、敵を倒します。
糖を細胞が取り込みにくい糖尿病では免疫の力も衰えるので、癌細胞をやっつけ難くなるので、倒せません。

【20.脂肪肝から肝硬変へ】

昔は肝がんの多くをウイルス性が占めていました。戦後のピロポン禍の頃の人たちが90歳を回り、医原性の注射の使いまわしも減少し、ウイルス性肝炎が減る一方で、栄養過多が肝臓がんの一つとして注目されています。お酒を呑んでもおなじですが、砂糖が多くても脂が多くても脂肪肝になって肝硬変になって肝臓がんを発症する人が、二俣川のがんセンターでは2割程になり、沖縄県の男性の寿命が全国1位から23位30位と転落する理由の一つに、この脂肪肝が挙げられています。

【21.糖尿病の薬と癌】

糖尿病の薬のうち、ビグアナイドという薬は、細胞の燃費を悪くして、どんどん糖を燃すと血糖が下がるという仕組みです。癌細胞にとっては腹ペコに輪を掛けるので苦しい立場に追い込まれます。血糖が下がると無駄にインスリンが出ないので、細胞増殖も減ります。

【22.糖尿病と感染、ウサギとカメ】

尿糖だけでなく、洟汁も痰も便もみな甘いので、細菌や真菌は栄養豊富で良く育ちます。
倒す細胞は動脈硬化だと傷口に辿り着けなかったり、酸素が少ないと酸素が無い方が増えやすい土壌の破傷風菌のような普通じゃない病原菌が過ごしやすかったりします。
そうすると皆さんが想像できない感染像が出来ます。
ふつうは膀胱炎で終わる尿路感染症ですが、甘いと、腎臓でビールの様に泡立って炭酸ガスで腎臓が膨らんでX線で見える場合もあります。
オナラが腸の壁を、緩衝材のプチプチみたいにする人も居ます。扁桃腺の膿があごの下に垂れて二重あごになった挙句に、心臓の周りを膿だらけにして心臓が膨らめなくて心不全になる人が居ます。
そういう例はぞれぞれ年間に日本全部で10例ほどづつですが、指や踵が腐って切断する、壊疽は数千例になります。

【23.糖尿病の血糖が下がっても】

とちゅうでやめちゃだめ
ボケるボケないということでは、日常の数字を記憶し把握し計算をすると脳の活性化がはかれます。血糖値のA1cを覚えて置く、体重を覚えて置く、血圧を覚えて置く、食べたものを覚えてカロリーを計算する。薬を管理し残量を把握し、次の来院日を覚えて置く。こういう事務能力がないと糖尿病の管理は上手く行きませんが、これが透析になれば水分制限や塩分制限は苦しくなりますし、予約の時間を忘れるわけにはいかなくなります。眼が見えなくなれば、盲人としての歩き方やトイレの使い方、点字を覚えないといけないので、なおさらボケてはいられなくなります。
体重とカロリーだけを計算すれば済む、メタボのうちに消火すれば、毎日の作業は軽くて済みます。

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