リモナバンのお蔵入り

2008-11-10

大麻の成分カンビナノイド受容体の拮抗薬であるリモナバン(Rimonabant, SR141716)は、肥満の原因となる食行動異常や喫煙に関与するニコチンへの依存などを修正するため、期待が持たれた。まず、メキシコで2型糖尿病を伴う肥満症に対して認可された後、欧州でも市販された。
冠動脈疾患のある患者に対する投与ではHMG-CoA還元酵素阻害薬などでも達成が難しかった動脈硬化巣の体積の減少を勝ち得た。2.2 mm3 減った(-4.09 to -0.24) が、プラセボでは 0.88 mm3増えていた(-1.03 to 2.79) (P = .03)。一次評価項目である変化率では差がなかった。しかし、情動や精神疾患の副作用はリモナバントで目立って多かった(43.4% vs 28.4%, P < 0 .001)[STRADIVARIUS JAMA 2008]。
CRESCENDO研究(n=17000)において実薬5名偽薬1名と自殺者の偏りがみられた。自殺などの副作用の重大性を重くみた欧州医薬品庁は欧州での販売の一時停止を指示し[pdf]、sanofi-aventisは10/23に中止[pdf]を発表するとともに、日本を含めた世界での治験の進行を停止した[pdf]
先立ってFDAは2006年に一度、肥満については承認したが、禁煙用途には認可しなかった。そのため会社は上市を延期し、さらに追加すべきデータを揃え内分泌代謝薬の委員会EMDACに提出したが、2007年7月に下された評決は『否」であった[pdf]。


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