PPARγ作動薬と骨

2007/03/12

ノックアウトマウスの検討では骨芽細胞が増え、ロシグリタゾンのマウスへの投与では骨芽細胞が減少する。ヒトへの投与でも、骨形成マーカーが変化している ので、種を超えてみられる事象であると思われる。骨芽細胞も脂肪細胞も間葉系幹細胞から誘導されるので、もしかしたらチアゾリジン誘導体は幹細胞レベルの 細胞の分化誘導から、骨に振れるか、脂肪組織に振れるか、決定ししていて、そのため骨への影響が見られるかも知れない。
マウスへの投与では骨髄も脂肪の多い状態(黄色髄)を呈している。
DXAでの検討では黄色髄の患者では骨塩は低下傾向にある。
経口血糖降下薬のチアゾリジン誘導体(アクトスやアバンディアなど)で骨折の報告が相次いでいる。
PROactiveなどのメタアナリシスでも1年程度では骨折頻度の違いははっきりしないが、2年後以降に群間差が顕在化してくる。

  1. Akune. JCI 2004;113(6):846
  2. Ali  Endocrinology 2005 146(3)1226
  3. Grey J Clin Endocrinol Metab. 2007 Jan 30
  4. Schellinger Am J Roentgenol. 2004 Dec;183(6):1761-5.
  5. [March 2007 - Letter - Takeda Pharmaceuticals North America, Inc.]
  6. 骨と脂肪のバランスを制御するメカニズムを解明 科学技術振興機構報 第435号 加藤ら 平成19年10月22日

骨折の試験では無いけれど

2008-04-02

The PERISCOPE Randomized Controlled Trial (JAMA. 2008;299(13):1561-1573.)は 543名の冠疾患と2型糖尿病をもつ患者を対象にSU剤のグリメピリドとPPARγ作動薬ピオグリタゾンの投与の比較である。主要評価項目の動脈硬化巣体積の変化率では 0.73% (95% CI, 0.33% to 1.12%)glimepirideで増加したが、0.16% (95% CI, ミ0.57% to 0.25%) pioglitazoneで減少した(P = .002)。 総死亡や動脈硬化性疾患の発症率に差はみられなかった。なお、武田は海外市場で両者の合剤Duetact®を展開している。
副作用では骨折がpioglitazoneのみで3%に見られた(8名/270名 対 0名/273名, p=0.004)。チアゾリジン誘導体と骨折の関連への関心が改めて喚起される結果を招いた。6名が女性で2名が男性、骨折の内容は、足2、上腕骨2、下腿2、尺骨1、中手骨1、顔面1、肋骨1、上肢1、手首1(複数箇所の骨折を含み8名だが12箇所)


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