少量アスピリン療法と痛み止めの併用

COX-2阻害剤と動脈硬化性疾患の増加について議論が続いているが、他のNSAIDはどうであろうか。
少量アスピリン療法は血管壁の血小板を凝集を妨げたり血管を弛緩させるプロスタサイクリンに影響を与えない一方で、血小板でトロンボキサンA2などの血小板を凝集させたり血管を攣縮させる物質の産生をおさえ、動脈硬化を予防する。
プロスタサイクリンはCOX-2阻害により産生が減る。そうすると相対的にトロンボキサンA2の働きが強まり心血管事故が増えるようである。
それは、他のNSAIDでもいえるそうである。鎮痛剤としての常用量を与えられれば、アスピリンにせよ他のCOX-1/2非選択的阻害剤でも、プロスタサイクリンは減少するのである。
このたび米国のFDAはNSAIDの中の一つイブプロフェンについて、心血管事故予防のためにアスピリンを少量服用している患者さんには、注意して使うようにという通達を出した(Concomitant Use of Ibuprofen and Aspirin. 2006-09-08。せっかくのアスピリンの効果が打ち消されてしまうからである。今回の通達では他の薬の検討を行っていないので言及はないが、他のNSAIDについても今後同様の通知がなされるものと思われる。
イブプロフェンの入っている日本の一般薬にはベンザブロックIPやコルゲンコーワIBなどが挙げられるが、中小メーカーや地方のブランドに院内の約束処方など枚挙にいとまがない。イブプロフェンにかかわらず、腰痛や膝痛でNSAIDを飲む機会は多い。内科医が両者を出したり、他にかかった例えば整形外科医が処方したりすることもあるだろう。
比較的、血小板に影響の少ない痛み止めはアセトアミノフェンと言われている。


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