1月:2019年秋のストレスチェックの振り返り

高ストレス者の占める割合は、36協定の特別条項の使用の多かった職場で必ずしも高くは無く、直接の労働時間よりも、職場の雰囲気に影響されます。
 上司の指導力はどうでしょうか?仕事のやりがいがあるかどうかを、設問Dの1から4で評価したとき、「良好3点~皆無12点」で調べても、やりがいのある職場でも無い職場でも、普通の8点程度で、一様分布でした。差がはっきりと付きませんでした。
 やりがいのある職場では同僚の支援が5点で良好な関係が築かれている一方で、やりがいが乏しい職場では支援も9点で疎外感が感じられる結果になっています。
 上司は業務として支えます。そのため差が出ないのかもしれません。
 同僚同士の助け合いが「したくてもアップアップで出来ない職場」なら、矢張り「やりがいの乏しい職場」になってしまうのかもしれないです。


接触感染と粘液・粘膜 : 1月追加発言

×喫煙・ガム

△飴・グミ・おにぎり・サンドイッチ

タバコ咳インフルエンザノロもコロナも

口に何か運ぶときは手を洗って、お化粧もね
コンタクトレンズは眼鏡にしましょう
タオルの貸し借りや飲み物の回し呑みはやめましょう

×喫煙・ガム 喫煙者は感染しやすい

吸い口は唾で濡れます。それが手指に移ります。
手の指の汚れは吸い口に裏移りします。
喫煙室でマスクなんてしません。煙草を吸うだけで咳もします
煙草を吸う前後で、手指を洗う人は稀です。
アルコールで消毒した指に火気を近づけるのは止めてください

ガムも指で摘まんで口に運びます。
ガムを噛む前後で、手指を洗う人は稀です。
吐き出すときはやっぱり唾で濡れます。
ガムの吐き捨てはもっと問題です。掃除の人が困ります。

飴やグミ・食べ物や飲み物。この前に手洗いをする人は多いので少し安心で三角になります。
でも食べた後も手に唾がつくので洗ってね。
喉痛だから、のど飴やスプレーというなら、その喉風邪の病原体が唾から手に移るから、尚更よく洗ってね。


2月:新型コロナウイルス感染症COVID-19の臨床経過と就労上の課題

SARSでは殆ど全例が発症したが、今回のコロナウイルス感染症では無症状だったり上気道炎だけで終息する症例が多く、逆に言えば特定が困難で広く拡散しやすい。

NEJM掲載の米国の第一例目は咳が出だして何日かは微熱であり、この段階では見抜くことはできない。SARSもそうだったが一定程度の消化器症状があり、排泄物を介する伝播も想定される。インフルエンザであれば寝込む期間は5日も無いが、症状の経過が長く1週間ほどなので労働損失時間は長くなる。

SARSの経験では解熱後10日ほどは粘液からのウイルス排出が継続する。

ドイツの自動車部品会社に上海からの出張者が会議などで伝播させた症例。ランセットに掲載。当初は無症状と言われていたが解熱剤など内服していたことが後から判っており症状のある発端者からどう拡がるかが類推できる。接触から5日ほどで感冒様症状を呈しており、潜伏期間が3~9日とされているのに符合する。

同じくランセットの中国人家族の発症過程、深センから武漢に家族旅行した。まず、婿が発症し娘両親と拡大、深センに戻って婿の実母にも発症が拡大した。これだと3日ほどで発症している。子供に症候が乏しいのは以前のSARS・ソウルのMERSと共通している。

入院患者も若年者は少なく中高齢者で、高齢者ほど集中治療室での加療が必要になっている。

2015年のソウルのMERS:中東呼吸器症候群の院内感染の振り返り。高齢者の死亡率は高く、持病のあった人は死亡に至る例が多い。医療従事者や見舞客は発症しても死亡には至らない例が多い。

先ほど上気道炎は1週間ほどで終息するといったが、治癒が遷延して翌週になって肺炎を呈する報告が多い。奈良のバス運転手も複数回の受診の後で最初無かった肺炎が翌週出て来ている。複数回の受診が医療機関での感染拡大に繋がりかねない。

2週目で肺炎が治るとすると罹病期間は2週間になる。しかし、人工呼吸器管理などが必要な場合は闘病期間が長くなり、医療崩壊が武漢での高い死亡率に反映されていると考えられる。人工呼吸器や入院病床が先に入った患者のため空かず、後から発症した患者の手当てが出来ないのが武漢での死亡率の高さの原因と考えられる。しかし、日本でも養老院など脆弱な集団で発症すると、介護スタッフの休業や周辺病院の病棟の満床などで、同じことが起きかねない。

厚労省から新型コロナウイルスの事業者向け文書が発出されている。

日々更新され内容の訂正が相次ぐと思われる。インフルエンザやノロウイルスでも度々診療所に問い合わせが入る事項について、触れられている。2009年の新型インフルエンザなどの要領や公文書を引き出して、安全衛生委員会などで労使で就業規則を見直してほしい。

インフルエンザと違い2020年3月初め時点で即座に判る検査キットは無い。遺伝子を増幅して調べるのだが一台の機械で午前10人午後10人調べるのが関の山である。現に、横浜港の客船の273人の検査結果の発表に数日を要している。機械を買い足して検査技師を増やせば解決するといっても予算に限りがあるので行政検査の絶対的な適応数は限定的である。通常の社会保険診療請求での医療ではPCRは償還されないので実施しない。できない検査はできないので、新型コロナウイルス感染症という「診断書」は書けないし「陰性」の証明書も書けない。

記載できるのは上気道炎や肺炎という症候の診断書だけである。

回復や伝染の恐れが無いという証明も書けない。

Q&Aでは都道府県の行政検査による新型コロナウイルス感染確定事例では感染症法18条に基づく就労制限をしろと記載している。一方で、疑似症(発熱や肺炎があり流行しているので新型コロナウイルス感染症が疑われる例)に対しては、『労働契約法5条に基づき就労規則で決めなさい。事業主が休みなさいというときは、使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければなりません。 使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。』と記載しています。

今後感染の拡大とともに、介護サービス事業者や教育機関の閉鎖もある。そのために社員が介護や看護の休暇を取る必要が増える。不幸な転機をたどった場合は忌引きも発生する。復帰可能の診断書はそれらの場合にも出ないが、一定の手順を予め定めることが望ましい。
看病で疲れた親族が潜伏期間を挟んで発症し、それを弔問した関係者に広める可能性もあるので1日など叔父叔母の忌引きが短いと、戻ってきて暫くしての発症となる例も心算して欲しい。

また、濃厚医療を受ける場合、どうしてもサルコペニアなどが進行し、従前の生活レベルを維持できなかったり、用廃症候群に陥ってしまう場合も念頭に入れる必要がある。

各自治体の新型インフルエンザ等対策行動計画を下敷きに(ワクチンと治療薬は無い)行政の対応は行われると考えて予習をする。

労務上の判断[pdf]


3月:化学物質の規制の変更

(1)溶接ヒュームは2つの法律で別々に規制されます。

いままでは「じん肺」で胸部レントゲン検査が課されていました。
これは撤廃されません。
マンガンがヒュームに含まれます。今回はこのマンガンの肺がんの発生については見送られました(がん原性規制)。
しかし、経鼻的にマンガンが吸収され脳へ直接移行する可能性があり、実際に手の震えなどの中枢神経症状が数%の溶接工にみられるという知見から、「マンガン中毒」に対する網を中枢神経に関してかけるために特化則第二類に指定することになりました。こちらの規制は「安衛法」になります。
「じん肺」「安衛法」の二つの規制です。

(2)特化則第二類で変わる溶接職場

まず、特化則作業主任者の選任が必要になります。施行が令和3年、移行措置が令和4年まで1年間ありますが、生技・保全や金属溶接の職場に「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」修了者を配置する必要が出ます。
次に換気装置の検討や保護具の選定が必要です。N95では不十分との指摘もあります。
作業環境測定については、現行の作業は「既存不適格」扱いで求められませんが、母材や線材など工程を変える・或いは新規の屋内での溶接については、「個人サンプラー」によるマンガン濃度測定が求められます。
特殊健康診断は「常時作業」している場合に求められますが、工業高校の先生が2学期だけ数時間授業を担当するときも「毎年ですから」と監督署に指導されたこともあったそうなので、最低でも毎月作業があるときは受けておいたほうがよさそうです。その手前として作業実績の調べをしておいて、監督署に相談に伺うのが賢明かもしれません。

(3)アクリル酸メチルとアクロレイン

すでに重合した後のものについては規制に掛からないです。もっとも、例外の例外はあって、紙おむつの吸収材料や汗取りのために粉になったアクリルはじん肺の規制がかかっています。
話を戻すと、ハマタイトでは利用していないそうです。
扁平上皮癌が出る吸入試験は珍しく、それも現在の規制値に近いところで40ppmで発がんしています。揮発性が高く、反応槽への投入などの現場を個人サンプラーで調べると2ppmで規制しているところを5ppmの蒸気を吸っていた場合もあり、一桁しか発がんの濃度まで離れていない(8倍なら同じ桁と言える)ので、社内での使用実態をよく把握しましょう。


top