Peripheral Artery Surgical Meeting の発足にあたって
従来,本邦のPeripheral Artery Disease(PAD)に対しては血管外科医が診断から治療まで携わってきた長い歴史がありますが,近年,この分野に循環器内科医や放射線科医等が参入し血管内治療が盛んに行われるようになりました.私共も低侵襲の血管形成には魅力を感じており,腸骨動脈には第一選択,大腿以下には厳格な適応で施行してまいりましたが,外科と内科で意見の食い違いが少なからずあるように感じます.
特に下腿以下の病変に対する認識の相違が大きく,残念ながら内科医にdistal bypassの有用性が充分には認知されていないのが現状です.その理由として,特定の施設では欧米をも凌ぐ素晴しいdistal bypassの成績を示していますが,一般の「心臓血管外科」施設ではきちんとしたdistal bypass ができる血管外科医が少な過ぎるのではと考えております.
そこで,血管外科の原点に戻り皆でdistal bypassを勉強する会を作りたいと考えました.外科手術の修練は他人の発表やビデオを見たくらいでは成されないでしょうが,一歩でも前進すればとの思いで,この会を発足させた次第です
皆様には今後もこの会にご参加いただき,会の方向付けを含めた幅広いご意見を賜れば幸甚に存じます.
ご挨拶
12年前、「distal bypassが出来る外科医が少ない」との理由から、EVTの適応拡大に走る根拠とされていたことに対し、待ったをかけたのが、PASMeeting発足のひとつのきっかけでした。
その目標は達成され、現在Distal bypassを行える外科医が近くに居ないことを理由に、EVTを拡大適応とする内科医は限られたごく一部となり、彼らもまた大いに勉強し成長してきました。また、多くのアジア諸国にこの様な会が発現しなかったが故、現在他国で問題になっている、Distal bypassができる外科医が居ない現状と、一線を隔てた構造に我が国の血管外科医が成長してきたのも、本会の存在が有ったからこそのことと考えます。
この様に、日本の血管外科において大きな功績を残してきた本会を、その発足から現在に至るまで育ててこられた代表世話人の遠藤先生が、この度退官されることとなり、その後を大阪大学心臓血管外科の澁谷 卓が引き継がせて頂くことになりました。
発足当時と現在では我々を取り巻く環境は大きく変化しています。が、本会は発足以来これまで築いた業績を継続し発展させ、さらに現在我々末梢血管に携わる外科医が直面する問題に対し、血管外科全体が良い方向に進んでいくよう、皆様と共に頑張りたいと思いま
す。
この領域に関わる皆さまとともに、血管外科を盛り上げていければと思います。微力ではございますが、尽力しますので今後ともPASMeetingを宜しくお願いします。
令和元年5月吉日
代表世話人
大阪大学大学院医学系研究科 重症下肢虚血治療学 澁谷 卓
PASM代表世話人ご挨拶
皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申しあげます。また平素は格別のご理解とご鞭撻を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度,Peripheral Artery Surgical Meetingの代表世話人を仰せつかりました愛知医科大学血管外科の児玉章朗と申します.
本研究会は,重症虚血による足趾壊死・潰瘍に対して、下肢血行再建を中心とした集学的治療で救肢し、患者さんのQOL、ひいては生命予後を改善することを目的として2008年に発足しました.distal bypassを行う外科医を養成することも発足時の大きな目的の一つと伺っております.CLTIは非常に多様性に富む集団で,治療方針の選択にも悩み,また血行再建も一般には技術的難易度が高い症例が多くあることが知られています.そうしたなか,本研究会は血管外科医にとって非常に有意義な場であったと思います.私自身もこれまで本研究会における各施設の症例報告および中身の濃い議論を拝聴したり,参加された先生方にいろいろ相談したりすることで,日々の臨床に役立ててまいりました.なおNCD集計によりますと,近年,EVT件数は増加しているもののバイパス件数はほぼ横ばい,若干の微減となっています.しかし一方,distal bypassは若干増加しています.発足当時と現在では患者・患肢背景含め,我々を取り巻く状況には様々な相違があるかと思いますが,やはり,本会の果たしてきた役割は大変大きかったと感じております.これまで遠藤先生,澁谷先生が代表世話人として本会の発展に多大なる貢献を果たされてきましたが,この度,澁谷先生より代表世話人を引き継ぐこととなりました.
現在,血管外科医はEVTとバイパスともに修練することが必要とされ,ハイブリッド治療も施行する機会が増加しています.本会は発足以来これまで築いた歴史を継続し発展させ、さらに現在我々末梢血管に携わる外科医が直面する課題を皆様とともに少しでも解決していければ,と考えております.
若輩者ではございますが,皆様とともに末梢血管外科を発展させていくべく尽力してまいります.引き続きPASMeetingを何卒よろしくお願い申し上げます.
令和5年11月吉日
Peripheral Artery Surgical Meeting 代表世話人
愛知医科大学
血管外科 教授 児玉章朗
名寄市立総合病院 | 事業管理者 心臓血管外科 | 和泉 裕一 |
石川勤労者医療協会 城北病院 | 外科 | 遠藤将光 (名誉会長) |
東京慈恵会医科大学 | 血管外科主任教授 | 大木 隆生 |
大雄会第一病院 | 血管外科 顧問 | 太田 敬 |
福岡県済生会八幡総合病院 | 病院長 | 古森 公浩 |
社会福祉法人仁生会 江戸川病院 | 血管外科・血管病センター長 | 笹嶋 唯博 |
埼玉医科大学総合医療センター | 血管外科 客員教授 | 佐藤 紀 |
都庁前血管外科・循環器内科 血管病総合治療センター | 院長 | 重松 宏 |
東京医科大学八王子医療センター | 心臓血管外科 兼任教授 | 進藤 俊哉 |
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 | 院長 | 錦見 尚道 |
医療法人社団敬命会 吉川病院 | 顧問 | 福田 幾夫 |
浮間病院 循環器病センター | センター長 | 前田 英明 |
まび記念病院 | 血管外科 部長 | 正木 久男 |
国際医療福祉大学・医学教育統括センター | 教授 | 宮田 哲郎 |
川崎医科大学 | 心臓血管外科 | 柚木 靖弘 |
京都医療センター | 血管外科 診療科長 | 浅田秀典 |
呉羽総合病院 | 血管外科 部長 | 石田 厚 |
川崎医科大学総合医療センター | 外科(血管外科) 副部長 | 石田 敦久 |
てとあしの血管クリニック東京 | 院長 | 井上 芳徳 |
札幌厚生病院 | 心臓血管外科主任部長 | 内田 恒(ひさし) |
慶応義塾大学病院 | 外科准教授 血管班 | 尾原秀明 |
旭川医科大学病院 | 血管外科 講師 | 菊地 信介 |
江戸川病院 | 血管外科部長 | 小久保 拓 |
関西医科大学総合医療センター | 血管外科 教授 | 駒井 宏好 |
愛知医科大学病院 | 血管外科 教授 | 児玉 章朗 |
JA広島総合病院 | JA広島総合病院 心臓血管外科 主任部長 | 小林 平 |
市立函館病院 | 心臓血管外科 科長・主任医長 | 古屋 敦宏 |
国際医療福祉大学三田病院 | 血管外科 教授 | 重松 邦広 |
大阪大学心臓血管外科 | 重症下肢虚血治療学共同研究講座 特任教授 | 澁谷 卓 |
弘前中央病院 | 外科 | 谷口 哲 |
川崎医科大学 | 心臓血管外科 | 田村 太志 |
十全記念病院 | 循環器・血管外科部長 | 野村 拓生 |
慶応義塾大学病院 | 外科 血管班 | 藤村直樹 |
東京大学 | 血管外科 准教授 | 保科 克行 |
国際医療福祉大学成田病院 | 血管外科 教授 | 前田 剛志 |
済生会八幡総合病院 | 副院長 | 三井 信介 |
藤田医科大学 | 血管外科 講師 | 松浦 壮平 |
総合南東北病院 | 心臓血管外科成人部門科長 | 緑川 博文 |
大阪大学心臓血管外科 | 助教 | 三宅啓介 |
九州大学 | 血管外科 講師 | 森崎 浩一 |
川崎医科大学総合医療センター | 血管外科部長 特任教授 | 森田 一郎 |
松山赤十字病院 | 血管外科 部長 | 山岡 輝年 |
(2024年2月 現在, 五十音順敬称略)