センターからのメッセージ

谷口 維紹(センター長) 畠山 昌則(副センター長)

平成26年1月より5年間の予定で「マックスプランク・東京大学統合炎症学センター」(英文名;Max Planck-The University of Tokyo Center for Integrative Inflammology)が発足しました。

既に昨年6月25日、東京大学総長とドイツ・マックスプランク協会会長により「統合炎症学」を連携して推進するとともに本分野を担う次世代研究者の育成を図るための協定書を締結しましたが、いよいよその具現化がこのセンターによって図られることになります。

本センター構想は、マックスプランク協会が国際交流の一環として特定の分野で傑出している国外の大学等の研究機関と連携する目的で発足したものです(http://www.mpg.de/7021492/Max_Planck_Centers_Partner_Institutes)。既に、他の研究分野ではスタンフォード大学(米国)やテルアビブ大学(イスラエル)など、国内では理化学研究所でセンターが設置されています。

炎症反応は従来の研究範囲から更なる広がりを見せている研究分野であり、感染、発がん、免疫にとどまらず、代謝系、血液・循環器系、あるいは脳・神経系など多くの研究分野を包含した学問大系へと発展しつつあります。特に様々な疾患との関わり合いが世界的に注目されている分野であることから、それらの分野に実績をもつ複数のマックスプランク研究所に所属する研究者と本学の複数部局の研究者がお互いに連携し、相乗効果を狙った研究センターの運営を目指します。炎症を狭義に捉えるのではなく、医学・生命科学とその関連分野を統合的に推進することが今回のセンターの眼目といえます。このセンターの推進によって新しい疾患概念の確立や治療法の確立を目指すことも重要な目的です。同時に、このような国際交流を通した学生や若手研究者の育成を図ることも期待されます。なお、センターはそれぞれの組織において部局横断型のバーチャル研究所として機能する、というのが特徴です。

炎症反応は生体の防御・恒常性維持に必須ですが、一方でそれが異常に持続したり過度に増強あるいは減弱した場合には多くの疾病の原因となります。実際、自己免疫病や感染症など、従来から炎症との関わりが知られていた疾病に加え、がん、代謝病、循環器疾患、など多くの病態発症に炎症が関係していることが判明しつつあります。いうまでもなく、これらは世界的に深刻な疾病であることから炎症のメカニズムを解明し、関連疾患の病態解明やその予防・治療法を開発することは広く社会からも期待されています。東京大学とマックスプランク研究所には炎症と疾患に関する研究で傑出した多くの研究者がいますが、今迄はそれぞれの研究分野で各自の研究が推進されて来ました。そこで、本センターではこれらの研究分野をお互いに統合し、炎症のメカニズムを幅広く解明し、炎症が関与する疾病の診断、予防、治療の新しい原理を確立することを目指します。すなわち、日独の研究者が一緒になって「統合的炎症学」という研究分野を創成・発展させていきます。

具体的には、共同研究の推進や国際シンポジウム開催などを通して交流関係を深めながら、東京大学とマックスプランク協会と共にこの新しい研究分野をリードしていきたいと考えています。また、このような国際活動を通してより幅広い知識、国際性を備えた学生や研究者の育成に貢献していきます。具体的には学生やポスドクの相互交流や国際的教育プログラムの策定・実践を推進します。

本センターは「東大憲章」、「行動シナリオ」に基づいた大学の更なる国際化に貢献すべきセンターです。また、これからの日本あるいは世界に求められている新しい学体系の創出にも貢献したいと考えています。すなわち「統合的炎症学」の研究分野を創成し、発展させていきます。そして、国際シンポジウムなどを開催し、交流関係を深めることによって、東京大学がマックスプランク協会と共になって新研究分野をリードするとともに、幅広い知識、国際性を備えた学生や研究者の育成に貢献していきたいと考えています。

なお、本センターは国際的なセンターであることから、より詳細な情報は出来るだけ英語で発信していきたいと考えています。「English」をクリックしていただくとより詳細な情報が得られます。

皆様のご支援・ご協力をどうかよろしくお願い致します。

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