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八ツ峰の記憶

I climbed Mt.Tsurugi (Tsurugidake, 2998 m, 9839 ft) in this summer located in Chubu-Sangaku National Park. The mountain is known to everybody by a 2009 Japanese film “劒岳 点の記 Tsurugidake Ten no Ki” dealing with a story about the competition to reach the summit. The route was so steep that nobody could reach the summit until 1907 by a group of surveyors to obtain data for making topographical map. The mountain is called "the most dangerous mountain in Japan" because of the number of fall accidents. In 2011, the Japanese Society of Snow and Ice has proved three ice gorges around Mt.Tsurugi as glaciers with the depth of 30m of ice. A glacier is defined as a large mass of ice that over many years "flows" owing to its great weight. Using GPS, the research team confirmed that the masses of ice are moving between 10 and 30 cm a month. It is the southernmost galaciers in the Far East region.

剱岳主峰2998mから見た八ツ峰のVI峰のスケッチ(1986年)

山頂の北側の崖には「危険立ち入り禁止:北方稜線」と書いたステンレス製の看板は昔のまま岩に張ってある。本格的登攀装備を持ち、岩の登りの訓練を受けたクライマーしか入ってはいけない危険な場所を意味している。その看板を越えて、少し下った所から、目の前に飛び込んでくる岩稜が八ツ峰である。私はまるで恐竜の背中のように長くギザギザの岩稜が伸びる尾根その光景に感動して、その一部分を切り取ってスケッチしたのが上の線描画である。

剱岳(2998m)から見下ろした八ツ峰の全景:四角で囲んだ部分がスケッチした画角である。
1986年当時、私は第VI峰のEフェースとDフェースが折り重なって立っている形に、特に面白さを感じてスケッチをした。

2012年8月、久しぶりに剱岳を登った。今回は社会人山岳会であるチーム猫屋敷のメンバーである鈴木脩平(名古屋大学学生)、伊藤聡(南山大学山岳部OB)、佐合正樹、伊藤美紀、福田邦男と私の6人のパーティで8月11日(土)に真砂沢にベースキャンプを張り、8月12日(日)に源治郎尾根から剱岳主峰に登った。このルートはバリエーションルートの中では比較的初心者向きと言われているルートであるがアイゼン、ピッケル、60mザイル、下降器、ハーネスなどの登攀装備が必要である。高い登攀技術を要求されるわけではないが、岩は部分的に脆く一般登山者は絶対に入るべき場所ではないと思った。握った岩がぐらついて抜けそうな場所もあり、先行登山者が誘発する落石が実際に何回も発生して緊張させられた。源治郎尾根の第II峰から切れ落ちる岩壁の頂点には太い鉄の杭が打ち込まれていているので30mの懸垂下降は安全にできる。幸い快晴に恵まれて源治郎尾根から素晴らしい八ツ峰の勇姿を眺めることができた。帰路で池ノ谷乗り越しから長次郎雪渓に繋がるコルへ下降した。頂上から下り始める手前の狭い所に草が生えている場所がある。その草付きの場所を通過した瞬間に、そこに自分が座ってスケッチをしていた記憶が蘇った。不思議なものだな。26年もの歳月を経ても、まるで昨日のように当時のことが鮮明に思い出された。今回はこれを油絵の作品として是非仕上げたい。

源治郎尾根からの八ツ峰VI峰のA, B, C, D, Eフェース

初心者クライマーのルートとして定評がある剣稜会ルートおよび魚津高ルートの概要。

八ツ峰VI峰のAフェース魚津高ルートを登攀する登山者

源治郎尾根見た八ツ峰VI峰のAフェース:魚津高ルートの取り付き部分

三浦 裕
愛知県山岳連盟所属 社会人山岳会 チーム猫屋敷
名古屋市立大学医学部分子医学研究所分子神経生物学(生体制御部門)准教授


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(Last modification August 20, 2012)