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第5回アジア伝統医学国際会議(5th ICTAM

 当国際会議(International Congress on Traditional Asian Medicine)は、かつてオーストラリアのインド医学史研究家Basham博士が提唱して始めたもので、主にヨーロッパ系の研究者が集うIASTAM(International Association for the Study of Traditional Asian Medicine)が主催する。インド医学のアーユルヴェーダ、グレコ・アラブ医学のユナーニおよび中国系医学を歴史社会的に研究する会議で、これまでCanberra(1979)、Surabaya(1984)、Bombay(1990)、Tokyo(1994)で開催されてきた。今回は旧東ドイツのHalle市にある今年が創立500年というUniversitat Halle-Wittenbergで、ドイツ・インド系のDr. Rahul Peter Das教授が多大な尽力を払い主宰した。

 上写真左はHalle-Wittenberg大学の今回の会場となった建物で、その看板をクローズアップしたのが上写真右。建物右手前の自転車付近は(学生)食堂で便利な場所だったが、一度食べて後は行くのを止めた。
 開会式は建物三階の大教室で行われ、演壇上には今回の会議に参加したIASTAMの役員が並ぶ(下写真左)。その最初と最後には下写真右の三重奏によるバロック数曲が演奏され、相当に高いレベルで皆とてもいい気分になった。ピアノが生だったらもっとよかったのだが・・・
 下写真は会議初日の19日にあった私の講演「New Findings on a Medieval Medical ManuscriptPDFファイル、787KBもあるのでダウンロードには注意)」で、座長は旧知のミュンヘン大P. Unschuldさん。ただしプロジェクターとパソコンをつなぐケーブルが短く、演壇ではなくプロジェクター近くの机にパソコンを置きスクリーンに向かって話すしかなく、いささか困った。しかし翌々日からは、この問題が全会場で解決されていた。こうした係はアルバイトの学生が担当していたが、さすがにドイツ人は真面目である。

 下写真左はオレゴン大A. Gobleさんの講演「Arabic Medicine in Medieval Japan」で、このセクションは私が座長を務めた。今回の会議には彼を含め旧知の友人が多く来ていてリラックスできたが、彼の報告は日本関連だけによく理解できたし、興味深い内容だった。下写真右は中医研究院中国医史文献研究所の鄭金生さんの講演「The Colored Illustrations of the Shiwu Bencao, a Ming-era Materia Medica Manuscript」で、盛りだくさんの内容を上手にまとめていた。会議二日目だが、上述の問題のためパソコンは別人が操作している。
 下写真左は今回のドイツ訪書でお世話になったP. Unschuldさんの講演「Knowing Practice? The Value of Chinese Physicians' Private Manuscripts」。新しい着眼の研究だが、視覚資料を使わないため、英語の専門用語が多くてあまり聞き取れず残念だった。下写真右は三日目、中医研究院針灸研究所の黄龍祥さんの講演「How to Fully Understand Ancient Chinese Acupuncyure Literature?」。ハイレベルな内容だったが、前述のプロジェクターの問題が解決されており、よく理解できる。
 下写真左は医史文献研究所の甄艶さんの講演「Location for Pluse-taking in Tibetan and Han(Chinese) Medical Systems」。まだ院生で初めての外国なのに、堂々としているのには驚いた。下写真右は医史文献研究所の朱建平さんの講演「Textual Research and Explanation of Qi-Huang」。OHPを使用するため後を見ながらの講演となり、私と同様の問題があって残念だったが、前を向いた写真を朱さんが送ってくれた。

 なお左写真は20日のHalle市長招待立食宴のときの中国医学史グループで、右から朱建平さん、黄龍祥さん、私、甄艶さん。市長の挨拶が始まるまでシャンパンやジュースなど飲んでブラブラ待っていたが、この日で中国医学史グループのセッションが全部終了したので、皆リラックスしている。

 なおこの写真は朱さんのカメラで撮影したため、写真の日付は中国時間の21日になっている。ドイツの時間は中国より6時間、日本より7時間遅れているため。