北京の温泉と修脚(2002年11月2日、於北京富来宮温泉山荘)
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 この日、私と院生の久保君、北京中医薬大の梁永宣助教授は一日中、同仁堂の史総経理と姚経理に各所をご案内いただいた。また美味しい昼食夕食もお招きにあずかった。その時の話で、北京に温泉があるなんて私は知らなかったというと、では今晩案内しましょうとなった。梁さんも私も温泉好きなので、夕食後に行ってみることにした。

 場所は北京の中心から北に25kmほどの郊外、北京富来宮温泉山荘(Tel 010-61785588)という長期宿泊もできる保養・娯楽施設だった。まず案内されたのは周囲に家庭風呂5、6倍程度の温泉浴槽、およびシャワー・蒸気サウナ・普通のサウナ、中心にベッドが数台並んだ部屋。シャワー・サウナ・温泉と一通り入ったところ、史さん達がこのベッドに寝なさいという。これが初体験のアカスリで、すいぶん痛いなーと思っていると、こすっていたお兄さんが「修脚」するかと尋ねる。まだ相当に酔っていたのでとっさに理解できず、いいよと答えた。すると、やおら二人がかりで私の足の爪を削り始め、これが話しに聞く中国の修脚とようやく分かった。
 修脚とは足底の角質化した皮膚、あるいは足爪やウオノメを入浴後に削ることだが、旧中国時代のことと思っていた。私の親指と小指の爪はとても肥厚して、これまで切るのに難儀していたが、それを彫刻刀のような鋭利な刀で左写真のように薄く削っている。あまりに面白いので久保君にお願いして撮ってもらった。史さん達ははじめ修脚が中国特有と知らず、私が爪を厚いままにしていたのに驚き、不快じゃなかったかという。日本にはない習慣なので、足の爪を薄く削るなど考えたこともなかったと答え、ご理解いただいた。

 この後さらに別室で一同寝ながら、頭と足を二人がかりでするマッサージをしばし受けた。未体験の流儀で、頭も足もツボからはずれたところばかり揉む。何の方式かと訊くと、反射区だという。そんなドイツ式ではなく、中国の経絡・経穴の方式はしないのと尋ねても、それらの意味が理解できない様子。ウームだった。さらに尋ねると客は中国人が多く、外人は韓国人が一番で、日本人も来るよ、とのこと。それで少し納得した。

 ともあれ温泉とマッサージの効果は確かにあり、ホテルに戻った時はかなり酒が醒めており、少し寝酒を飲むと熟睡できた。今のところ足の爪も快調。