龍谷大学大宮図書館
〔来歴と概要〕
京都の龍谷大学大宮図書館には多くの古医書が所蔵され、国書は四二〇部三五九書目、漢籍は三三二部・二六二書目あり、総数は約五千冊におよぶ。
当大学は西本願寺系で、淵源は本願寺第十三世宗主の良如上人が寛永十六年(一六三九)に学寮を開設したときに遡る。一方、歴代宗主の蔵書「写字台文庫」には仏典以外に、日本・中国の各分野の書が蒐集されてきた。第二十一世宗主明如上人のとき、明治二十五年と同三十七年の二度にわたって写字台文庫から約四万点の書籍が当大学に寄贈された。また旧大学令に基づく大学として認可される際、全国の本願寺末寺からも書籍が寄贈された。当大学大宮図書館所蔵の古典籍は、これらを中心に構成される。
また敦煌・トルファン文書の所蔵も世界屈指で、それらは門主・大谷光瑞の明治四十一年の命による大谷探検隊が将来した。なかには医薬関連文書もあり、唐の開元六年(七一八)筆写の『本草集注』巻一などが著名。
当図書館の和漢古医書は、国書が室町写本以降、漢籍が明前期刊本以降からあり、それ以前の刊本・写本はない。これは写字台文庫の開設時期に関連するらしい。また中国版は明・清の全時期にわたっており、多くが他の所蔵を経ていないので、全江戸期を通して長崎から直接購入されていた可能性が高い。
貴重医薬書は嘉靖年間以前の明版、室町写本・江戸初期貴重版・名家自筆本など計三七点。うち国書では、十点におよぶ松岡玄達(一六六八〜一七四六)自筆の浅井周伯(一六四三〜一七〇五)講義録が特筆される。漢籍では明版の八巻本『日用本草』が世界唯一の所蔵で、こうした中国で散逸した医薬書も一一部・八書目が所蔵される。
〔蔵書目録〕
『龍谷大学大宮図書館和漢古典籍分類目録(自然科学之部)』、同図書館編、一九九七。
『龍谷大学大宮図書館和漢古典籍貴重書解題(自然科学之部)』、真柳誠編、一九九七。
〔所在地〕
〒600-8268京都市下京区七条通大宮東入ル
電話〇七五ー三四三ー三三一一内五〇七三
FAX〇七五ー三四四ー〇三四五
ホームページhttp://opac.lib.ryukoku.ac.jp/oomiya.htm
〔利用法〕
利用には大学図書館ないし公共図書館の紹介状、貴重書・准貴重書の閲覧と複写は事前申請と許可が必要。なお前記ホームページは充実しており、目録書誌の検索や西域文書・貴重書全頁の閲覧等ができる。
(真柳 誠)