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真柳誠「研究情報」、茨城大学共同開発センター編刊『研究情報集No.1』E-10頁、2002年6月

1.研究情報番号:H16-1

2.提出(改訂)日:2001年12月22日

3.学科名及び講座名:人文学部人文学科 日本・中国文化論

4.担当教官:真柳 誠

5.研究分野:中国科学史

6.研究情報名:中国で散逸し日本に現存する中国医薬古典籍

7.内容:
 現代に続く中国伝統医学は約2000年の歴史があり、日本を含めた周縁文化・民俗にも受容され、現在も疾病治療・健康維持に広く応用されている。その永年の経験は大部分が書物として伝えられ、中国清朝時代までの古典籍のみで約1万種に及ぶ。中には難病・奇病に対する歴代の対応方法・治療方法・治療薬などの記載もあり、現在の臨床にも参考となる情報が少なくない。

 しかし1万種というのは現存する書をカウントした数に過ぎず、実際はそれを遙かに上回る書物が著されていたはずだが、多くは様々な事情で散逸していった。一方、日本は遣隋使以前から江戸期まで、中国が唯一の先進文化・文明国であったため、医薬書も大量に輸入し続け、保存してきた。

 こうした日本現存の中国医薬古典籍と中国現存書を対比すると、すでに中国に失われてしまっている書籍を発見することができる。その概数は真柳らの調査で200種を越えるが、範囲を善本性の高い版本や古写本まで広げると、中国医学の重要古典籍の過半は日本に善本が保存されているといって過言ではない。

 こうした日本現存の善本古医籍と中国散逸古医籍の情報は、一種の医療資源として多様な将来的価値がある。真柳らはこれに着目し、10年弱を費やしてその全情報をほぼ集積し終えた。

8.参考論文・書籍:
 『日本現存中国散逸古医籍(3)』共編著(日本国際交流基金アジアセンター助成事業「日本現存中国散逸古医籍の伝承史研究利用と公表」研究報告書、全142頁、中国中医研究院中国医史文献研究所・茨城大学人文学部編集、北京・中国中医研究院中国医史文献研究所発行、2000年3月31日)、『日本現存中国散逸古医籍(2)』共編著(国際交流基金アジアセンター助成事業「日本現存中国散逸古医籍の伝承史研究利用と公表」研究報告書、全122頁、中国中医研究院中国医史文献研究所・北里研究所東洋医学総合研究所医史学研究部編集、北京・中国中医研究院中国医史文献研究所発行、1998年3月31日)、『日本現存中国散逸古医籍(1)』共編著(国際交流基金アジアセンター助成事業「日本現存中国散逸古医籍の伝承史研究利用と公表」研究報告書、全122頁、中国中医研究院中国医史文献研究所・北里研究所東洋医学総合研究所医史学研究部編集・発行、1997年3月31日)ほか。

9.特許出願状況:なし。

10.予想される用途・利用分野:貴重・希少医薬古典籍の出版とその情報提供、難治疾患の治療方法・治療薬の開発にかんする情報提供ほか。

11.連絡先:〒310-8512 水戸市文京2-1-1 茨城大学
  学部:人文学部  代表教官名:真柳 誠
  Tel/Fax:029-228-8194
  E-mail:makoto@mito.ipc.ibaraki.ac,jp
  URL:http://www.hum.ibaraki.ac.jp/chubun/mayanagi.html

12.キーワード:中国医薬古典籍、中国散逸書、医薬資源

13.その他参考事項:
 当研究は中国衛生部(日本の厚生労働省に相当)の評価も受け、現在は中国の科研費もうけ、範囲を世界に拡大して中国との共同調査・研究を実施している。