2001年8月24日夕食 台北の自助餐(セルフサービス弁当・食堂)
(南港区研究院路の自助餐にて、70元=約250円)
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 台湾には「自助餐」という、日本にはないユニークな形式の弁当屋兼食堂がどこにでもある。中国大陸でも私は見かけたことがない。この自助餐を訳せばセルフサービス食堂となろうが、カフェテリアや日本の大衆食堂のように、一品一品が皿に盛られて値段がついているのとは違う。またセルフサービスした結果は「ホカ弁」と同じになり、左下写真のように店の内や外に食べる席もあるが、その過程と料金計算がホカ弁やカフェテリアとは相当に違う。

 台湾でも店によって微妙に違うようだが、その過程はこうだ。まず店に入って発泡スチロール製などのふた付きホカ弁風の容器をもらう。これには盛りつけるのがご飯とオカズの場合、オカズだけの場合、また量の多少などで各種タイプがあり、すばやくタイプを指示しないといけない。後がつかえるから。そしてご飯を盛ってもらうが、むろん私は常にダイエット中なのでご飯なし。

 つぎに写真上右下左右のように各種並んだオカズを、好きな種類を好きな量だけ、自分勝手に容器に盛りつける。ちなみに上下の写真は撮影角度を変えただけで、みな同じ店の同じオカズ台。だいたい30種前後はあるので、本当に目移りする。通いつめてみると毎日のメニューは大差ないが、店が違うとメニュー・味付けもいささか違う。ただしどの店内にもタダのスープ(まーまーの味)があるのは同じ。

 さて逡巡しつつ、オカズの付近に置いてある大きめの匙で満足のゆくまで盛りつけたら、それを持っていって会計する。この店なら上左右写真の右端がその場所。ここには概ねオカミがいて、盛りつけた容器ごと手渡さねばならない。それを彼女は手に持って一瞬にらむ。と同時に重さも瞬時に感知し、1秒も間をおかずに「○○塊銭(元)」と宣告してくれる。

 この計算はほとんど神業といっていい。その勘定に私は疑問を感じたことがなかったし、文句をつけている客を見たこともない。要するに安いのだが、勘定は5元単位くらいでスッキリしている。ちなみに各オカズに値段、たとえば100gいくらとか、1匙いくらなどを書いてあるのも見たことがない。

 台北留学中の大平君という、かつての私の学生とも話したことがあった。日本ならこんなアバウトな勘定に文句をつける細かい人間が多くて、この方式は成り立たないだろう、などと。たぶん日本以外の国でも。ベトナムでもやや似た形式の平民食堂というのに通いつめたが、どこでも客ごとに注文品をノートにつけて細かく勘定していた。

 ともあれ以上の結果できた今晩の私の酒肴が上の写真。が全景、がふたを開けたところ。台湾では箸を中国語で「{竹+快}子」というのに、この箸袋にはいかにも日本語で「御祝箸」と印刷されている。これには、やはりウームと唸るしかない。

 でメニューだが、上段左から空心菜炒め、中央はご存じ台湾定番のメンマ風竹の子煮、右は皮つき豚バラのトロトロ醤油煮、下段左はナスの醤油炒め、右はキャベツ・ニンジン・豚肉の塩味炒め。この計5品70元=約250円と台湾紹興酒で、今晩も私の心豊かなひとときが過ぎてゆくのだった。