手段としての特定臨床研究

「承認申請が目的ではない.あくまで必要な人に必要な薬を届けるという目的で行う事業であり,その事業を行う手段として最も実行可能性の高いのが特定臨床研究だった.その結果を承認申請のための資料として使うかどうかはまた別の話」そんな(決して能天気ではない)模範解答が聞こえてくる.
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サノフィの黄熱ワクチン、欠品を特定臨床研究でカバー  厚労省が発表 日刊薬業 2018/9/14
 国内で製造販売承認されている唯一の黄熱ワクチンであるサノフィの「YF-Vax5人用」(YF5)に、今年11月ごろに欠品が生じる見通しであることが分かった。ただ国立国際医療研究センターが中心となり、フランスのサノフィパスツールが海外で供給している国内未承認の黄熱ワクチン(「スタマリル」)を特定臨床研究で11月ごろから日本で接種できる体制を整えるため、黄熱の流行地域に渡航する人に対する必要な予防接種はこれまで通り行うことができるという。厚生労働省健康局結核感染症課が14日、発表した。(中略)

 国内ではYF5が唯一の黄熱ワクチンで、月約1000~1500人が接種を受けている。YF5は1バイアルで5人に使用する製剤だが、製造元である米サノフィパスツールの方針により、YF5の製造を中止し、1バイアルを1人に使用する新しい製剤に切り替えるための準備が進められている。しかし切り替えまでに想定以上の期間を要するため、今年11月ごろにはYF5に欠品が生じる見込み。新しい製剤の供給開始時期は現時点では不明。
 
 こうした状況を踏まえ、臨床研究法に基づく特定臨床研究の形で、11月ごろから日本でスタマリルを接種できる体制を整えることになった。サノフィの協力を得て実施するもので、研究には国立国際医療研究センターや東京医科大病院、日本検疫衛生協会東京診療所、17の検疫所が参加する予定で、これら施設で接種が可能となる見込み。先月27日に認定臨床研究審査委員会の承認を受け、実施に向けた準備を進めている。スタマリルの接種を受けた場合もイエローカードは発行される。
 
 スタマリルはWHOから認められているワクチンで、欧州など70以上の国や地域で使用されており、これまでに4億回接種分を超えるワクチンが出荷されているという。
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