FDAによるたばこ規制の歴史
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米国FDAが味付け電子タバコを禁止するかもしれない BioTodayニュースレター 2018年9月17日
未成年者の電子タバコ使用を防ぐ取り組みを米国FDAが開始し、味付け電子タバコ(Flavored E-Cigarette)を場合によっては禁止するかもしれません。もしメーカーが未成年の若者の使用を防ぐ手立てを講じれないなら味付け電子タバコの一部あるいは全てが販売禁止になるだろうとFDAは言っています。

FDA Threatens to Take Flavored E-Cigarettes off the Market
FDA takes new steps to address epidemic of youth e-cigarette use, including a historic action against more than 1,300 retailers and 5 major manufacturers for their roles perpetuating youth access
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FDAによるたばこ規制の歴史を調べようと私が思ったのは,上記の記事がきっかけだった.おそらくそれまでもFDAによるたばこ規制を報じた記事は読んでいたのだろうとは思うのだが,「当然だ」と思っていた可能性が高い.厚労省は(受動喫煙に関する規制はできても)たばこそのものに対する規制できないのだから,もっと以前に,FDAによるたばこ規制の歴史に興味を持って当然なはずだったのだが.いずれにせよ,調べてみると,米国でも一筋縄ではいかない話だったことがわかる.なお,この問題はそうそう簡単にデータを集めて考察をまとめることができないので,少しずつ書き足していくことになる.

1998年初頭の時点(21世紀のたばこ対策検討会(1998/2/24開催)資料 4-3 米国のたばこ対策の動向より)
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米国では、ニコチン依存に対する認識とたばこ産業の所業が明らかになり、連邦取引委員会(FTC)からFDAへと規制権限の移譲が行われようとしている
●従来、連邦レベルでは、公衆衛生局(PHS)が調査研究・啓発普及の観点から、「公衆衛生総監報告書」の刊行や地域介入プログラムの実施などを行い、連邦取引委員会(FTC)が反トラスト法と消費者保護の観点から、広告規制及び警告表示、有害成分(タール・ニコチン・一酸化炭素)の測定・表示を行ってきた1 。しかし、1994年食品医薬品局(FDA)は独自の調査事実(表1)に基づき、たばこ産業は製品中のニコチンを意図的に操作しているとし、多くの喫煙者が未成年のうちに喫煙を開始しニコチン依存症に陥ることから、食品医薬品化粧品法*の下に、未成年の薬物使用防止の観点から、たばこ製品の販売・広告を規制する方針を公表し、1995年に規制案を発表した2。
(*食品医薬品化粧品法は、「身体の構造や機能に影響を与えることが意図された」製品(食品を除く)を医薬品または医療器具である、と規定。ニコチンは精神変容作用、依存性、体重減少作用があり、製造者はこれを意図していることが立証されている。)
●クリントン大統領もFDAの方針を支持 3し、紙巻たばこと無煙たばこの子供と青少年への販売・広告規制規則(表2)が1996年に公布され、紙巻たばこと無煙たばこは依存性ならびにその他の重要な薬理作用をもたらす薬物、ニコチンのデリバリーデバイスであるとして、FDAは規制を行うことになった4。しかし、FDAの権限を妨げるために、広告規制は違憲であるとのたばこ産業による訴訟や反対法案の提出など様々な抵抗が試みられ、施行は見送られている。
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【アメリカ】未成年の喫煙防止とタバコ規制に関する法案(国立国会図書館調査及び立法考査局 外国の立法 (2008.7)
* 法定年齢(18 歳)未満の者の喫煙規制や輸入原材料、風味添加等による喫煙の促進や健康への影響を調査し、規制することを FDA(連邦食品医薬品局)の権限とする等を主な内容とする家族喫煙防止及びタバコ規制法案が、両院の委員会でそれぞれ審議された。
上院法案(S.625)は、2007 年 2 月 15 日提出、同年 8 月 1 日には保健教育労働年金委員会で修正の上、委員会報告書を提出する運びとなっていた。当時は直ちに本会議審議が行われるとも言われたが、2008 年 6 月現在まだ動きはない。一方、同時期に提出された下院法案(H.R.1108) も、委員会報告書を提出すべきと決定されたのは翌年の 4月 2 日であった。エネルギー商業委員会では、中小タバコ企業等の立場を代弁し法案に反対とみられた共和党委員にも賛成者が多数出たが、反対派に配慮した修正も行われた。
(以下略)
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たばこの規制強化に関する欧州及びアメリカの動き(中央労働災害防止協会HP たばこの規制強化に関する欧州及びアメリカの動き 2009年11月13日)
欧州委員会(EC)は、6月30日に加盟各国に対し、たばこの煙による害を防止する法律の制定を求める理事会勧告案を提示した。EU25ヶ国におけるたばこによる死者は、内輪の推計で2002年において、7万9千人に達するとされている。 (この中には、1万9千人の非喫煙者が含まれる。また、家庭におけるものが7万2千人、職場におけるものが7300人である。)このような事態を打開するため、イギリスなどにおいて実施されている厳しい規制を他の加盟国にも拡大しようとするものである。
一方、アメリカにおいては、連邦食品医薬品局(FDA)に対し、 たばこの規制に関する権限の強化を与える法律にオバマ大統領が署名して発効した。 未成年者の喫煙防止に重点が置かれ、販売活動の制限の強化などが実施される。(中略)

アメリカ家庭禁煙及びたばこ規制法に関する情報

食品医薬品局(Food and Drug Administration-FDA)のサイト(News & Eventsなど)に掲載の主要記事

主な規制事項と実施時期

2009年10月:フレーバー(甘美、果実、スパイスなど)の使用禁止

2010年1月: たばこ製造者、輸入者によるたばこの成分、添加物のFDAへの届出

2010年4月:若年者のたばこ製品への近接制限及び外観に関する1996年の規制の改正

2010年7月:FDAの承認の無い限り、 “light,” “low,” “mild”の表示をたばこ製品に行うことの禁止

2010年7月:煙のないたばこの警告ラベルの改正及び強化

2012年10月:紙巻たばこの警告ラベルの改正及び強化

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