調剤は伝統芸能なのか?

「誰かが新たに調剤できるようになったわけではない」.ああ,そうだね.「誰か」ではなくて,ロボットが調剤するようになったのだから.

「衝撃の通知」だって??「もう無法地帯になる」だって??,バカ言っちゃいけない.ロボット禁止法とか,ラッダイト運動支援法とか,聞いたことあるかい?ないだろ!もともと法律なんかありゃしねえのさ.ましてや,今回は「通知」.つまりただの「お知らせ」じゃねえの.これこそが「法律」が無い何よりの証拠!!

自動車を工場で大量生産できるようになったのが1908年のアメリカ.ようやく日本で自前の工場で自動車を作れるようになったのが1933年.そのはるか 以前に調剤をロボットに任せることは十分可能だった.それを今日まで阻んできたのは,一体誰のどんな力だったのだろうか?それは絶対に「法律」ではない.

既に60年代には,自動車から,袋詰めの煎餅に至るまで,何もかもが「オートメーション」でできるようになった.MRIも眼底も内視鏡も,みんなロボットが読影する時代,そんな時代に,既に大東亜戦争前に全自動化できていたはずの調剤だけが,伝統芸能かの如く「保護」されている
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賛否両論非薬剤師の調剤業務  衝撃の通知を公表した意図 医薬経済2019/71/
「もう無法地帯になる。何をやってもいいになる。しかし厚生労働省はよく出したねぇ」
4月2日付の医薬・生活衛生局総務課長通知「調剤業務のあり方について」が波紋を呼んでいる。非薬剤師による業務範囲を行政が示したものだが、冒頭の発言のように「歓迎」のチェーン企業と、それを「けん制」する薬剤師会とで見解は分かれる。
通知は「薬剤師が最終的な責任」をとることを前提に「薬剤師以外の者に実施させることが可能」な調剤業務を明示。ピッキングと呼ばれる「医薬品の必要量を取り揃える行為」などを、薬剤師の指示に基づき一般の事務員でも可能と通達した。これまではグレーゾーンで、判断が割れていた業務を明解に「シロ」と判定したのだ。
日本チェーンドラッグストア協会は「画期的通知で大歓迎」とコメントし、日本保険薬局協会も「曖昧模糊となっていたものが明確になった。歓迎する」と称賛した。対して、日本薬剤師会は「誰かが新たに調剤できるようになったわけではない。薬剤師が管理し、任せることが明確になっただけ」とチェーン企業をけん制している。
こうした見解が分かれる通知をなぜ、今、このタイミングで、医薬局は公表したのか――。
通知のなかで医薬局は、18年12月の厚生科学審議会制度部会報告書が「調剤機器や情報技術等も含めた業務効率化のための検討を進める」と指摘した点を受け、「整理」したと説明している。
しかし、それだけのハズがない。実は昨年、ある大学病院が医薬品のピッキングを機械化していた。自動で医薬品をカートに揃えて運び、受け取った薬剤師が監査して、患者に渡すというシステムを構築。これを知った内閣府の規制改革推進室が、医薬局総務課に照会したという。
「薬剤師が監査さえすれば、医薬品を取り揃えるのは薬剤師でなくても可能か」と。総務課の回答は「できます」だった。つまり通知の随分前に、非薬剤師が可能な業務を関係者に告白していたのだ。
そして今春、医薬局は薬機法改正案を根回しするなかで一部の政治家から、この事案に関してもプレッシャーを受けていた。ところが、圧力を逆に利用して日薬を説き伏せ、さらに事実がひとり歩きする前に公表したのだった。
忖度のないシビアな法的根拠に則った解釈を、政治的な動きも利用しての公表だった。これが衝撃の通知の真相だ。
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薬剤師業務はAIと共存‐専門家として付加価値必要 第22回日本医薬品情報学会学術大会 薬事日報2019年7月3日
■医薬品情報学会で議論
人工知能(AI)の導入で薬剤師の仕事が奪われるのか――。急速に進むAI開発によって薬剤師業務に置き換わる可能性が大きな注目を集め、脅威論も広がる中、6月29日に札幌市内で開かれた第22回日本医薬品情報学会学術大会では、医療現場の医薬品情報(DI)業務にAIを活用している施設の事例をもとに議論を展開。DI業務や対物業務の部分をAIで効率化しつつ、薬剤師の専門性で付加価値を創造することにより、AIと共存できるとの意見で一致した。今後、AIをうまく活用しながら薬剤師業務を発展させていくことの重要性が共通認識となりそうだ。

望月伸夫氏(国立がん研究センター東病院薬剤部)は、AIを活用した医薬品情報問い合わせ支援システムの開発事例を紹介。現在は国立がん研究センター中央病院・東病院、国立国際医療研究センター、国立循環器病研究センターの4施設で問い合わせデータベースの登録を進めているが、今後は国立病院機構に登録を拡大し、実証実験を実施していく方向性を提示。「それぞれの患者に適した個別の医療情報の提供が求められる時代になるのではないか」と展望した。
一方、望月氏は、AIと薬剤師の専門性について言及。コミュニケーションや答えがない問題の判断評価など、AIが苦手なことに力を入れていくことが重要と強調した。その上で、「知識が多いから専門家ではない。いかに付加価値を創造していくかを考えていかなければならない」と述べ、「知識が多ければ専門家とみなされた時代は終わった。専門家として責任ある態度が求められていく」との考えを示した。

神崎浩孝氏(岡山大学病院薬剤部)は、AIを薬剤師業務に生かすことについては、「AIに奪われて良い仕事は、もともと効率化すべき仕事」との考えを示し、「完全にAIに置き換わることはないのではないか」と述べた。その上で、AIを導入した医薬品情報提供システム「aiPharma」の開発事例を提示。DI室への問い合わせ事例をAIに学習させ、医薬品情報の提供と管理を進めてきた中、「今後は医薬品情報の提供だけではなく、情報の収集から管理、共有、提供までを一元管理できるシステムの構築を目指したい」と展望した。

湯本哲郎氏(星薬科大学先端生命科学研究所応用医療情報研究室)は、AIを活用したかかりつけ薬剤師支援システムの開発例を紹介した。かかりつけ薬剤師について、高度で幅広い知識を活用した課題解決能力を備えた「ハイパフォーマンスジェネラリスト」であるべきとの考えを示し、生涯教育や認定取得など既存の方法論では限界があると指摘。「情報リテラシーの部分をAIで支援したい」と有効活用を訴えた。

システム開発ベンダーの立場から、木村隆夫氏(木村情報技術)は、DIにおけるAI活用について、AIに利用するDIの構造化データが提供されていないことやインタビューフォームなど製薬企業に著作権があるための利用制限といった問題点を列挙。「データベースを構築しない限り、AIの恩恵には預かれない」として、全医薬品の問い合わせの受け答えに対応するAIを構築してプラットフォーム化するAI-DI構想を立ち上げたことを報告した。
さらに今後、添付文書や基本的な問い合わせを搭載したAIシステムを年内にリリースすると共に、新たに病院薬剤部DI室、保険薬局、製薬企業、医薬品卸などによる「AI-DI連携コンソーシアム」を立ち上げる構想を明らかにした。木村氏は、年内に30施設の利用を開始し、2020年6月までに100施設への拡大を目指す計画を示し、システムへの問い合わせ登録を呼びかけた。
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「調剤なんぞ,ロボットに任せよう.ロボットでは到底為し得ないたくさんの任務が我々を待っている!」

薬剤師会がそう宣言し,AI・ロボットがあらゆる分野に進出してくるこれからの時代を生きていかねばならない若い人達に,薬剤師が進むべき道筋を示さない理由は何だろうか?

参考
医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について(医政発0430第1号 平成22年4月30日)
プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)の円滑な進め方と具体的実践事例(Ver.1.0)
アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり

以下は,管理薬剤師.com アメリカの医療制度(2013年12月現在)より
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メールオーダー薬局
PBM(Pharmacy Benefit Manager 薬剤給付管理会社)は、保険会社の薬剤給付プログラムのみを管理する会社で、処方薬に対する給付管理を提供するため、HMOやPPO、自家保険雇用主、保険会社、メディケイドやメディケアといった管理ケアプラン、政府、国務省、自治体などの政府機関とも契約している。PBMにもいくつかあり、それぞれ独自のリアルタイム薬剤チェックシステム(相互作用など)や、患者スクリーニング、患者・医師教育、処方薬管理、ジェネリックへの変更、メールオーダーサービスといった機能で差別化を図っている。

症状が安定している慢性患者に使用される薬をメールオーダーサービスを介して、メールオーダー薬局工場による自動調剤→最後だけ薬剤師がチェック→自宅へ配送でに90日投与するということも比較的頻繁に行われている。処方薬の売上の22%はメールオーダー薬局によるものという。

薬局のスタッフ
アメリカでは必ずしも薬を渡すときに薬剤師が投薬をしなくても良いので、新しい薬が追加になった時等以外で症状が安定しているのであれば、薬剤師以外が渡してもよいばかりか、薬剤師以外の配送でさえも問題ありません。その代わり必ず薬剤師が調剤監査をする必要はあります。薬剤師の役割は薬をピッキングしたりただ渡すだけことではなく、患者に喜ばれるサービスの向上、収益の管理、ビジネス業務にまでに至る、どうすれば患者さんにより効率的にサービスを提供できるかを考えることのほうが重要だったりします
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