ワクチンデマの使い道
-AZワクチン「40歳以上」に引導を渡したロイターのデマ
ロンドンに本社を置くロイターがアストラゼネカ(以下AZ)ワクチンに関するステルスマーケティング(ステマ)記事を発信しても大した話題にはならない。ところがそれがNEJM掲載論文を出汁に使ったデマとなれば話は別だ。以下1)このロイターの記事が毎度おなじみ北陵クリニック事件を凌駕する明白なデマであること、さらに、2)記事が取り上げているNEJM掲載論文データがAZワクチンの適応年齢は60歳以上であると示していること の2点を明らかにする。なお、ロイターの原文記事は、”Age restrictions on AstraZeneca shot have ended reports of rare clots -UK scientists”を御覧いただきたい。
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アストラ製ワクチン接種後の血栓、接種年齢制限で発症に歯止め=論文 2021年8月12日7:26
[ロンドン 11日 ロイター] - 英国で5月にアストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン接種年齢を40歳以上に制限して以降、副反応としてまれに起きるとされる血栓症の新たな発症に歯止めがかかった――。英科学者は11日、医学専門誌に公表した論文(池田注:N Engl J M DOI: 10.1056/NEJMoa2109908)でこう指摘した。アストラゼネカとジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンを接種した人のごく一部で、ワクチン誘発性免疫性血栓症血小板減少症(VITT)を発症する副反応が認められている。
今回の論文でも、50歳未満の接種者の約5万人に1人が発症すると判明していると説明。この数字は従来の推計値に一致するものだ。研究を主導したオックスフォード大学の血液学者スー・パボード(Sue Pavord)氏は、こうした副反応は通常、若い人に影響を及ぼし、特に脳出血をもたらす場合は危険が大きいとの見方を示した。ただ同氏は、40歳以上に接種を制限した措置の成果が表れて、接種開始時に急増していた副反応の件数は落ち着いており、過去4週間程度はゼロで推移していると説明した上で「これは多大な安心を与える」と語った。 
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 まず、著者らの名誉のために断っておくが、上記論文の元となった研究の目的は、あくまでAZワクチンによるVITTの臨床像を明らかにすることであって、決してVITTの発現に対する年齢制限の影響を検討したものではない。さらに、論文中にもSupplementary Appendixにも、40歳をカットオフポイントとして何らかの解析を行った形跡は一切認められなかった。従って、このデマ記事の責任は、偏に記事を書き、それを掲載したロイターにあり、論文著者・研究者達は一切責を負わない。なお、上記NEJMの論文のFigure 1を下記に引用したが、この図にはひどい校正ミス(見落とし)があるので注意されたい。論文では青が死亡Died、赤が生存Aliveとなっているが、実 際には死亡49名に対し存命170名なので、本当は赤が死亡で青が生存である。残念なことに著者校正でもスルーされてしまったようだ。他山の石としよう。←2021年8月13日午前10時40分に確認したところ、訂正されていた。一方。私の手元には未訂正のPDFがある。もちろんメルカリに出したりはせず、家宝として大切に保存しておく。

タイトルからしてデマ
そもそもタイトルの「接種年齢を40歳以上に制限して以降、副反応である血栓症の新たな反応に歯止めがかかった(原文はendedだからもっと明確に血栓の発生が「止まった」)」自体がデマである。なぜならば:
1.NEJM掲載論文には記事の骨子に該当する記載はない:「40歳以上に制限したことが血栓症の発生に歯止めをかけた」とは、引用論文のどこにも書いてない。それもそのはず、
2.むしろ40歳以上が高リスク群だからだ:左に示す(クリックして拡大)健康被害者の年齢分布の図を見ると、患者数が多いのは40歳未満(35人)よりも40-59歳の年齢層(130人)である。(カッコ内は棒グラフの棒の長さを測って推定し合計した値)。このことからも、血栓症の発生を最も効率よく防ぐためには40歳以上ではなく、他の欧州諸国に倣って55歳~60歳以上にすべきだったとの結論を引き出せこそすれ、「(高リスク群がすっぽり入る)40歳以上の年齢制限で血栓症の歯止めがかかった」とは絶対に言えない。
3.同様のエビデンスがスコットランドからも既に出ている:同じ英国はスコットランドのグループもやはり40-59歳が血栓症の高リスク群であるという結果を得ていることは既に紹介した。結局イングランドから出たNEJMの論文も、スコットランドから出たNature Medicineの論文も、「やっぱり60歳以上が妥当だったよねという他の欧州諸国と同じ結論に辿り着いたわけだ。
イングランドとスコットランドの意見がぴったり一致するなんて!!これを天啓と言わずしてなんと言おうぞ!!
以上、このロイターのデマを打ち破った結果、AZワクチン投与は60歳以上とすべきことが改めて明確になった
    だからと言って全て問題が解決したわけではない。何せ発信源は世界有数の通信社である。既にこのデマは世界中に広まってしまっている。ワクチン販促キャンペーンに賛同している日本の一部のメディアも、ロイターの罠に引っかかったふりをしてこのデマを拡散している(例、朝日YahooNewsweek)。SNSもこのデマでどんちゃん騒ぎだ(と思う。実は私はSNSとは一切無縁の人生を送っているので本当のところは知らない)
    嘘つき村は、新型コロナウイルスワクチン接種推進担当大臣は(また長い名前だな)、そしてワクチンデマバスターは、この世紀のデマにどう対処するのだろうか?「これはでっち上げであってデマではないので当方の所轄ではありません」とでも言うのだろうか? えっ?肝心のロイターはどうするんだろうかって?決まってるさ、何もしないさ。だんまりを、知らぬ顔の半兵衛を決め込むだけさ。アビガン事件でどんちゃん騒ぎした連中や元大阪府警科捜研の土橋 均と同じようにね。正に沈黙は金なのさ。

役人はこうして嘘をつく
731部隊再び
新コロバブルの物語
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