たかりから思いやりへ
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研開費は半減、接待費は消滅へ 製薬各社の資金提供、透明性GLから5年 日刊薬業 2018/9/27 04:30
 日本製薬工業協会が定めた「透明性ガイドライン(GL)」に基づいて、製薬各社が2017年度に医療機関に提供した資金の内容が明らかになってきた。GLに沿った情報公開が始まった12年度と比較すると研究開発関連の費用はほぼ半減。接遇(接待)費は外資を中心に消滅していく流れにあることが分かった。(後略)
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接待費消滅をすでに実質的に実現しているのが外資系に多いのは,この手の日本的「使途不明金」対して,従前から本社が大変厳しかったからだ.こうして外資系企業(日本支社)はもちろん,実は国内企業でも,営業以外の部門では,接待費に対してはかねてから強い批判があったのだが,「薬は俺たちが売っているんだ」との強い発言権を持つ営業部門の「利権」として,接待費はアンタッチャブルとなっていた.

「『弁当くらいで処方は変わりませんとほざく奴らには弁当なんか出す必要はこれっぽっちもない.弁当を出さなければ奴らは来ない.誰も来ない「情報提供」なんて意味がない.だったらそんな「情報提供」なんかやめちまえ!」 そういう「正論」は以前から製薬企業の中でもあった.しかし,その正論は長らくsilent majorityに留まっていた.お医者様達の「仕返し」が怖かったからだ.

そんなsilent majorityにとって「千載一遇の好機」となったのがディオバン事件と臨床研究法である.今頃,外資系の中でも営業部門以外は溜飲を下げているだろう.一方,国内企業の営業部門は少しは抵抗姿勢を見せるだろうと思われていたが,今回の数字を見ると,営業命だったはずの武田でさえ87%の削減と,やはり接待費消滅の方向は明らかである.諸行無常である.

今や平家の落ち武者も同然となった営業の方々に対して誰も「仕返し」しようとは思わないだろう.もう弁当は出て来ないとわかった今,お医者様たちが彼らに対して「たかり」ではなく,「思いやり」を発揮する時代になったのだ.

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