医療記事拾い読み 2019


タバコ会社と同じレベル
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Novartisの不正の温床をなんとかするには企業文化の見直しが必要/FiercePharma BioToday.com 2019-10-15
 トランプ大統領の元弁護士への疑惑の120万ドルの支払いや脊髄性筋萎縮症(SMA)遺伝子治療Zolgensma (onasemnogene abeparvovec) のデータ捏造でNovartisは特定の人物を犯人に仕立てましたが、Novartisに蔓延する不正の温床をなんとかするには特定の人物をやりだまに上げるのではなく企業文化の見直しこそ必要と企業倫理専門家Hui Chen氏が製薬ニュースFiercePharmaに話しています。
 Novartisは世界で不正に関与しています。欧州や韓国では賄賂、イタリアでは価格強制、日本ではデータ捏造がありました。
Novartis appears to have a systemic ethics problem. What can it do make amends? / FiercePharma
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RWE/RWDとは何か?
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試験結果の殆どは平素の観察記録では導けない BioToday.com 2019-10-12
影響力の大きい医学誌(NEJM, Lancet, JAMA, BMJ, Annals of Internal Medicine, JAMA Internal Medicine, PLoS Medicine)に2017年に掲載された200試験(9割超が無作為化試験)結果のうち保険請求や電子カルテに記録された平素の観察記録(Real-World Data)で同じ結果を導きうるのは僅か15%のみでした。観察データは無作為化試験(RCT)結果を補完しうるが、RCTに完全に取って代わるものにはならないだろうと著者は言っています。
Researchers find 15% of trials could be replicated using real world data / Endpoint
Replicating RCTs With Real-World Data Is Unlikely for Most Trials / AJMC
 Feasibility of Using Real-World Data to Replicate Clinical Trial Evidence. JAMA Netw Open. October 9, 2019

卵巣癌と前立腺癌の両方に効く
リムパーザ、前立腺癌試験がまた成功  (2019年8月7日発表) 海外医薬ニュース(2019年8月11日号)から
アストラゼネカとMSDは、両社で共同開発販売しているPARP阻害剤、Lynparza(olaparib、和名リムパーザ)のPROfound試験が成功したと発表した。PARP阻害剤は卵巣癌や乳癌の治療薬として複数の製品が承認されているが、今回の第三相試験は前立腺癌という男性の癌であることがユニーク。適応拡大申請に向かうのではないか。→もっと読む
FDA、潰瘍性大腸炎用途でゼルヤンツを警告強化 (2019年7月26日発表) 海外医薬ニュース(2019年7月28日号)から
FDAは、ファイザーのXeljanz(tofacitinib、和名ゼルヤンツ)について、一部用途の限定・警告強化を行った。リウマチ性関節炎や乾癬性関節炎、潰瘍性大腸炎の治療薬として承認されているJAK3阻害剤だが、リウマチ性関節炎の安全性確認試験で高用量群(10mgを一日二回投与)(*)に肺塞栓や死亡リスクが見られたため、この用量が承認されている潰瘍性大腸炎のレーベルを見直したもの。

EMAも今年5月に、血栓リスクが高い患者には10mgを用いないよう暫定的勧告を行っているが、FDAは、潰瘍性大腸炎の適応を、他の薬では十分に反応しない、または重度有害事象を経験した患者に限定した。同時に、この用量は血栓リスクが死亡リスクが高まることを枠付警告した。
FDAによると、当該臨床試験で発生した肺塞栓の頻度は19例/3884人年、TNF阻害剤を用いた対照群は3例/3982人年だった。死亡は45例/3884人年、対照群は25/3982人年だった。

*:日本での承認用法・用量は5 mg 1日2回投与

リンク: FDA Drug Safety Communication. FDA approves Boxed Warning about increased risk of blood clots and death with higher dose of arthritis and ulcerative colitis medicine tofacitinib (Xeljanz, Xeljanz XR) 
食道癌のスクリーニングが見えてきた
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血中マイクロRNAに着目で食道がんを早期から検出可能に国がんなど診断モデル作成 ミクスオンライン2019/07/12

国立がん研究センターなどで構成される研究チームは7月11日、血液から高い精度で食道がんを検出できる診断モデルの作成に成功したと発表した。研究グループは、国立がん研究センターバイオバンクなどにより集積された血液検体を活用し、過去最多となる約5500例の血清中のマイクロRNAを網羅的に解析。食道がんで有意に変化する複数のマイクロRNAを同定に成功した。このうち、6種類を組み合わせて作成した診断モデルを活用すると、食道がんが早期から高い精度で検出することが確認できたとしている。

◎バイオバンク蓄積の血液マイクロRNAを解析過去最多
研究では、バイオバンクに蓄積された食道がん566例と、がんを有さない4965例の計5531例全例の血液(血清)中マイクロRNAを網羅的に解析し、食道がん患者で有意に変化する多くのマイクロRNAを同定。統計的解析により、食道がん患者を特異的に判断できるモデル(診断モデル)を作成した。
解析対象例を探索群と検証群に分け、精度を検証した結果、感度は96%、特異度は98%だった。陽性と判断できた感度をステージ別にみたところ、ステージ0(上皮内癌)は89%、T(粘膜下層)は95%、Uは98%、Vは97%、Wは100%だった。
食道がんは、予後不良ながんとされているが、早期診断されれば内視鏡を用いた負担の少ない治療で治癒を目指すことができる。一方、早期には自覚症状がないことがほとんどのため、簡便な診断マーカーの確立が課題となっていた。研究チームは、「過去に類を見ない極めて高い診断制度を、血液からのみの情報で実現できたことは大変意義が大きい」とコメント。今後、さらに臨床研究や最適化を重ねることで、食道がんスクリーニング検査確立の実現を目指す考えだ。
研究チームは、国立がん研究センター、国立長寿医療研究センター、東レ、ダイナコムで構成。13種類のがんについて、血液による診断システム開発を目指す「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発プロジェクト」の一環で行われた。なお、研究成果は米国科学誌「JAMA Network Open」に5月24日掲載されている。

Development and Validation of an Esophageal Squamous Cell Carcinoma Detection Model by Large-Scale MicroRNA Profiling. JAMA Netw Open. 2019 May 3;2(5):e194573. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2019.4573.

BACE1阻害剤またもや失敗
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ノバルティスら、BACE1阻害剤のAD予防試験を中止  (2019年7月11日発表) 海外医薬ニュース
ノバルティス、アムジェン、そしてBanner Alzheimer's Instituteは、CNP520(umibecestat)の第2/3相アルツハイマー病予防試験を中止すると発表した。加齢性アルツハイマー病のリスク因子であるApoE4遺伝子を持つ、認知機能は正常な患者を組入れて15年に一本、17年にもう一本、開始したが、中間解析で幾つかの指標で認知機能の悪化が示されたため、中止を決定した。

BACE阻害剤などアミロイド・ベータを標的とする薬の第三相アルツハイマー病治療試験は壊滅状態だ。製薬会社や研究者は、うちのコンパウンドは選択性が高い、脳血管関門を通過する、アミロイドベータが大きく減った、だから大丈夫だとばかりに臨床開発を続け、完敗した後は、発症した後では遅い、発症前に介入すべきと主張、多くの予防試験を立ち上げた。

BACE阻害剤の治療試験では認知機能の悪化がしばしば見られたが、今回、予防試験でも同じ轍に嵌る懸念が浮上した。暗闇の中で行進する時は、前を行く人が落とし穴に落ちたのに気付かずに続々転落するリスクがある。製薬会社は治療試験の経験から学ばず予防試験でも同じ失敗を繰り返すのだろうか?フェールしたプロジェクトの研究開発費は、上市に漕ぎ着けた新薬の価格に上乗せされるのだから、一般人にも、熟考を促す権利があるはずだ。
Novartis, Amgen and Banner Alzheimer's Institute discontinue clinical program with BACE inhibitor CNP520 for Alzheimer's prevention



ライチ脳症
単にヒポグリシンA (hypoglycin A)が原因というわけではない.ヒポグリシンAによる糖新生の抑制が低血糖から脳症を生じるのは,(家庭で食事が提供されない貧しい家庭環境にある)空腹の小児が昼間ライチを満腹になるまで食べてそのまま夕食を摂らずに就寝し,夜間の低血糖による脳症で死亡するのがほとんどの場合である.日本ではあり得ないことである.
How lychees are linked to encephalitis risk in malnourished children. Guardian 19 Jun 2019
Spencer PS, Palmer VS.The enigma of litchi toxicity: an emerging health concern in southern Asia. Lancet Glob Health. 2017;5(4):e383-e384

アスピリンによる一次予防は頭蓋内出血のリスクを上昇させる
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アスピリンの1次予防は頭蓋内出血を増やす 日本の研究を含むメタアナリシス JAMA Neurology誌から 日経メディカル 2019/6/4
心血管イベントの一次予防を目的とする低用量アスピリンの使用は、頭蓋内出血のリスク、特に硬膜下または硬膜外出血のリスクを上昇させる.
Frequency of Intracranial Hemorrhage With Low-Dose Aspirin in Individuals Without Symptomatic Cardiovascular Disease

在宅でICU並のモニタリング
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バイタルサイン測定Current Health装着装置を患者が自宅で使うのをFDAが許可 BioToday.com 2019-04-27
患者のバイタルサイン(呼吸率、酸素供給、脈拍、皮膚温、動き)をICU設置装置に匹敵する正確さで測定するCurrent Health遠隔監視装着装置を患者が自宅でも使うことを米国FDAが許可しました。自宅で過ごす患者をより早く手当し、再入院を減らして死を防ぐ米国主要病院や英国公的医療の幾つかの取り組みにCurrent Healthは既に協力しています。
Current Healthの病院での使用は今年2月に既に許可されています。Current Healthは患者の腕に巻き付けて使います。

Current Health Receives FDA Clearance for its Remote Patient Monitoring Solution, Enables Earlier Intervention and Improved Patient Outcomes /Global Banking & Finance Reviw
FDA clears Current Health’s hospital-to-home wearable, combining analytics and passive vital sign tracking / FierceBiotech
Current Health Receives FDA Clearance for its Remote Patient Monitoring Solution for In-Home Care, Demonstrates Reduced Hospital Readmissions / BusinessWire

遠隔医療の質
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米国の遠隔医療で「誤診断」多発、子供に医薬品の過剰処方 Forbes 2019/4/10
米国ではインターネット経由で医療診療を行う遠隔医療(telemedicine)が盛んになりつつあるが、遠隔医療で風邪の診断を受けた子供は、対面の診断と比較して、より多くの抗生物質を処方される傾向があることが分かった。これにより、過剰な処方が起きる可能性や、薬に耐性を持つウイルスが生まれることが懸念される。

医学ジャーナルのPediatricsで公開された論文で、2015年から2016年に呼吸関連疾患で保険医療を受けた、34万人以上の子供らの調査データが明かされた。そのうち、風邪の診断を遠隔医療で受けた子供は、クリニックで診断を受けた子供よりも抗生物質を処方されるケースが、非常に高いことが判明した。なかでも、かかりつけの医師の助言を受けないダイレクト・トゥ・コンシューマー型の遠隔医療で診断を受けた子供が、抗生物質を処方される割合は、50%以上に達していた。この割合は救急クリニックでは42%、一般的な診療所では31%だった。今回の研究では、遠隔医療の医師の医薬品の処方が、医療機関のガイドラインに沿っていない場合が多いことも指摘された。風邪の原因の多くはウイルス感染によるものだが、ウイルス性の風邪の場合、抗生剤は効かない。

研究チームは遠隔医療で抗生物質が処方された事例の10件に4件が、ガイドラインに合致しない処方だったとした。この比率は救急クリニックでは10件中3件、一般的な診療所では10件中2件だった。不必要な抗生物質の処方が、医薬品耐性を持つ細菌の増加や副作用、医療コストの上昇につながりかねないと、研究チームは指摘した。論文の筆頭執筆者のKristin Ray医師はAP通信の取材に「遠隔医療は便利なものではあるが、そこで行われる医療サービスの質と安全性を見極める必要がある」と述べた。

AP通信によると、先日行われた別の調査では、成人への抗生物質の処方に関しては、遠隔医療と対面の診断の間にほとんど差がなかったという。しかし、その調査では子供への処方に関するデータがほとんどなく、ダイレクト・トゥ・コンシューマー型の遠隔医療で風邪の診断を受けた子供は1%しかいなかった。遠隔医療はコストに敏感な忙しい消費者の間で支持を得つつあるが、その有効性についてはさらに調査を進める必要がある。

AIによるASD診断
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重症度、AIで自動推定自閉スペクトラム症静大、浜医大研究 静岡新聞2019年4月11日
静岡大情報学部の狩野芳伸准教授の研究室と浜松医科大子どものこころの発達研究センターの土屋賢治特任教授らの研究グループが、人工知能(AI)を活用して自閉スペクトラム症の重症度を自動推定するシステムの構築を進めている。資格を持つ専門家しか実施できない自閉スペクトラム症の診断尺度・重症度評価尺度の一つ「ADOS」の結果を自動推定することで、診断の客観性の向上や標準化が期待される。
発達障害の一つである自閉スペクトラム症は、発話のタイミングや文法、語彙(ごい)、話す速度などに独特の特徴がある。ADOSは自閉スペクトラム症の疑いがある対象者への診断面接法で、15の課題に対する反応を観察し特定の合計得点が一定の値を超えると自閉スペクトラム症と診断される。得点が高いほど重症度は高くなる。
研究は、8〜55歳の43人を対象に実施したADOSの計約700分の映像記録から音声データを文字で書き起こし、言葉の詰まりや中断、聞き取れない言語音、笑いなどの情報を追記した。作成したデータを用いてAIがADOS得点を予測すると、専門家による診断と同程度の結果が得られ、発話が多く含まれる三つの課題だけでも得点を予測できることが示された。
多様な指示語を適切に使う場合や笑いが多いほど重症度は低く、不明瞭語が多いと重症度が高いなど重症度の特定に有効な特徴も分かった。
グループは、2月に米国で開かれた世界最高峰の米国人工知能学会(AAAI)で研究成果を中間報告した。システムの性能向上に向けて、今後さらにデータ数を増やす。土屋特任教授は研究の意義について「自動化が実現すれば、誰もが早期に適切な支援を受ける機会が得られる」と語る。

Real-world dataからRCTの結果を予想
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新たな無作為化試験の結果をいつもの医療データから予想する取り組みが始まる BIoToday.com 2019-04-11
特別な縛りの無いいつもの医療からのデータ(Real-world data;RWD)の解析で無作為化試験(RCT)の結果をどれだけ予想できるかを調べ、医薬品の新たな用途の承認にいつもの医療データの裏付け(real-world evidence;RWE)をどう活用するかを探る米国FDAとBrigham and Women's Hospitalの取り組み・RCT DUPLICATEが拡大され、既に完了したRCTではなくこれから始める7つのRCTの結果をRWEを使って予想することが試みられます。
 RCT DUPLICATEは完了済みの30のRCTの結果をRWDで再現する試みとしておよそ1年前に始まりました。
 RCT DUPLICATEに加わった今回の新たな取り組みでもAetion社の解析技術がこれまでと同様に使われます。

Aetion Announces Partnership with the U.S. FDA and Brigham and Women’s Hospital/Harvard Medical School to Integrate Real-World Evidence into Regulatory Decision-Making / PRNewswire
FDA, Brigham and Women’s to test if RWE is ripe now for replacing clinical drug trials / Endpoint
FDA Expands Real-World Evidence Partnership with Brigham and Women's Hospital and Aetion / PRNewswire

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豊胸バッグに発がん性
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主流の豊胸バッグに発がん性 仏当局、メーカーに禁止を通達 AFPBB News 2019年4月5日
【AFP=時事】フランス保健当局は、豊胸手術に用いられる「インプラント」と呼ばれる人工乳腺バッグの主流のタイプに希少がんとの関連性が認められたとして、禁止する方針をメーカーに通達した。夕刊紙ルモンド(Le Monde)や公共ラジオが3日、当局が出した通達文を引用して報じた。
禁止の方針が示されたのは、表面がざらざらした「テクスチャードタイプ」と呼ばれるバッグと、ポリウレタン製のバッグだという。
ルモンドによると、2011年から豊胸バッグ使用者の追跡調査を行ってきた仏医薬品・保健製品安全庁(ANSM)が2日メーカーに対し、両バッグの「製造、販売、輸出入、販売促進、使用」を禁止する方針を伝えたという。同紙は「前例のない」決定だとしている。
同紙が公式ウェブサイトで公開した通達文でANSMは、これら2種類のバッグと希少がんの一種の未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)との関連性が認められ、「まれとはいえ深刻な危険」をもたらす恐れがあると指摘している。
ANSMは昨年11月、豊胸バッグ関連のALCL発症例が53件に上り、うちテクスチャードタイプの使用者が目立って多かったとして、同タイプではなく表面が滑らかな「スムーズタイプ」を推奨していた。
フランスにおける豊胸バッグの使用者は50万人いると推計されている。その大半が、表面が面ファスナーのようになっており、乳房組織に固定されるためずれにくいテクスチャードタイプを挿入しているとみられている。
参考:FDA Breast Implant-Associated Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL)

電子タバコに痙攣の副作用の可能性:FDAが精査へ
Seizures After E-Cigarette Use Prompt FDA Investigation
The FDA is investigating whether electronic cigarettes are causing seizures.Seizures are a known side effect of nicotine poisoning; they have occurred after people swallow e-liquids that contain nicotine.Now, the FDA says it's aware of 35 cases of seizures following e-cigarette use, mostly in adolescents and young adults, since 2010. This is likely an underestimate, the agency says, as many cases probably weren't reported.

Some seizures occurred after use of e-cigarettes plus other substances, including marijuana and amphetamines. Seizures occurred in both first-time and experienced e-cigarette users, sometimes after just a few puffs or as long as 1 day after vaping. Some cases involved people who'd previously had seizures. No specific brand has been implicated. The agency urges healthcare providers to report any seizures potentially related to e-cigarette use through the FDA's and NIH's Safety Reporting Portal (linked below).

Link(s):
FDA announcement
Safety Reporting Portal (Free)
Background: NEJM Journal Watch Pediatrics and Adolescent Medicine coverage of liquid nicotine exposure and children (Your NEJM Journal Watch registration required)

これがホントの
マッチポンプ!!
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たばこ協会のチラシ後援、総務省消防庁は条約違反  禁煙学会、心臓病・脳卒中救急搬送「最大の原因」 キャリアブレイン 2019年04月03日

日本禁煙学会は、総務省消防庁長官と全国消防長会会長に宛てた要望書をウェブサイトで公表した。日本たばこ協会が制作したチラシ(消防庁、全国消防長会 後援)を取り上げ、公的機関が加担するようなことは、たばこ規制枠組み条約(FCTC)に違反していると指摘。たばこが救急搬送される心臓病や脳卒中の 「最大の原因」であることなどを挙げ、消防庁と全国消防長会に抜本的な改善を求めている。
 日本禁煙学会が問題視しているのは、「寝たばこ、あなたも気をつけて」「絶対ふとんで吸わないで!」などと書かれたチラシ。同協会の役員全員がたばこ会 社の幹部で構成されていることに触れ、火災防止キャンペーンであっても、たばこ会社と連携して活動することは、「世界保健機関(WHO)の国際条約である FCTC第5条3項に違反」しているという。
 寝たばこによる火災や死亡、家の消失、巻き添え被害の「第一の責任」は、紙巻きたばこを製造・販売しているたばこ会社にあることなどを挙げ、「消防庁、全国消防長会が連帯責任を負っているかのごときチラシ等の作成」は間違っていると指摘している。また、消防庁に対し、たばこのパッケージなどに「火災防止からも、寝たばこやポイ捨て厳禁」の警告表示を載せることを、たばこ会社に求めていくよう促している。

何の己が桜かな
冬はもっぱら赤ワインにしていたのですが・・・論文の図
https://media.springernature.com/full/springer-static/image/art%3A10.1186%2Fs12889-019-6576-9/MediaObjects/12889_2019_6576_Fig2_HTML.png
を見ると,(男性の場合には)特に大腸癌,咽頭癌,食道癌で有意な上昇が見られるので,後者2部位に限れば,やはり比較的濃度の高いアルコールの影響が大と考えられます.これからは冬もビールかな・・・・
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週1本のワインの発癌性は男性なら週5本、女性なら週10本の喫煙量に相当 Biotoday 2019-03-29
英国のデータを調べたところ、ワインを毎週1本(750ml)飲み干せばタバコを女性なら週10本、男性なら週5本吸うのと同等の癌発現率上昇を招くと推定されました。    今回の解析によると、ワインを週一本飲むと男性なら100人あたり1人、女性なら100人あたり1.4人の癌を招きます。男女差は、女性が主に乳癌をより生じ易くなることに起因しています。

How many cigarettes in a bottle of wine? / BBC
How many cigarettes are there in a bottle of wine? / BioMed Central
A Bottle of Wine Has the Cancer-Causing Potential of 510 Cigarettes / PHYSICIAN'S FIRST WATCH
A comparison of gender-linked population cancer risks between alcohol and tobacco: how many cigarettes are there in a bottle of wine?. BMC Public Health. 28 March 2019

臨床試験結果公表のコンプライアンス:米国の大学の場合-----------------------------------------------------------------------
米国の主要40大学のうち25大学は法に背いて臨床試験の結果公表をサボっている
BioTodayニュースレター 2019/3/28

米国の主要40大学のうち25大学は法に背いて臨床試験結果の公表を怠っています。TranspariMEDとUniversities Allied for Essential Medicinesの調べによると、結果が公表されていなければならない450の試験のうち140の結果の公表をそれら25大学はサボってしていません。

New report: 25 major U.S. medical universities violate key transparency law
Clinical trial transparency at US universities. Universities Allied for Essential Medicines (UAEM)

芸無しの恥知らず
それしかできねえのかよ.馬鹿の一つ覚えの後出しじゃんけんが.恥を知れってんだよ,恥を!!→ SGLT2阻害薬による下肢切断リスクはclass effectだった
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心筋梗塞を経たか駆出率低下心不全の2型糖尿病患者にdapagliflozinは特に有益 Biotoday 2019-03-19
DECLARE-TIMI 58試験被験者の一部を抜き出して解析したところ、AstraZenecaのSGLT2阻害剤Farxiga(dapagliflozin)は心筋梗塞を被った2型糖尿病患者の心血管一大事(心血管死, 心筋梗塞, 脳卒中)をプラセボに比べて有意に抑制しました。また、駆出率低下心不全(HFrEF)の2型糖尿病患者の同剤治療で心血管死、心不全入院、死亡がそれぞれ減るという解析結果も得られています。

DECLARE analyses show dapagliflozin benefits for reduced ejection fraction, prior MI subgroups / medwireNews
First Sub-Analyses from the DECLARE-TIMI 58 Trial Further Support the Cardiovascular Effects of FARXIGA in Type 2 Diabetes / BusinessWire
ACC: AstraZeneca's Farxiga chops follow-up CV events by 16% in heart attack patients with diabetes / FiercePharma

Effect of Dapagliflozin on Heart Failure and Mortality in Type 2 Diabetes Mellitus. Circulation. 18 Mar 2019
Dapagliflozin and cardiovascular outcomes in patients with type 2 diabetes and prior myocardial infarction - a sub-analysis from DECLARE TIMI-58 trial. Circulation. 18 Mar 2019
高感度心筋トロポニンIのカットオフポイント
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高感度心筋トロポニンI(hs-cTnI)の現状の正常範囲上限は低すぎるようだ BioTodayニュースレター 2019年3月15日
英国の病院で何らかの理由で血液検査された2万人を調べたところ、高感度心筋トロポニンI(hs-cTnI)血清濃度の正常範囲上限(99th centile)は全体では296 ng/L、心筋梗塞診断に至ったかhs-cTnI測定が必要な病態を有する患者を除いた無症状の患者群では189 ng/Lであり、いずれも製造会社が提示していて普段使いされている正常範囲上限40 ng/Lを随分上回りました。

全体の20人に1人(1080人、5.4%)のhs-cTnIは40 ng/Lを上回っており、それらの患者の殆どは急性心筋梗塞(AMI)が疑われるような病態を呈していませんでした。hs-cTnIは低値だった場合に安心して心筋梗塞でないと判断するのに広く使われているとはいえ、hsTnTで患者を心筋梗塞に振り分けることは不適切な治療を招く恐れがあります。hs-cTnIの結果は慎重に解釈する必要があると著者は言っています。

Blood test to diagnose heart attacks is flawed, warn researchers
Evaluate Troponin Results Carefully, Researchers Warn
True 99th centile of high sensitivity cardiac troponin for hospital patients: prospective, observational cohort study. BMJ . 13 March 2019

EMAが移転先で営業開始
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欧州医薬品庁がアムステルダムでの営業を開始〜スタッフのおよそ25%を失う BioTodayニュースレター 2019年3月14日
今年3月1日に英国ロンドンを去った欧州医薬品庁(EMA)が11日にオランダ首都アムステルダムでの営業を開始しました。今回の引っ越しでEMAは職員のおよそ25%(900人)を失います。
EMA opens Amsterdam office as Brexit enters critical phase
EMA launches operations in Amsterdam
EMA now operating from Amsterdam

報道バイアス:テレビ視聴は記銘力障害のリスク
私はテレビジョンの受像機を持っていないし,新聞も購読していないので,このニュースが日本のテレビジョンで報道されたかどうか,あるいは新聞が記事を掲載したかどうかは検証する立場にない.だからこのニュースを報道したBBCが日本のテレビ局よりも公平な報道をするとコメントする立場にはない.
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テレビをよく見る年配者ほど記憶の衰えが早い BioToday 2019-03-04
テレビで子供の頭がどうにかなる恐れはよく調べられていますが、試しにイギリスのいい歳をした大人を調べてみたらよくテレビを見ることと言語記憶の衰えが早いことが関連しました。   記憶明晰な人ほどテレビかじり付きで記憶が特に衰えました。

Watching lots of TV may worsen memory in older people / New Scientist
Being a couch potato 'bad for the memory of over-50s' / BBC
TV Viewing Tied to Cognitive Decline in Those Over Age 50 / PHYSICIAN'S FIRST WATCH
Television viewing and cognitive decline in older age: findings from the English Longitudinal Study of Ageing. Scientific Reports. 28 February 2019

プロサッカー選手のALSリスク
合衆国からの報告だが、今回は野球ではなくサッカーである。なお、Association Footballに対して、soccerの名称を用いる国に関しては→サッカーとフットボール、どちらの呼び方が正解?
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PHYSICIAN'S FIRST WATCH for February 28, 2019
Professional Soccer Players May Face Increased Risk for ALS By Amy Orciari Herman
Edited by - Susan Sadoughi, MD, and  Richard Saitz, MD, MPH, FACP, DFASAM

Professional soccer players appear to be at increased risk for amyotrophic lateral sclerosis (ALS), according to a study released on Wednesday and scheduled to be presented at the American Academy of Neurology's annual meeting in May.Researchers studied 25,000 men who played professional soccer in Italy between 1959 and 2000. They used news reports to identify ALS cases.

Overall, 33 soccer players developed ALS, at a rate of 3.2 cases per 100,000 person-years. This was nearly twice the rate expected based on cases in the general population (1.7 per 100,000). In analyses limited to ALS diagnoses before age 45, soccer players had nearly a fivefold increase in risk. Additionally, soccer players were diagnosed with ALS at a younger-than-expected age (median age, 43 vs. 63 in the general population). The study's lead author noted that numerous factors may be at play, including repetitive traumatic events, heavy physical exercise, substance misuse, and genetics.

Is Soccer a Risk Factor for ALS? 71st AAN ANNUAL MEETING ABSTRACT
AAN press room (where meeting abstract should appear)
List of people with amyotrophic lateral sclerosis

スマホ自撮りでアドヒアランスが劇的に向上
ITT 解析で, 最初の2ヶ月でVOT 群での成功率は112例中78例 (70%) だったのに対し,DOT群では114例中 35 例(31%) だった.  (補正後オッズ比 5·48, 95% CI 3·10–9·68; p<0·0001).
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結核患者がスマートフォンで記録した映像による服薬確認は対面確認に勝る BioTodayニュースレター 2019年2月25日
英国イングランドでの無作為化試験の結果、結核患者がスマートフォンで記録した映像による服薬確認(Video-observed therapy;VOT)の成功率は対面確認に勝り、脱落率はより低く、有害事象の同定も劣りませんでした。また、予定外の受診は増えず、スタッフの労働時間が減ってより安く済むことも確認されました。今回の試験結果に基づき、ロンドンの公的医療ではVOTが既に採用されています。
Video-observed therapy for tuberculosis: strengthening care. Lancet. February 21, 2019
Smartphone-enabled video-observed versus directly observed treatment for tuberculosis: a multicentre, analyst-blinded, randomised, controlled superiority trial. Lancet. February 21, 2019

遵法薬価
McEnanyの主張は「正しい」.彼は法に触れることは何一つしていない.それどころか,市場原理主義という米帝の根幹を成す原理に則ってビジネスを展開している.その意味でも行く行くは大統領になる資格さえあるのだ.(少なくとも今のところ)バーニー・サンダースの批判の効果は,ドナルド・トランプへの非難を超えてはいない,つまり負け犬の遠吠えに過ぎないようだ.
参考→人民の敵No.1は実は鼠小僧だった?
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タダだった薬を高く売ろうとしているCatalyst社が税金泥棒という議員批判に反論 BioTodayニュースレター 2019年2月22日
長らく無料で使えた稀な自己免疫疾患の薬を1年あたり定価約38万ドルで売ろうとしているCatalyst Pharmaceuticals社を税金泥棒(fleecing of American tax payer)といって批判したバーモント州選出上院議員Bernie Sanders氏の手紙にCatalyst社のCEO・Patrick McEnany氏が返事を出し、その薬Firdapse (amifampri dine phosphate) の値付けは他のよく効く稀な病気の薬と似たようなものであり、開発・製造・販促費に見合ったものだと反論しています。

McEnany氏は患者負担を少なくするあらゆる手段を講じるとも言っています。Firdapseは去年の11月にランバートイートン筋無力症症候群(LEMS)の治療薬として米国FDAに承認されました。筋力低下や疲労を主な症状とするLEMSは非常に稀な自己免疫疾患であり、米国での発症率は10万人あたりおよそ1人です。
LEMS患者の2人に1人は小細胞肺癌(SCLC)を主とする癌も被ります。

Dear Bernie: Catalyst CEO McEnany defends his $375,000 price tag on an old drug once offered for free
[去年11月のFDA承認] FDA Approves Firdapse? (amifampridine) for the Treatment of Lambert-Eaton Myasthenic Syndrome (LEMS)
Bernie Sanders氏からCatalyst社への手紙
Catalyst PharmaceuticalsCEOPatrick McEnany氏からBernie Sanders氏への返事

SNS上での医療デマ除染の課題
それでも医療に関する記事はまだいい方だ.検察や裁判に関する記事からデマを除染したら何もなくなっちまう.
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ハイテク業界、次の戦線は医療情報 ピンタレストはワクチンの予防接種に関する検索結果の表示をやめた
By Robert McMillan and Daniela Hernandez Wall Street Journal 2019 年 2 月 21 日 11:03 JST
Pinterest Blocks Vaccination Searches in Move to Control the Conversation Social-media company stops showing results on the topic as it looks to censor unsubstantiated health claims

画像共有型交流サイトの米ピンタレストがワクチンの予防接種に関する検索結果の表示をやめた。誤った情報の拡散を抑制するため、思い切った措置に出た格好だ。交流サイト業界が医療情報という難題に直面している様子も浮き彫りになった。ピンタレストによると、医療の指針や研究で予防接種の安全性が示されているにも関わらず、同社のサイトに予防接種の害を警告する画像が多数投稿された。広報担当者によれば、ピンタレストは予防接種に反対するコンテンツの削除を試みたが、完全には削除できなかった。

ピンタレストは昨年暮れからの検索停止について、一時的措置だが「汚染された」コンテンツを割り出す良い方法を開発できるまで必要だとの見方を示した。ユーザーが自身のページに予防接種関連の画像を投稿することはできるが、検索に表示されることはなくなった。ソーシャルメディアが公衆衛生に果たす役割に注目が集まっている。議員、保健当局者、業界企業などが、誤った医療上の判断を後押しするような科学的に疑わしい情報の拡散問題に取り組んでいる。
(以下略)
Shingrixの方に軍配が上がる
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GSKの新しい帯状疱疹ワクチンShingrixはZOSTAVAXより費用対効果が高い Biotoday 2019-02-19
米国の50歳以上の免疫正常成人を想定したアメリカ疾病管理センター(CDC)/ミシガン大学の解析によるとGlaxoSmithKlineの新しい帯状疱疹ワクチンShingrix(RZV)はMerck & CoのZOSTAVAX(ZVL)より有効で安上がりです。    CDCはすでにZOSTAVAXではなくShingrixが好ましいとしており、ZOSTAVAX接種済みの人へのShingrix接種も推奨しています。
Zoster recombinant vaccine provides better value and better protection against shingles
New Zoster Vaccine More Cost-Effective Than Old One / PHYSICIAN'S FIRST WATCH
Prevention of Shingles: Better Protection and Better Value With Recombinant Vaccine. Annals of Internal Medicine. 19 FEBRUARY 2019
A Cost-Effectiveness Analysis of Vaccination for Prevention of Herpes Zoster and Related Complications: Input for National Recommendations. Annals of Internal Medicine. 19 FEBRUARY 2019

プライマリーケア医師の数と寿命の関係
 (記事の書きぶりでは,専門医よりもプライマリケア医の方が延命効果が高いように読めるが,そうではない。データ(論文Figure 3)では,プライマリケア医と当該疾患の専門医(例:心血管疾患による死亡の場合には循環器内科医)でも延命効果は同様である。裏を返せば,専門医にかかったからといって延命効果はないということにはなるのだが・・・
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プライマリーケア医師を多く備えるほど寿命は長くなる Biotoday 2019-02-19
米国のデータを調べたところ、一次医療(プライマリーケア)医師を多く備えるほど寿命は長くなります。   
2005-2015年に米国の一次医療医師は196,000人から204,000人に増えましたが、郡別では住民10万人あたり47人から41人に減少しています。
More primary care physicians leads to longer life spans / Stanford Medicine
Areas with More Primary Care Physicians Have Longer Life Expectancy / PHYSICIAN'S FIRST WATCH
Association of Primary Care Physician Supply With Population Mortality in the United States, 2005-2015. JAMA Intern Med. February 18, 2019

Gender gapのファクト
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女性が外科医の道を途中で断念する理由〜女性というだけで休みが取り難いなど BioTodayニュースレター 2019年2月19日
外科医の道を途中で断念した女性12人と話してその理由を探ったところ、ただ女性というだけで休みが取り難いなどの幾つかの要因が浮き彫りになりました。英国や豪の専門手術医の女性比率はわずか11%であり、今回の結果によるとそういう男女差を減らす取り組みは幾つかの要因の解消が必要なようです。
Queen’s University Belfast research highlights system flaw in male-dominated surgery
Preventing the tower from toppling for women in surgery. Lancet. February 09, 2019
Why do women leave surgical training? A qualitative and feminist study. Lancet. February 09, 2019
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研究の中身ではなくどうやら女性であるが故の不利益により女性は助成を得難い BioTodayニュースレター 2019年2月19日
カナダ政府が提供する医療研究助成の交付申請24,000件近くを調べたところ、審査が研究の中身ではなく人(principal investigator)に注目したものだと女性は助成を得難いことが示されました。優れた研究の取り分を増やすには人ではなく研究の中身をみて資金を提供する姿勢が必要と著者は言っています。
Culture change needed to improve gender inequalities in medicine
The Lancet: Gender gaps in research funding are due to less favorable assessment of women, not their science
Promoting gender equity in grant making: what can a funder do?. Lancet. February 09, 2019
Funders should evaluate projects, not people. Lancet. February 09, 2019
Are gender gaps due to evaluations of the applicant or the science? A natural experiment at a national funding agency. Lancet. February 09, 2019

無駄な抗菌薬処方を減らす方法
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インターネットを介した支援で一般診療医師の抗生剤処方を安全に減らせた BioTodayニュースレター 2019年2月18日
英国の79の一般診療が参加したクラスター無作為化試験(REDUCE)の結果、呼吸器疾患への抗生剤処方状況を毎月知らせつつその適正使用を支援する仕組みをインターネットを介して提供することで肺炎や猩紅熱などの深刻な細菌疾患の増加を伴うことなく抗生剤処方を減らすことができました。呼吸器感染症への抗生剤処方率が12%低下しました。
Online support for GPs reduces unnecessary antibiotic prescriptions
Effectiveness and safety of electronically delivered prescribing feedback and decision support on antibiotic use for respiratory illness in primary care: REDUCE cluster randomised trial. BMJ. 13 February 2019

肩痛の除圧手術治療は無益で有害 BioTodayニュースレター 2019年2月12日
非外傷性の3か月超の肩の痛みがあって肩峰下痛症候群(肩関節インピンジメントや肩腱板病)と診断された成人を除圧手術してはいけないとの推奨が発表されました。手術は有害で無益だからです。
Expert panel strongly recommends against surgery for the most common shoulder pain
Subacromial decompression surgery for adults with shoulder pain: a clinical practice guideline. BMJ. 06 February 2019
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脳卒中急性期の降圧二題
tPA治療可能な虚血性脳卒中患者の血圧をより下げても転帰は改善せず BioTodayニュースレター 2019年2月12日
tPA(alteplase)投与可能な虚血性脳卒中患者の高血圧を1時間以内に130-140 mm Hgにすることを目指してより下げてもガイドライン通り(180 mm Hg未満)の降圧治療の転帰と変わりませんでした。修正ランキンスケール(mRS)に基づく90日時点での身体機能状態の有意差が認められませんでした。

Tighter BP Control No Better in Acute Stroke
Blood pressure lowering in acute ischaemic stroke thrombolysis. Lancet. February 07, 2019
Intensive blood pressure reduction with intravenous thrombolysis therapy for acute ischaemic stroke (ENCHANTED): an international, randomised, open-label, blinded-endpoint, phase 3 trial. Lancet. February 07, 2019

脳卒中後すぐの降圧開始は無益 BioTodayニュースレター 2019年2月12日
発症から4時間以内の脳卒中と思しき収縮期血圧(SBP)120 mm Hg以上の患者に一酸化窒素(NO)供給薬・三硝酸グリセリン(GTN;ニトログリセリン)貼付剤を救急隊が病院到着前に貼り付けても転帰は改善しませんでした。脳卒中後すぐの降圧治療はもはや無益と心得るべきと論評者は言っています。
Considering prehospital stroke trials: did RIGHT-2 get it right?. Lancet. February 06, 2019
Prehospital transdermal glyceryl trinitrate in patients with ultra-acute presumed stroke (RIGHT-2): an ambulance-based, randomised, sham-controlled, blinded, phase 3 trial. Lancet. February 06, 2019

優先審査権利の実効性への疑問
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優先審査権利を与える優遇を始めても小児希少疾患の臨床試験薬は増えず Biotoday 2019-02-08
通常10か月間の米国FDA審査期間が6か月間に短縮される優先審査権利を付与する優遇制度Rare Pediatric Disease Priority Review Voucher (PRV) を始めても稀な小児疾患の臨床試験薬は増えませんでした。稀な小児疾患の治療薬の備えを増やす新しい取り組みが必要と著者は言っています。1000万人を超える米国小児が稀な病気のどれかを患いますが、そのような稀な病気のうち治療法があるのは20に1つ(5%)のみです。
Rare pediatric PRV program not linked to uptick in new drugs starting trials, study finds / Endpoint
Impact Of The Priority Review Voucher Program On Drug Development For Rare Pediatric Diseases. Health Affairs. FEBRUARY 2019

ロタウイルスワクチンにも1型糖尿病予防効果?
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豪でロタウイルスワクチンを乳児に使い始めてから1型糖尿病が減少 Biotoday 2019-02-01
オーストラリアでロタウイルス経口ワクチンがどの乳児にも接種されるようになってから0-4歳乳幼児の1型糖尿病の割合が低下しています。   
豪の乳児には生後2か月と4か月にロタウイルスワクチンが投与されており、その投与が始まった2007年から4歳までの乳幼児の1型糖尿病の割合が14%低下しています。
Rotavirus Vaccine May Protect Against Type 1 Diabetes / New York Times
Possible link between rotavirus vaccine and decline in type 1 diabetes / Eurekalert
Drop in Infant Type 1 Diabetes Linked to Rotavirus Vaccination / TheScientist
Association of Rotavirus Vaccination With the Incidence of Type 1 Diabetes in Children. JAMA Pediatr. January 22, 2019
参考:BCGが1型糖尿病ワクチンに!

むしろ朝食抜きがダイエットに?
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朝食は太らないようにするという謂れは根拠なし〜朝食抜きでむしろ体重は減る BioTodayニュースレター 2019年2月1日

これまでの11の無作為化試験データをまとめて解析した結果によると、朝食を抜くと太るとか安静時代謝が損なわれるという謂れは聞くに値せず、朝食を抜くことはむしろ体重を減らすのに役立つようです。今回の解析対象の試験の質は概ね低く、朝食の体重管理における役割を高品質の無作為化試験で調べる必要があると著者は言っています。

Skipping Breakfast Might Not Be So Bad After All
Tim Spector: Breakfast-the most important meal of the day?. BMJ. 30 January 2019
Effect of breakfast on weight and energy intake: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 30 January 2019

事務担当者と救急外来の効率化
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書記担当者がいれば医師は患者をより診れる〜豪の救急科での無作為化試験 BioTodayニュースレター 2019年2月1日

オーストラリアの5つの救急科(ED)が参加した無作為化試験の結果、回診に同行して記録し、検査や予約をやりくりし、コンピューターへの入力を済ませ、必要な情報や人を揃え、退院時の書類を印刷するなどの事務全般を担う書記担当者の手助けで医師の生産性が改善しました。
書記担当の助けがあると助けなしに比べて患者をより診ることができました(1時間あたり1.31人 vs 1.13人)。
また、書記担当の助けと患者のED滞在時間の短縮が関連しました(173分 vs 192分/書記担当助けなし)。

Could Medical Scribes Improve Productivity in the ED?
[Research] Impact of scribes on emergency medicine doctors’ productivity and patient throughput: multicentre randomised trial. BMJ. 30 January 2019
[opinion] It’s time to think hard about how clinicians work in a digital age. BMJ. 30 January 2019

レボドパの開始時期を巡るもやもや
「ドパミンが欠乏するパーキンソン病に対し,軽症のうちからレボドパを投与すると,黒質神経細胞のドパミン産生を抑制してしまい,結果的にパーキンソン病の進行を早めてしまうのではないか?」一部の臨床医は長年にわたって,そんなもやもやした懸念を,抱いていた.一方,「そんな懸念は推測に過ぎない.レボドパがパーキンソン病の進行を早めるエビデンスはどこにもないのだから,患者のQOLを考えて診断したら可及的速やかにレボドパを開始すべきだ」として治療を進める多くの医師も,「レボドパがパーキンソン病の進行を早めないエビデンス」も,これまた存在しないものだから,やはりもやもやしていた.下記の論文は,その文脈を踏まえて読まねばならない.
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パーキンソン病進行へのレボドパの有意効果認められず BioTodayニュースレター 2019年1月28日
診断から2年以内の早期パーキンソン病患者が参加した無作為化試験(LEAP)の結果、レボドパ治療(100 mgを1日3回)をすぐに始めた場合と遅れて開始した場合の80週時点UPDRS点数変化に有意差はなく、レボドパがパーキンソン病の進展を変える効果は認められませんでした(池田注:というより,診断した時からレボドパを開始しても,パーキンソン病の進行を早めることはないと表現すべきである)。より高用量の投与、より長期の投与、パーキンソン病がより進んだ段階からの投与開始のパーキンソン病進展への効果を今後調べる必要があると著者は言っています。
No evidence for disease-modifying effect of levodopa in Parkinson’s disease
Randomized Delayed-Start Trial of Levodopa in Parkinson’s Disease. N Engl J Med 2019; 380:315-324

牛になることを気にするよりも
もっと気にすべきことがある

夕食と就寝の時間を2時間以上あけても血糖値は変わらない Biotoda 2019-01-24
糖尿病でもその前駆状態でもない日本の中高齢者を調べたところ、夕食と就寝の時間を2時間以上あけることと血糖値HbA1c変化の関連は認められませんでした。それより喫煙、飲酒、高BMIがHbA1cに影響するようであり、夕食をいつ摂るかを気にするより正常BMIの維持や禁酒禁煙によるHbA1c安定化に取り組んだ方が良さそうと著者は言っています。

Leaving 2-hour gap between dinner and bedtime may not affect blood glucose / BMJ
Effect of a 2-hour interval between dinner and bedtime on glycated haemoglobin levels in middle-aged and elderly Japanese people: a longitudinal analysis of 3-year health check-up data. BMJ Nutrition, Prevention & Health

アスピリンの一次予防にエビデンスなし
まして況んや他の抗血小板薬をや.脳ドックで無症候性病変を見つけたからといって,クロピドグレルを処方するのは,適応外使用どころか,患者を危険に晒すだけ.
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アスピリンは心血管疾患(CVD)一次予防より多く重大出血を招く/メタ解析 Biotoday 2019/1/23
広く報じられた最近発表の3試験・ASCEND, ASPREE, ARRIVEを含む13の無作為化試験をまとめてメタ解析した結果、心血管疾患(CVD)未経験の人のアスピリン使用はCVD(心血管死, 心筋梗塞, 脳卒中)予防数を上回る重大出血増加と関連しました。1000人がアスピリンを使用すればCVDがおよそ4つ減るものの重大出血は5件生じるという結果となっています(CVD絶対リスク低下0.38%、重大出血絶対リスク上昇0.47%)。

Aspirin for Primary Prevention of CV Disease? New Meta-Analysis Adds to the Evidence
Aspirin Use for Primary Prevention of CV and Bleeding Events
Aspirin for Primary Prevention: Clinical Considerations in 2019. JAMA. January 22, 2019
Association of Aspirin Use for Primary Prevention With Cardiovascular Events and Bleeding Events: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA. January 22, 2019

逆襲なるか?アバンディア
というか,「糖尿病の仇を乳癌で」といった表現の方が,当たっているか.参考:”イレッサ”の逆襲
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MEK阻害剤とPPARγ活性化剤の併用は癌細胞を脂肪に変えて腫瘍の進展を防ぐ Biotoday 2019-01-16
 MEK阻害剤MEKINIST (trametinib) とPPARγ活性化剤ロシグリタゾン(rosiglitazone)の併用は癌細胞を脂肪細胞に変えて腫瘍の浸潤や転移を抑制することが乳癌を模すマウスの実験で示されました。    両剤はFDA承認済みであり、臨床試験段階に進めうると著者は言っています。
Conversion of breast cancer cells into fat cells impedes the formation of metastases / Eurekalert
Gain Fat−Lose Metastasis: Converting Invasive Breast Cancer Cells into Adipocytes Inhibits Cancer Metastasis. Cancer Cell. January 14, 2019

屋上屋を架す
compassionate useというシステムが既にあるのに,なぜRight to Tryなる法律ができたのか?その経緯が知りたい.-----------------------------------------------------------------------
承認前の薬の使用を許可する米国法律Right to Tryの下での初の治療が始まった BioTodayニュースレター 2019年1月11日
承認前の開発段階の薬を臨床試験に不向きな末期患者が使えるようにしている米国法律Right to Tryの下での初の治療が始まりました。
進行中の第2相試験の選択基準に合致しない再発膠芽腫患者へのERC-USA社の癌ワクチンERC1671 (Gliovac) の使用が去年11月遅くに始まっています。Right to Try成立前から米国FDAは末期患者への開発段階の治療を申請に応じて許可しており、ほぼ全て(約99%)の申請をFDAは許可しています。なのでRight to Tryは疑問視もされています。
ERC-USA Initiates Therapy Under Right to Try Law With First Patient In California Using Investigational Compound ERC1671 for Treatment of Glioblastoma
The first patient has been treated under the controversial “right to try” law

CT線量の各国間差の原因
表4を見る限り,日本の成績は決して褒められたものではない.特に腹部では対照のドイツの2.7倍,肺塞栓の検出では6.5倍もの線量を必要としている.各国間の線量差の原因は,患者(疾患)や,施設,機器に起因するものではなく,撮影時の技術的な問題,つまり技師の技量(Technical factors)に起因すると結論されている.日本の線量をこの技術的な問題を考慮して補正すると,
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CT線量の大差は患者や装置の違いではなく主に技師の裁量に起因/7か国調査 BioTodayニュースレター 2019年1月10日
7カ国(スイス、オランダ、ドイツ、英国、米国、イスラエル、日本)151施設のデータを調べたところ、CT線量の大きな違いは患者や装置の違いではなく主に技師の裁量に起因することが示されました。国際的な協力によって最適な線量を決めて患者に余計な害が及ばないようにする必要があります。
Radiation doses from CT scans should be more consistent, say experts
International variation in radiation dose for computed tomography examinations: prospective cohort study. BMJ. 02 January 2019
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