Natureが心筋シートに懸念

Natureの記事は,有効性を評価できるだけの十分なエビデンスに欠けているとして,「効くかどうかも定かではない治療を患者に売りつけるのか?」と疑問を呈している.
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「ハートシート」の評価、日本政府に要求 Risfax 2018/5/31
英ネイチャー 再生医療製品の承認制度に懸念、「早急に動く必要」 英科学誌「ネイチャー」は29日(日本時間30日)、再生医療製品の条件及び期限付き承認の第1号となるテルモの「ハートシート」に対し、同誌として効果を疑問視する意見を掲載した。ハートシートの研究に携った大阪大学大学院医学系・・・・
Stem-cell tests must show success Japan needs to demonstrate that a promising therapy for damaged hearts works as claimed.
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海外だけではなく国内からも疑問が提出されている.
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再生医療製品「心筋シート」の疑義「iPS細胞」での挑戦は可能なのか 医薬経済 2017/12/15
 テルモが販売する再生医療製品「ハートシート」の先行きに暗雲が立ち込めている。16年5月、この製品は重症心不全の革新的な治療法として発売された。しかし、最近の学会発表によると、製品化前の臨床研究で、重症心不全で効くのはごく一部に過ぎず、使用後に症状が悪化した患者までいることがわかってきた。
 ハートシートは、大阪大学大学院医学系研究科の澤芳樹教授(心臓血管外科)が研究する「筋芽細胞シート」をもとに開発された。澤教授の研究チームは、このシートを35人に移植。重症心不全に「効果がある」と判断、製品化をめざした。ハートシートは、患者の大腿部から採取した筋肉細胞の骨格筋芽細胞をシート状に培養。心臓に外科手術で直接貼り付けることで、弱った心機能の回復を促す。
 心臓移植を待つしか術がない重症な心不全患者にとっては、まさに朗報の治療法で、ハートシートを共同開発したテルモと大阪大学は、厚生労働大臣賞(産学官連携功労賞)も受賞している。だが現場では「症状が軽減した」と言う医師もいれば、「本当に効くのか」と疑問を持つ医師もいる。
(以下略)
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iPS心臓治療、厚労相が正式承認…阪大、今年度中にも移植 2018年6月7日 (木)配信読売新聞
 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心臓の筋肉のシートを重い心臓病患者に移植する大阪大の臨床研究計画について、加藤厚生労働相は実施を正式に認め、阪大に5日、通知した。阪大は今後、患者の選定を進め、今年度中にも移植を始める。(以下略)
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