領空侵犯問題

金をとって物を売るなら,その対価が必要である.”痩せる”といって金を取るなら,その品物で痩せるという,”合理的な根拠”が必要であると,経済産業省も公正取引委員会も言っている.

でも,厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室は,そのような合理的な根拠は不要と考えている.不要と考えているからこそ,特定保健用食品なるいかがわしい品を承認できるのだろう.しかし,国の役所が,明らかな法律違反を奨励するとはまた度胸のよろしいことで.

いかがわしい食品に税金を使って国家の承認を与え,企業活動を助けるのは,本来経済産業省の仕事だったはずだ.それを厚生労働省が率先して行うのは明白な領空侵犯だとして,経済産業省が摘発に乗り出したというわけだ.

この,特定保健用食品,いわゆるトクホのいかがわしさ,根拠のなさについて,文句をつけているのは私だけではない.小内 亨先生のような,正統派のお医者さんでさえ,重大な疑問を持っている.

<黒酢痩身液>効果の根拠なしと、札幌の会社に業務停止命令
 黒酢が入った痩身液に効果を示す根拠がないとして、経済産業省は1日、札幌市の通信販売会社「サッポロ製薬」に、特定商取引法違反で、2日から3カ月 間、業務停止を命じたと発表した。昨年11月の商法改正で、広告に虚偽の疑いがある場合、会社側が合理的な根拠を示せないと処分できることになってから初 めての適用。(2005/4/2毎日新聞)

「やせる」健康食品に根拠なし・公取委、業者に排除命令
 合理的な根拠がないのに痩身(そうしん)効果を宣伝、健康食品を販売したとして、公正取引委員会は18日、景品表示法違反(優良誤認)で通販業者、日商ストックマネージメント(東京)に排除命令を出した。同社は清算手続き中で、商品販売も2004年5月に中止している。
 公取委によると、同社は04年発売の婦人向け雑誌の広告で「朝食代わりに食べるだけの簡単なダイエット」などとスティック状の食品「パーフェクトダイエット」を宣伝。新聞の折り込みチラシ計約1億6000枚などでも同様の宣伝をした。 この食品は30本入りで1箱1万5800円。同社は03年2月から04年5月、主に通信販売で同商品を売り、約18億6000万円を売り上げたとみられる。
公取委は清算手続き中の企業に対し排除命令を出す点について「販売額が大きく、消費者の誤認を解く必要があるため」と説明している。

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