CoDxにおける偽陽性・偽陰性

検査に偽陽性・偽陰性はつきものだが、その検査の結果によって副作用の強い・侵襲性の高い治療をするかしないかを決定する場合は、問題が非常に大きくなる。例えばマモグラフィーの偽陽性で乳房切除をされてはたまらないと誰しもが思うだろうが、実際に、マモグラフィの偽陽性率は10%前後にもなる。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02869_04
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2836234/7960477

マモグラフィのような画像検査の偽陽性は、まだ生検という「逃げ道」があるが、その生検自体に偽陽性・偽陰性があるとなると、問題はマモグラフィより深刻だ。コンパニオン診断薬(CoDX)では、偽陰性だけが問題になるわけではない。偽陽性ならば有効性が期待できず、患者を副作用のリスクばかりに晒すことになる。

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 ALK遺伝子検査、2手法で結果不一致も- 肺癌学会
キャリアブレイン 2012/10/22
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/38379.html
 ファイザーの抗がん剤ザーコリカプセル(クリゾチニブ)の投与前に実施する未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子が陽性かどうかを判定する遺伝子検査について、FISH法と高感度IHC法の2つの手法で検査結果が一致しない場合があることを、日本肺癌学会が明らかにした。
 クリゾチニブは今年5月に発売された非小細胞肺がんの治療薬で、ALK融合遺伝子が陽性の患者(非小細胞肺がん患者の3?5%程度)に投与される。ALK融合遺伝子が陰性の患者には効果がないことから、投与前の遺伝子検査が必須となっている。
 同学会は昨年11月に、「高感度IHC法によるスクリーニング、FISH法による確認」とする診断アルゴリズムを含む「ALK遺伝子検査の手引き」を公表していたが、ファイザーから同学会に提供された遺伝子検査結果では、FISH法と高感度IHC法の双方が行われた2337検体のうち、両者の検査結果が一致しない検体が48例存在。中でも、FISH法で陽性だった249例中、36例が高感度IHC法では陰性となっており、「FISH法を標準検査と考えた場合、高感度IHC法の感度は86%にすぎないことになる」という。
 一方で、同学会によると、FISH法には偽陽性の可能性が以前から指摘されており、同学会では「現時点でどちらが正しいかは不明」としている。
 今回の結果を受け、同学会では「(診断アルゴリズムでは)少なからぬ症例が見逃され、クリゾチニブによる貴重な治療の機会を逸する可能性があることを示している」とし、早急に原因解明に乗り出す考えだ。
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