コンパニオン診断薬の保険償還

コンパニオン診断薬というのは、しばしば対応する医薬品の効能効果、特に抗悪性腫瘍薬の場合には、ファースト、セカンド、サードラインの別や、併用療法の有無による縛りの影響を直接受けるのでこのようなことが起こります。
---------------------------------------------
肺生検困難ながん患者のEGFR遺伝子検査、1月から初回治療前でも算定可能に―厚労省 MedWatch 2018年1月9日

 肺がんの組織を検体とした検査が実施困難な患者を対象とする【EGFR遺伝子検査(血漿)】について、1月1日から肺がんの初回治療方法を検討するために実施する場合にも保険請求を認める―。
 厚生労働省は昨年(2017年)12月28日、このような内容の通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出しました(厚労省のサイトはこちら)。この通知では、先天性サイトメガロウイルス感染の診断のために尿を用いる新たな検査法を、1月1日から保険収載することも明示しています。

ここがポイント!
 1 血漿を用いる検査、初回治療時と再治療時の2回まで報酬算定可
 2 先天性サイトメガロウイルス感染の早期診断につながる新検査法も保険収載

血漿を用いる検査、初回治療時と再治療時の2回まで報酬算定可
 がん細胞の表面にあるタンパク質などをターゲットとして効率的に攻撃する分子標的薬にはさまざまなタイプがあり、「どの薬剤が効きやすいか」が患者ごとに異なることから、効果的な薬剤を選ぶための事前検査(コンパニオン診断)が行われます。
 肺がん患者の薬物療法では、がん細胞の表面にあるタンパク質のうち、上皮成長因子受容体(EGFR)の遺伝子変異に着目した分子標的薬の使用に当たって、この遺伝子変異の有無を確認するために肺がんの組織を採取する「肺生検」を行うことが一般的です。しかし、医学的な理由で肺生検ができない患者もおり、昨年(2017年)7月、患者の血漿を用いてEGFR遺伝子変異を調べる検査法が保険収載されました(関連記事はこちら)。
 血漿を用いる検査に保険が適用されるケースは、医学的な理由で肺生検が困難な患者のうち、「初回治療を受けたものの、肺がんの再発や増悪によって『EGFR遺伝子変異の2次的遺伝子変異』が疑われ、治療法を再度選択する必要がある者」に実施する場合に限られていましたが、今般、「初回治療に当たり、肺がんの詳細な診断および治療法を選択する必要がある者」への使用にも保険の適用が認められました。
 この検査を実施した医療機関では、1回につき2100点を算定できます。患者1人に算定できる回数は、▼今般認められた、初回治療法の選択に当たっての検査▼治療法の再選択に当たっての検査―でそれぞれ1回ずつです。また医療機関には、関連学会が定める実施指針を遵守して検査を行うことや、「肺生検を実施できない医学的な理由」を診療録・診療報酬明細書の摘要欄に記載することが求められます。
 なお、この検査と「肺がんの組織を検体としたEGFR遺伝子検査」を1人の患者に同一月に実施した場合には、「主たるもの」のみを算定することになります。
----------------------------------------------
目次へ戻る